第32話
「良いから、下がれよ。ギドの魔法の巻き添えになりたいのか?」
「う、うっさい。それくらい。わかってるわよ」
ジークは銃身から煙をあげている魔導銃を腰のホルダに戻すと残っている魔導銃を構えながらフィーナに下がらせ、
「何があるかわからないから、こっちは壊せないからな」
「わかってるわよ。気をつければ良いんでしょ」
ジークは魔導銃が壊れた事はフィーナのせいだと言いたげであり、フィーナは少しだけ反省しているのか斧を握り直し、
「一先ずは右足?」
「腕の振りを考えると交わしやすいだろ」
「そうね。援護、よろしく」
2人は石の人形への攻撃箇所を右足に定めるとフィーナは地面を蹴り、石の人形に向かって駆け出して行き、
「……そろそろ、決着をつけたいんだけど」
「そうね。流石にしんどいわ」
ジークとフィーナは石の人形の攻撃を交わしながら攻撃を続けているがコアが破壊されない限り動き続ける石の人形相手では2人の体力が続かず、2人の息が上がり始めた時、
「……イクゾ。ヨケロ」
「待ってたぞ」
ギドから火炎球が放たれ、2人は左右に別れて飛び火炎球は石の人形を襲う。
「命中と、これで片付いたわ……ねえ。ジーク」
「何だ?」
「この人形って石よね?」
「そうだな」
ジークとフィーナは火が上がっている石の人形を眺めていると2人はその様子に何か不吉な事が思い浮かんだようであり、
「……石だと熱持つだけだったりするよね?」
「そうだな。コアまで届かないとただ熱くなるだけかな?」
石の人形は赤々と熱をあげており、ジークとフィーナに向かってくる。
「「ギド!?」」
「……スマナイ。クダケナイトオモワナカッタ」
2人は確実に攻撃力の上がった石の人形に魔法を使ったギドの名前を叫ぶとギド本人も火炎球で石の人形を倒せると思っていたようで申し訳なさそうに視線を逸らし、
「ど、どうするのよ!! あんなに熱を持ってたら、打撃は効かないわよ。って言うか、攻撃したら火傷するわよ!!」
「ど、どうするんだよ!!」
「ジーク、あんた、もう1発、最大出力で胸部を狙いなさいよ。コアを壊せばどうにかなるでしょ」
「壊れるだろ。修理する手立てもないんだぞ。こいつがないと商売あがったりだ!!」
ジークとフィーナは言い合いを始めながら石の人形の攻撃を交わしており、
「……ヨユウソウダナ」
「「そんなわけない!!」」
ギドは石の人形の攻撃を交わし続けている2人の様子にため息を吐くと2人は声を合せて叫び声をあげた時、石の人形は軋みを上げ始め、
「と、止まった?」
「熱でコアがショートしたか?」
巨大な音を立てて石の人形は地面に膝を付くと前のめりに倒れる。
「……結果オーライ?」
「そんなところかな?」
「……ノエルサマヲサガスゾ」
ジークとフィーナは動かなくなった石の人形と少し距離をとってみているとギドはこれ以上、ここにいるよりはノエルを探しに行くぞと言い、
「そうだな。ノエルの方もこんな感じだったら大変だしな」
「そうね」
ジークとフィーナは頷き、ノエルを探しに遺跡の奥を目指して歩き出す。