第35話
「いたずらを止めるですか?」
「あぁ。魔法機械が他にいないとは限らないし、そう考えるとまとまって歩かないと不味いだろ。それに夜が明けたら冒険者達も押し寄せてくる。ノエルは隠せるかも知れないけど、ギド達は危ないだろ。手さぐりで奥を探して道に迷うよりは先にそっちを解除した方が効率が良いかも知れない」
ジークはノエルやギドの事を考えると悠長に時間をかけている事が出来なかった事を思い出し、先に妖精達のいたずらを止める事に決めるが、
「で、ですけど、妖精さんと話し合いをするにしてもどうしたら良いんでしょうか?」
「そうなんだよな」
方法に心当たりがあるわけもなく、2人で首を傾げる。
「……一先ずは魔力が強いところを探すしかないのか?」
「魔力が強いところですよね? ……わたしが見たところだとあの灯りが点いたところが1番、妖精さん達が多くて魔力が強かったと思いますけど」
「……そこかよ。考えるとそこ以外にあり得ないか」
ジークはギドの言っていた魔力が強い場所を探そうそするがノエルは首を傾げたままギド達と会った場所が1番だと言い、ジークはどうして今まで気付かなかった事に眉間にしわを寄せ、
「一先ずはこっちだったか?」
「違いますよ。こっちです」
「ノエル、何を言ってるんだ。俺はこっちからきたんだぞ。それに……あれ?」
ジークは先を目的の場所に戻ろうとするがノエルはジークとは反対のジークが歩いてきた方向を指差すとジークは1つの違和感を持つ。
「どうしたんですか?」
「いや、ギドの魔法で石の人形が倒れたのは前のめりだったから、ノエルの指差す方に進むとして、それなら、俺はどうしてこっちからきたんだ?」
「壁をすり抜けているうちに戻ってきてしまったんじゃないですか?」
ジークは改めてこの場所に戻るように進んできていなかった事に首を傾げるとノエルは妖精のいたずらで完全に惑わされているのではないかと首を傾げるが、
「いや、もしかしたらなんだけど……」
「ジークさん、そこには魔力を感じませんから、何もないんじゃないですか?」
「……いや、妖精達は確かに魔力があるからそれを察知して進んできたんだけど、魔力が感じなかったところは調べていないんだよ。魔導機械があるんなら、妖精の魔力以外でも惑わす何かがあるかも知れない」
ジークは今の自分達は妖精だけではなく、他の原因もあるのではないかと魔力の感じられない壁を調べ始める。
「……ノエル、ここの壁って魔力は感じないよな?」
「はい。妖精さん達は感じられません」
「だよな……でも」
ジークは魔力が感じられない壁の1個所で何か気になるものがあったようでノエルに魔力の確認を頼むが魔力が感じられない壁の中にジークの腕は埋まって行き、
「ど、どう言う事ですか?」
「さっきも言ったけど、妖精達のいたずらにとらわれ過ぎて真実が見えてなかった。壁があるように見えてもないところは魔力だけで偽装されているわけじゃないんだ」
「そ、それこそ、どうしたら良いかわからなくなったんじゃないですか?」
ジークは妖精の魔力だけを追いかけていてはいけないと言うがそれはこの遺跡をさらに迷宮化しているだけである。