第26話
「……」
「ジーク」
「一先ずは話は通じてるみたいかな?」
ノエルの呼びかけにジークと対峙していた3匹のゴブリン達は顔を見合わせ何かを相談し始めたため、ジークは魔導銃を腰のホルダに戻すとゴブリン達を警戒しながらもノエルとフィーナの場所まで戻る。
「えーと、ジークさん、フィーナさん」
「ん? わかって貰えた?」
「……後ろのゴブリンさんから裏切り者って、言われました」
ノエルとゴブリン達との会話も終わったようでノエルが2人を呼ぶが説得は失敗したようでノエルは残念そうに肩を落とし、
「……えーと」
「……バカジーク、あんた、何で戻ってきてるのよ?」
ジークはノエルの言葉に振り返り、ゴブリン達の様子を見ると回復魔法で治療を終えたのかゴブリン3匹はこちらに向かい駆け出してきている。
「い、命を助けたのに!? この仕打ちかよ!?」
「……すいません」
ジークは慌ててホルダから魔導銃を抜くと再度、ゴブリンの前に躍り出て3匹のゴブリンの突撃を止める姿にノエルは申し訳なさそうに頭を下げ、
「……今は、それどころじゃないかな。ノエル、悪いんだけど、あいつらの命を助けてやれる余裕はないわよ」
「は、はい……」
フィーナはジークとゴブリン達の位置を考えるとノエルにも攻撃の手が来る可能性もあるため、短期決戦に持って行こうと判断したようでジークの隣に駆け出して行く。
「フィーナ、ここ、任せても良いか?」
「何? 考えでもあるの?」
「……やる気があるのはたぶん、後ろの奴だけだ」
「……そう。わかった。って、返事くらい聞きなさいよ!?」
ジークはフィーナが駆け付けてきた事で何か考えがあるのかこの場所を任せると言うとフィーナの返事を待たずに彼女にゴブリン3匹を任せて後方にいる魔法を使用するゴブリンに向けて駆け出して行き、
「まったく、ノエル、ジークが分からず屋をぶっ飛ばしてくる気らしいから戦闘を長引かせるわよ。そうすれば、こっちの3匹は助けられるかも知れないから、だから、支援魔法、防御力か回避力に関係ある魔法があったらお願い」
「は、はい。わかりました」
フィーナは襲いかかってくる3匹のゴブリンの攻撃を剣で弾き返しながら、ノエルに補助魔法を頼むとノエルは深呼吸をすると魔法の詠唱を開始する。
「まったく、ジーク、上手くやりなさいよ。あんた達も自分の意見くらい持ちなさいよ!! こっちが引いてるんだから、ノエルの話を聞いてるんだから、後味の悪い戦闘なんかさせないでよ!!」
フィーナは後ろのゴブリンに従っているだけの3匹のゴブリンにイラついているようで怒鳴り散らすと剣を振りまわし、3匹のゴブリンの武器を弾き飛ばし、
「……ノエル、攻撃補助は私、頼んでないんだけど」
「す、すいません!? ま、間違えました!?」
「……本当に魔法も得意じゃないのね」
「すいません……」
フィーナは自分にかけられた魔法が自分が頼んだものとは違うため、ノエルに声をかけると彼女は小さく肩を落として謝る。