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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
371/953

第371話

話し合いが終わるとカインはソファーの上で目を閉じている。

その様子からジークは彼が使い魔を使用して屋敷の周辺を警戒していると思ったようで頭をかきながら、居間を出て行こうとする。


「ジーク、どこに行くの?」


「いや、カインが警戒しているうちに簡単な罠でも庭にでも張っておこうと思って、侵入者が襲って来ても無力化したいし、戦いたくはないからな」


ジークが居間を出て行こうとしている事に気が付いたフィーナは、彼の行動に疑問を持ったようで首をかしげた。

ジークは振り返ると侵入者防止の罠を仕掛けてくるつもりだと答えた後、居間を出て行こうと歩き出す。


「ジークさん、わたしもお手伝いします」


「いや、ノエルは来なくて良い。1人でもどうにかなるから」


ジークとフィーナの話が聞こえたようでノエルはジークの手伝いをすると手を挙げる。

彼女が不器用な事もあり、ジークは直ぐに足手まといになってしまうと判断したようで1人で事足りるからと苦笑いを浮かべてやんわりと断った。


「……邪魔だからね」


「そうですね」


ジークがノエルの提案を断る様子にフィーナとセスは瞬時に状況を理解したようで小さくため息を吐く。


「ジーク、罠を仕掛けるって言っても罠の道具とかあるんですか?」


「あぁ、さっき、物置の整理してたら、簡単な道具と……後はアーカスさん譲りの罠の知識が少々」


レインは罠と言う物へ対する知識が乏しいのか、首を傾げるとジークは自分の寝場所を探す時にいくつか使えそうなものを見つけている。

そのためか苦笑いを浮かべるが、直ぐにそれ以上に常日頃から触れているアーカスの罠の構造を思い出したようで眉間にしわを寄せた。


「ジーク、あんた、あんまり物騒な罠を仕掛けるんじゃないわよ。うるさくて眠れなくなるから」


「フィーナ、気にするところはそこですか? だいたい、罠と言ってもそこまで危ないものを短時間で準備出来るはずなどないでしょう。カイン=クロークもですが、あなた達も罠程度の事でガタガタと騒ぎ過ぎです」


「セスさんはアーカスさんの罠を知らないんですよね」


本日も肉体労働だったためか、フィーナは眠気が襲ってきたのか欠伸をする。

アーカスとも面識が薄く彼の罠の凶悪さを知らないセスは言いすぎだと思っているようで大きく肩を落とす。

しかし、アーカスの罠の凶悪さをいやと言うほど身にしみているジーク、ノエル、フィーナの3人は首を横に振る。


「それはどう言った反応ですか?」


「アーカスさんとは確か、ルッケルであったハーフエルフの事ですよね? たしか、ジークとフィーナさんに武術大会に出場するように言った。変わり者だと聞いていますが」


「ハーフエルフのアーカス? そして、変わり者?」


セスは3人の様子にあり得ないと言いたげにため息を吐く。

その様子にレインは苦笑いを浮かべるとアーカスの事を思い出したようであり、アーカスの名前になぜかミレットは首をひねり始める。


「専門的な事では頼りになるんだよ。ただ、動かすのが酷く面倒だ」


「興味がない事にはまったく動かないからね。悪いけど、先に寝るわ」


ジークは苦手にはしているものの、信頼している事は明白であり、てれ隠しなのか大きく肩を落とした。

ジークの様子にフィーナは苦笑いを浮かべた後に眠気が限界がきたようで欠伸をしながらふらふらと立ち上がる。


「それじゃあ、俺も早いとこ終わらせてくるかな」


「ジークさん、本当に手伝わなくて良いんですか?」


「大丈夫だ。ノエルもいろいろと忙しかったんだから、早めに休んでおけよ。侵入者が現れたら、取り押さえるのを手伝ってもらうかも知れないからな」


「わかりました」


フィーナを見送った後にジークは罠の準備をしてくると居間を出て行こうとするとノエルが再び、手伝いを買って出る。

ジークは、先ほどと同様にやんわりと断り、ノエルは少しだけ納得がいかなさそうな表情を浮かべた。


「そこまで邪魔なんですか?」


「……仕掛けた罠にその場でひっかかりそうだからな」


「それは流石に言い過ぎじゃないですか?」


レインはノエルに手伝って貰っても良いのではないのかと思ったようで、声を落としてジークにノエルからの提案を断る理由を聞く。

その声にジークはノエルに聞こえないように自分も声を落とし、断るには充分な理由があると答えた。

レインはジークの言い方は酷いと思いながらも、彼自身、ジークが現実的なところを理解している事もあり、嘘はないと思ったようで苦笑いを浮かべる。


「と言う事で、俺は庭とか周辺に簡単な罠を仕掛けてくるから、カイン、何かあったら、呼んでくれ」


「ジーク、カインが置いてあった道具は1人で運べますか? 罠を仕掛けられる自信はありませんが、荷物運びくらいなら、手伝いますよ」


ジークは使い魔を動かす事に集中しているカインに声をかけると、カインは返事はしないが聞こえてはいるようで右手を上げた。

その姿を見て、ジークは居間を出て行こうと歩き出し、レインは屋敷の広さも考えて道具もそれなりに必要だと思ったようで手伝いを買って出る。


「確かに運んで貰いたいものはあるな」


「それなら、わたしもお手伝いします」


「ノエル、荷物運びより、明日の朝食の準備を手伝ってくれませんか? ジーク達は睡眠時間も削られるわけですし、他の事で協力しましょう」


荷物もそれなりにあったようだが、ノエルの提案を断った手前、レインの提案を受けるべきかと首をひねった。

ノエルはジークの役に立ちたいようで、再び、手をあげるとミレットはジークの考えている事が何となく理解できたようでノエルにキッチンに行かないかと言う。


「確かに、朝食の準備はしておいて欲しいな。睡眠時間は重要だ。ノエル、ミレット様を手伝ってくれるか? ……いや、ミレット様って、料理できるんですよね?」


「ジークまでとは言いませんが、それなりにできますよ。むしろ、ジークのご飯を食べて負けていられないと少し火が点いてます」


ジークはミレットからの助け船に大きく頷くものの、ミレットの料理の腕を知らないため首を傾げた。

ミレットは料理にはそれなりに自信があるようで冗談めかして小さく笑う。


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