第29話
「……あれ? 俺がおかしいのか?」
「……いや、おかしいのはノエルだと思うわよ」
ジークは眉間にしわを寄せるとフィーナはおかしいのはノエルだと首を振るが
「みなさん、行きましょう♪」
「ちょっと、ノエル!?」
「ノエルサマ!?」
「……一先ず、追いかけましょうか?」
ノエルはこれ以上の良案はないと思っているようで1人で歩きだし、慌ててジークとギドはノエルを追いかけ、フィーナはため息を吐くと残っていた3匹のゴブリンと一緒に遺跡の奥に歩いて行く。
「ギド、この先には行ったのか?」
「マダダ。イキナリ、アカリガツイタノデナ。ウシロヲフリカエルトオマエラガイタノダ」
「……侵入者を感知するものじゃなかったのか?」
ジークとギドは直ぐにノエルを追いかけたはずだが、ノエルには追いつく事ができず、ジークはギドに遺跡の話を聞くがギド達もまだ奥には足を踏み入れていなかったと首を振り、
「なら、何に反応したんだ?」
「……ニンゲン、キヅイテイルカ? ドウヤラ、ノエルサマタチカラヒキハナサレタヨウダゾ」
「そうか。妖精達のイタズラ。忘れてた。ギドは気付けなかったのか?」
「……ノエルサマノコトニキヲトラレスギタ」
ジークとギドは妖精達が見せている幻術に魅せられている事に気づき舌打ちをして、
「ノエル達は合流していれば良いけどな」
「……ニンゲン、ドウヤラ、ノエルサマタチノコトヲシンパイシテイルヨユウハナサソウダゾ」
「……まったく、嫌になるね。ギド、悪いんだけど、支援、頼む。あれだと俺の魔導銃で撃ち抜けるかわからないから」
「……ジョウキョウガジョウキョウダ。シカタナイ」
ジークがノエルとフィーナの事を心配するように呟いた時、ジークとギドの前方から地響きを鳴らしながらジークの身長の倍くらいの大きさの石の人形が2人に向かってきており、ジークは腰のホルダから魔導銃を抜いて構えるとギドに援護を頼み、彼に石の人形の攻撃が当たらないように前に駆け出し、ギドは杖を構えて魔法詠唱の姿勢に入る。
「……この攻撃を喰らったら、骨は折れるよな」
ジークは目の前の石の人形を見上げると攻撃を喰らった時の事を考えたようで顔を引きつらせるが、
「いきなりかよ!? まだ、準備もできてないって」
石の人形の右手はジークを狙って大きく振り下ろされ、ジークはその攻撃を交わす。
「……痛い。まぁ、直撃を喰らうよりはマシだけど、ずっと喰らうと流石に不味いぞ」
石の人形が叩いた地面からは石が飛び、小さな石のつぶてがジークを襲う。当然、ジークは石つぶてを交わしきる事はできずにジークの顔には赤く小さな跡が浮かびあがる。
「……やっぱり、魔導銃じゃ、ダメージは小さいだろうしな。まぁ、やれるだけはやるけどさ。ギド頼みだな」
ジークは石の人形の大振りな攻撃を交わしながら、魔導銃の引鉄を引くが魔導銃から放たれた光は石の人形の身体を撃ち抜く事はできない。