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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
348/953

第348話

「話を戻しても良いですかな?」


「お願いします」


テッドはジークとノエルの反応に少しだけ楽しくなったようで表情を和らげると話を戻すと言い、ノエルは頭を下げる。


「先々代の領主には娘がおった。年は今はジークくんやノエルさんより、少し上だろうか?」


「ジ、ジークさん、あのやっぱり、シュミット様のところに現れた女性は!? す、すいません」


「ノエル、もう少し考えて話そうな」


テッドの口から出る話にカインが予想した通り、ルッケルでの暗殺事件に関わっていたメイドが先々代の血を引くものであった事が告げられる。

ノエルはその言葉に驚くも直ぐにまた口を滑らせてしまった事に気が付き、身を縮めるとジークは大きく肩を落とす。


「ジークくんやノエルさんは私の知らない事を知っているようですな?」


「色々と厄介事を持ってくる人間がいますんで、こっちから話した方が良いかな? きっと、テッド先生が話したい人と俺達が知っている人は同一人物だろうし」


「そ、そうですね」


ジークは頭をかくと、先に自分から話をした方が良いかと首をかしげ、ノエルは何度も口を滑らせているせいか申し訳なさそうな表情でジークの言葉に頷く。


「テッド先生、ちょっと待っていてくれませんか? 一応、話の内容もあるんでカインとかを呼んできますから」


「わかりました」


「ノエル、お茶の用意をしといてくれ」


「は、はい」


ジークは自分の判断でどこまで話して良いのかわからないようで、カインやセスを呼んでくると言い、調合室を出て行く。

ノエルは話し始めるとぼろが出てしまう事もあり、立ち上がるとジークに言われた通り、新しくお茶の用意を始める。


「カイン、セスさん、ちょっと良いか?」


「ジーク? 開いてるよ」


「悪い。ちょっと面倒な事になったんだ」


ジークはカインの仕事場のドアをノックすると中から返事があり、ジークはドアを開けて部屋に入ると苦笑いを浮かべて2人に声をかける。


「面倒な事? ノエルが慌てて色々な情報でもばらしたかい?」


「……まったくその通りなんだけど、それがわかっていたなら、同行させるな」


カインはジークの様子に首をひねって少し考えると、調合室であった事を言い当て、ジークは納得がいかないようで眉間にしわを寄せた。


「いや、冗談だったんだけどね。コーラッドさん」


「わかりましたわ」


カインは苦笑いを浮かべるとセスを呼び、セスは自分の望まぬ形でどんどんと話が進んで行くこの状況に頭が痛いようで頭を手で押さえている。


「ノエルがどこまで口を滑らせたかわからないけど、ジークが俺達を呼びにきたって事は隠してても仕方ないし、ギドも連れて行こう」


「良いのか?」


「信頼を得るためにはこっちのカードも見せないとね。まったく、ノエルはこっちの計算の外をいつも行ってくれるね」


カインはギドにも同行を頼もうと思ったようで、ギドに当てている書斎に行くと言い立ち上がる。

ジークはギドまで連れて行く必要があるかと首を傾げると、カインは必要な手だと笑うが、どこか考えていた事から外れてきてしまったようで小さくため息を吐いた。


「ノエルだしな」


「そうですね」


ジークとセスもカインの言いたい事が理解できたようで顔を見合せて苦笑いを浮かべるとギドを誘って調合室に戻る。


「戻ったよ」


「は、はい。お待ちしておりました」


「ノエル様? どうかしたんですか?」


ジークが先頭になり、調合室のドアを開けるとノエルはこれ以上は口を滑らせられないと思っているようでおかしな緊張をしており、そんな彼女の様子にギドは首を傾げた。


「まぁ、とりあえず、座ろうか。ノエルもそのおかしな緊張を解く。テッド先生、お待たせしてしまって申し訳ありません」


「いえ、私も隠していた事があったため、気にしてはいません。それにどうやら、私として隠さない方が良さそうな情報をみなさんはお持ちのようだし」


カインは領主として場を取り仕切ろうとしたようで、ノエルに声をかけた後、集まったメンバーに着席するように促し、テッドへと頭を下げる。

テッドは領主と言う立場でありながらも、簡単に頭を下げるカインの様子に小さく表情を和らげると気にしていないと言う。


「ありがとうございます。その前にテッド先生は彼とは面識がないと思いますので、私の手伝いをして貰っています。ゴブリン族のギドです」


「よろしくお願いします」


「ゴブリン族? 本当ですか?」


カインはもう1度、テッドに向かい頭を下げた後にテッドにギドを紹介すると、ギドは頭を下げる。

魔法で人族の姿に見えている事もあり、テッドは信じられないようで聞き返す。


「今は魔法で人族のように見えているだけです。ノエルも同じようなものでドレイク特徴である角を隠しています」


「そう言われると、ノエルさんには角がないですね」


カインはノエルとギドは魔法により、姿を変えていると説明し、テッドは改めて、ノエルの頭へと視線を向けた後に大きく頷いた。


「ジーク、ノエル、テッド先生にはどこまで話したんだい?」


「えーと、わたしがルッケルでの暗殺事件に先々代の領主様のお子さんが関わっているのではないかと話してしまいました」


「はい。コーラッドさん、落ち着く」


カインはジークとノエルにテッドにどこまで話したかと聞くとノエルは申し訳なさそうに肩を落とし、自分が話した事について言う。

その姿はセスの感情に火を点けたようでノエルに飛びかかろうとするが、カインは手を伸ばして彼女を引き止める。


「……あのセス様はどうしたんですか?」


「まぁ、発作みたいなものなんで、気にしないでください」


テッドはセスの突然の行動にどうして良いのかわからずに眉間にしわを寄せると、ジークは普通の人に何と説明して良いのかわからないようで発作だと言い切った。


「それじゃあ、最初から話してしまおうか? ジークが俺を呼びにきたって事は、テッド先生の事は信頼して良いと判断したんだろうしね」


「……俺に責任を押し付けるな。ただ、テッド先生は医師としての信念をしっかりと持っている人だし、信頼して良いと思ったんだよ。まぁ、ノエルが口を滑らせたから、どう対処して良いかわからなくなったってのが半分くらいの割合であるけどな」


「申し訳ありません」


カインはジークを見て少し意地悪な笑みを浮かべると、ジークは頭をかきながらテッドは信頼できると答える。

ノエルは少しだけ責められているような気がしたようで身体を申し訳なさそうに身体を小さくする。


「ノエルも落ち込まない。テッド先生、これから話す事は時期が来るまで他言しないようにお願いします」


「わかっています。この地に住む者として、有益な情報のようでもありますから、フォルムの民に誓いましょう」


カインは真剣な表情をして、テッドに言うとカインの様子にテッドは真剣な表情をして頷く。


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