第30話
「……効いてる気がしないけど、どこか、弱点でもあれば良いんだけど」
ジークの予想通り、石の人形の身体は魔導銃の攻撃ではダメージを与えられない。
「……打撃は無理だよな? 絶対に痛いし、魔導銃が壊れたら元も子もないし、何より、こいつは俺じゃ直せないからな。出費がでかすぎる」
ジークは魔導銃で石の人形を殴りつける事も考えるが商売人でもある人間らしく直ぐに経費の計算をして赤字だと判断したようで、
「ギド、いつまでかかる?」
「……ズイブントヨユウソウダナ」
後方で魔法の準備をしているギドに聞くとギドは焦燥感の見られないジークの様子にため息を吐く。
「まぁ、動き自体は速くもないからね。だけど、その分、1発貰うと終わりだ。早いうちに決めてくれよ」
「……ソウシタイトコロダガソイツヲハカイスルホドノマリョクヲタメルノハジカンガカカル」
ギドは石の人形を破壊するには魔法の威力が不足しているため、時間がかかるようであり、
「……それじゃあ、しばらくは頑張りますか?」
「……ソウシテクレ」
ジークはため息を吐くと石の人形の攻撃を交わしながら魔導銃の引鉄を引いて行き、
「一先ずは、単発で倒せないなら集中攻撃だな。狙うは右足」
魔導銃の攻撃では簡単にダメージは与えられないため、1点を狙い打つ事に決めた時、
「当たれ!!」
「って!? フィーナ!?」
フィーナと3匹のゴブリンが姿を現し、フィーナは自分の剣では刃が欠ける事もあるからかゴブリンから斧を借りたようで石の人形の頭を殴り飛ばす。
「吹っ飛ばないか? 硬いわね」
「待て、硬いの一言で終わらせるな!?」
フィーナは渾身の1撃だったようで石の人形の動きは止まったがダメージにはなっていないため、舌打ちをするとジークは驚きの声をあげるが、
「うっさいわよ。こう言う相手がいるんだから、魔導銃とかじゃなく、斧とか槍とかにしなさいよ」
「そうじゃないだろ」
フィーナは斧を構えて石の人形の前に立つとジークに武器を変更するように言うがジークはため息を吐く。
「まぁ、打撃系が居れば、大部、楽になるか」
「だから、そんなひ弱な武器じゃなくて」
「良いから、構えろよ。時間稼がないとギドの魔法が飛んでこないんだから、お前の攻撃だってたいしたダメージはなかっただろ」
「魔法を使える仲間が欲しいわね。ノエルと何かするとしてもあの子、攻撃魔法、使えないし」
ジークは魔導銃を構えてギドの魔法まで時間を稼がないといけない事を伝えるとフィーナはゴブリンであるギドの魔法だよりと言う状況に人間としてどうなんだと言いたげにため息を吐くが、
「フィーナ、ノエルはドレイクだから……フィーナ、お前達はノエルと合流してないのか?」
「……残念ながらそう言う事、あの子1人は不味いから、ギド、急いでよ。ジーク、ダメージは少なくても削るわよ」
「あぁ」
「ワカッテイル」
この場にノエルだけが集まっていない事に気づき、あまり時間はかけられない事に気づき、全力で石の人形に向かい攻撃を開始する。