第27話
「ちくしょう。ぽんぽんと魔法を放つなよな。距離が詰められないだろ」
ジークはフィーナに3匹のゴブリンを任せて魔法を使うゴブリンに向かい駆け出しているが、ゴブリンは接近戦ではジークに分があると思っているようで彼を近付かせないように魔法を放ち続ける。
「……このまま行けば、魔力は尽きると思うけど、時間が長引くと……そうなるとフィーナが片付けちまうよな」
ジークはゴブリンの魔力が尽きる事を計算に入れようとするがジークは3匹のゴブリンの命は助けてやりたいようでため息を吐くと立ち止まり、
「……ここからは本気だ。説得に応じるまで付き合って貰うぞ」
身体の先までに血液を送り込むために大きく深呼吸をして大量の酸素を肺に取り入れる。
「……壊れるなよ。相棒」
「!?」
立ち止まったジークを見てゴブリンはジークに火球を放つがジークはその火球を魔導銃で撃ち抜き、火球は大きな爆発を起こし、予想外のジークの行動に一瞬、ゴブリンは呆けるが彼はその爆発の中を前に進み、
(……まずは魔法の発動体である杖を)
ゴブリンの目の前まで駆け寄ると魔導銃の銃身で杖を横に打ち払い、ゴブリンの手から杖を弾き落とす。
ゴブリンはジークの攻撃に何があったかわからないようで目を白黒させるがジークは行動を止める事ない。
魔導銃を持っていた手を切り返し、魔導銃持ち手の部分をゴブリンの肩に振り下ろすとゴブリンはその攻撃に反応する事はできず、
(……この感触は折れたか? まぁ、殺されるよりはマシだよな)
魔導銃を肩に打ち下ろした音とともに何かがゴブリンの骨は折れたのか鈍い音が響き、ゴブリンは痛みに苦悶の表情を浮かべながら膝を付く。
ジークはゴブリンの様子と手に伝わる感触にゴブリンの状況を推測するとノエルと関わったからこそ感じる罪悪感に小さくため息を漏らすと、
「……言葉は通じていないと思うけど、降参してくれると助かる」
魔導銃銃口をゴブリンの額に押し当て言葉が通じないゴブリン相手でも命は奪いたくないと言いたいようで爆発ですすだらけになった顔に苦笑いを浮かべる。
「……コウサン? ワレラトキサマラノアイダデソンナモノガアルワケガナイダロ」
「……あれ? 話せるの?」
「……コノクライハトウゼンダ」
「そうなら、もう少し穏便にしてくれよな」
ゴブリンは降参する気はないようでジークを睨みつけるとゴブリンの口からは発音が多少異なるが人族の言葉が発せられ、ジークは話くらいは聞いて欲しいとため息を吐くと魔導銃を腰のホルダに戻す。
「……ナゼ、トドメヲササナイ?」
「ノエルも言っただろ。俺達は戦う気はないの。お前は知らないけど、ノエルに泣かれると酷く悪い事をしている気がするんだよ」
「……ドレイクサマニホレタカニンゲンノブンザイデ」
「……そんなんじゃない。それで、一先ずは話し合いに乗ってくれ」
ゴブリンはジークがノエルを気にかけている事に1つの答えを導き出し、ジークは眉間にしわを寄せる。