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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
暗躍する影
287/953

第287話

「ノエルから聞いたけど、ルッケルとワームの連絡係ね」


「あぁ……と言うか、今日は何の用だ? 今は忙しいから後にして欲しいんだけど」


連絡係の件を承諾して数日が過ぎた時、調合室で薬の調合を行っていると調合室をエルトが覗き込む。

店番をしていたノエルに連絡係の事を聞いたようで何かあるのかエルトは顔を覗かせると直ぐにその件について聞くが、ジークは調合が終盤であり、うっとうしいのかため息を吐く。


「忙しいって、その薬草ってのが、届いたのかい?」


「まだ。ワームから、ジオスじゃ、まだまだ届くのに時間がかかる。薬草が届いたら、いろいろと試したいからな。それまでにできる調合はやっておかないといけないんだよ」


「浮かれてるのは良いけど、失敗して、材料を無駄にしないようにね」


ジークの様子にエルトは首を傾げるが、ジークは既に新しい薬草の事で浮かれているように見え、エルトは苦笑いを浮かべた。


「わかってる……本当にあの時はもったいない事をした」


「色ボケ中は調合成功率が5割だっけ?」


「……3割を切った」


ノエルと正式にお付き合いを始めた時は、どこか心が浮ついていたようで、ジークの調合成功率は落ち込んでおり、改めて冷静になると無駄な事をしていたとジークは肩を落とす。


「落ち着いて何よりだよ」


「あぁ、危なく、商品棚から商品がなくなるかと思ったからな」


「終わった?」


「終わったけど、何かあったのかよ」


店の商品が底を尽きそうになった時にジークは冷静になれたと言った時、彼の手は止まり、エルトはジークの調合が一段落終えたと思ったようで状況を確認する。

その様子にエルトからジークに話があるのは透けて見えているようで、ジークはまたおかしな事に巻き込まれるのではないかと思っているのか、ため息を吐いた。


「この間のジークの薬に宿る魔力の話なんだけど」


「なんか、わかったのか?」


「いや、これがまったく、ライオは全然進んでないって言うし、本当かどうか研究してくれてる生徒達にセスを接触させてみようと思ったんだけど……セスじゃねえ」


エルトは先日から、魔術学園で研究して貰っているジークの薬の話を出そうとするが、研究はまったく進んでいないようで大きくため息を吐く。


「エルト様、そのため息はなんですか?」


「ジークさん、休憩にしませんか?」


その時、ジークの作業が終わる頃だと思ったのか、ノエルとセスが顔を出し、エルトのため息が聞こえたようでセスの額にはぴくぴくと青筋が浮かんでいる。


「融通が利かないし、色仕掛けを仕掛けて貰おうとしても魔術学園じゃ、カイン一筋って知れわたってるから」


「確かに腹芸は不向きな人だしな」


「あ、あの。もう少し、言葉を選んではいかがでしょうか?」


しかし、ジークもエルトもセスの事をフォローする事などなく、ノエルは苦笑いを浮かべた。


「とりあえず、お茶にでもするか?」


「えーと、セスさんへのフォローは?」


「いや、俺はセスさんをバカにしてないし、ラング様も言ってたけど、向き、不向きの問題だから、エルト王子もセスさんも行きましょう」


ジークはセスの事をバカになどしていないと思っているため、2人に調合室の簡単な

後片づけを終えたようで店に向かって歩き出す。


「しかし、レギアス様とジークのおばあ様が師弟関係にあったとは……」


「俺も驚いたよ。どこで繋がってるかわからないな」


店の中に戻るとすでにノエルが4人分のお茶が用意されており、4人が席に着くと、セスはアリアとレギアスの関係に驚いているようで直ぐにジークに聞き、ジークも予想していなかった事であったため苦笑いを浮かべた。


「セスは知らなかったのかい? セスはジークのおばあ様の名前は知っていたんだろう?」


「名前は知っていました。しかし、後進の指導をしている事は知りませんでしたし、その教え子の中にレギアス様がいるとは思っていませんでした」


セスはエルトの質問に首を横に振ると何かあるのか、眉間には小さなしわが寄っている。


「何かあったんですか?」


「いえ、確かにレギアス様はワームで医療の事に力を入れています。レギアス様がワーム近隣の街道整備に力を入れているのは街道がしっかりと整備されていれば、馬車での移動も事故などがなくなり、医師や物資の移動がスムーズになるからです。ジオスはジークがいます。しかし、他の場所では」


セスはレギアスが力を注いでくれているものの、辺境の村では医師や調合師の不足は大きな問題のようでその事に対策手段を考えなければいけないと思っているようである。


「レギアス様って、立派な方なんですね」


「そうだね……」


「どうかしたか?」


ノエルは改めて、レギアスが立派な人物だと思ったようでうんうんと頷くが、エルトの返事はどこか気が抜けており、ジークは首を傾げた。


「うん。レギアスは確かに立派なんだけど、その父親があまり良い人間じゃなくてね。エルム家はレギアスがその父親を失脚させて家督を継いだと思ったんだよ。まだ、その父親は健在だったはずだし、シュミットと接触していると面倒な事になるんじゃないかな? って」


「そう言えば、レギアス様が父親が私欲で集めた財を使って薬草を育てたって言ってたよな」


「そうですね」


エルトはレギアスの父親の事を考えていたようであるが、ジークはどこかで貴族の権力争いは自分には関係ない話だと思っているようで反応は鈍い。


「ジーク、反応が鈍くないかい?」


「いや、実際、貴族の権力争いって、平民の俺から考えると別次元の話だしな。だから、わけのわからない事で巻き込まれるのは遠慮したいんだよ。だから、そっちでシュミットって小者をどうにかしてくれよ。今回も裏で何か企んでいるみたいなんだよ。それもすでにその尻尾が見えているって言う小者っぷりだぞ。あー、もしかしたら、レギアス様の父親にすでにあごで使われているかもな。そして、トカゲの尻尾切りのように切られる」


エルトはジークの反応にため息を吐くが、やはり現実味がないようでため息を吐いた後、レギアスから聞いたシュミットの話を持ち出す。


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