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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
359/953

第359話

「そう言えば、ジークくんは治療魔法について詳しくないんでしたね」


「恥しい話、ばあちゃんは魔法治療をしていなかったから、それに関する資料はまったくないんですよ。それに俺は薬屋ですから」


テッドはジークが魔法治療をしない事を思い出して苦笑いを浮かべる。

ジークはアリアが治癒魔法を使えなかった事で頭をかいた後、改めて、自分は薬屋だと主張する。


「そう言えば、ジーク自身は治癒魔法は使用できないんですか? 覚える事ができれば、魔法式に関しては目途が点くのではないですか?」


「俺は神様を信じる気はないので、神様の言葉なんて聞けません」


セスはそこでジークに治癒魔法は使えないのかと聞くと、ジークは興味がないのかその様子は神聖魔法を覚える気などなさそうで欠伸までする始末である。


「別に治癒魔法は神聖魔法だけではないでしょう。ノエルも治癒魔法を……ノエルは治癒魔法を使えるのにどうしてジークの資料解析を手伝えたのではないですか?」


「えーと、あの、わたしは感覚で魔法を使ってるので、あまり人に教えるのは」


セスはノエルが治癒魔法を使える事を思い出すが、ノエルは申し訳なさそうに目を伏せる。


「まぁ、魔法はある種の才能だから、仕方ないよね。才能がわずかでもあれば、魔法式を少しかじれば使えるようになるけど、才能がなければどれだけ真剣に勉強しても覚える事はできないから」


「確かに魔法は才能に依存する事が多いですからね。しかし……」


魔法を使用するには魔法の才能が重要であり、ノエルは才能で魔法を使用するタイプのようでカインは困ったように笑う。

セスも魔術学園でその事について学んでいた事もあり、仕方ないとは思いながらもジークに魔法の才能がなければアリアが残した資料の意味がないのではと思ったようで眉間にしわを寄せた。


「ジークくん自身が魔法を使えるかはある意味、調べておく必要がありますね」


「ジークさんは魔法の才能はあると思いますよ。アーカスさんもそのような事を言っていましたし」


テッドはジークが魔法に適正があるか調べたいと言うと、ノエルは以前にジークが自分に精霊達の魔力を集めた姿を思い出したようでジークに魔法の才能があると手を挙げる。


「ジーク、それは本当ですか?」


「あー、確かにそんな事もあったよな。だけど……あれをすると枯れそうだからな」


セスは初めて聞いたためか、今までそんな事を一言も言わなかったジークを睨みつけるとジーク自身もすっかり忘れていたようで頭をかくが、その時はノエルと一緒に野菜中心の食生活は耐えきれないようで二度とやりたくはなさそうである。


「枯れる?」


「ノエルと一緒に野菜中心の食生活だったから」


「確かに栄養と一緒に大地からの魔力を吸収する事ができるからね。ジークくんには辛いだろうね」


セスは意味がわからずに首を傾げると、ジークは頭をかきその時にあった事を簡単に話すとテッドは若いジークには物足りない食事だったと気が付いたようで苦笑いを浮かべた。


「でも、精霊魔法には適正がある事はわかったわけだし、後は使えるかだね」


「いや、俺、薬屋だから治癒魔法を使えたら、商売あがったりだろ」


「元々、売り上げなんてないに等しいだろ」


ジークは薬屋に誇りを持っている事もあり、魔法を覚えて薬の価値を下げるわけにはいかないと言うが、カインはジークの心の傷を思いっきりえぐる。


「ジ、ジークさん!? カ、カインさん、言い過ぎです。確かにうちの売り上げは皆無ですけど、それでも村の人達の事を考えてジークさんはお薬の値段を上げる事はしないんですから!! ジ、ジークさん、どうしたんですか!?」


「ノエル、あなたも言い過ぎです」


ジークの目に見えるほどのダメージにノエルはジークをフォローしようとするも、いつもの事のように彼女のフォローはフォローになっておらず、さらにジークの傷口をえぐって行く。

ノエルの言葉でジークは膝から崩れ落ち、セスは2人の様子に大きく肩を落とした。


「まぁ、医療に携わる人間は利益を考えてはいけませんよね。ジークくんはしっかりと理解できているようですね」


「そ、そうですよね」


テッドはジークの姿に苦笑いを浮かべるも、ジークと同じ悩みをテッドも抱えているため、彼の気持ちがわかると言い、ジークは味方ができた事に何とか気力を取り戻したようで勢いよく立ちあがる。


「そう言われると支援金を催促されてる気がする」


「そんな事はありませんよ」


カインはテッドの言葉に苦笑いを浮かべるとテッドはまったくそんな事を考えていなかったと笑う。


「いえ、テッド先生が忙しい割に収入が少ないのを見ているのも、後継が出てこない原因でしょうから、ある程度はこちらからも支援はしたいと思っています。フォルムの事を考えればここで診療所を継ぐ人間は必要ですし、フォルムを預かる身として援助はしたいと思っています」


「カイン、あれって、お前が言うべき事なんじゃないのか?」


「いや、経理とか、資金の運用とかって俺より、コーラッドさんの方が得意なんだよね。その話をしたら、予算とかいろいろと計算してくれてさ」


なぜか、領主であるカインではなく、セスがフォルムで領主として集めた税金からテッドへの援助が約束され、ジークはカインを肘で突きながら、おかしくないかと聞くがカインはまったく気にしてないようである。


「……本来なら、カイン=クローク、あなたがしなければいけない事なんですよ」


「そうなんだけどね。謀略や戦略を考えるのは得意なんだけど、あ、そうだ。テッド先生、先代領主が残した隠し財産があったんですけど、俺、使わないんでテッド先生の診療所に全部、預けようと思うんですけど、ここに置いておくと危険ですよね?」


「おい。さらっともの凄い事を言うな」


セスはカインを睨みつけるがカインは気にする様子もなく、それどころか新たな厄介事を持ち出し、ジークは眉間にしわを寄せた。


「先々代はフォルムの事を考えて領地運営していたみたいだけど、先代は私欲でため込んでたみたいで、結構、これがあったんだよ」


「それって、言って回って良いんですか? 危なくないんですか?」


しかし、カインは気にする事無く、楽しそうに笑っており、ノエルは隠し財産が見つかってと言う事で何か騒ぎが起こりそうな気がしているようで顔を青くしている。


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