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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
救出大作戦?
240/953

第240話

「えーと、ジオス、王都のカインの家、集落……カインがワームはマーキングしとけって言ったから、転移先にしたけど、おっさんにばれたら便利に使われる気がするんだよな」


「そうですね。でも、お買い物をすると考えるとワームは良い場所だと思いますよ」


ジオスに戻るとジークとノエルはアーカスの家に向かって歩きながら、カインから貰った魔導機器の転移先を話している。

カインの薦めもあり、ワームにマーキングしてきたのだが、どこか納得がいかないところがあるようで眉間にしわを寄せた。ノエルはジークの様子に苦笑いを浮かべるとワームの街並みを思い出したようで少しだけ興奮しているように見える。


「まぁ……いつもいつも人波に流されなければな」


「そんなに流されません!?」


「……説得力はないから」


ノエルの様子にジークは表情を緩ませ、彼女をからかうとノエルは顔を真っ赤にして反論をするが彼女はワームでも人波に流されたようでジークはため息を吐く。


「そ、そんな事はないです」


「そう思うなら、もう少し気を付けてくれ。近いうちに王都にも行ってこようと思うんだから」


「はい……王都に行ってくるんですか?」


ジークの言葉に肩を落とすノエル。ジークはその様子に少し罪悪感を覚えたようで彼女から視線を逸らすと王都に行く事を伝えるが、ノエルはジークがエルトに巻き込まれるのを嫌がっている事もあり、不思議そうに首をひねる。


「まぁ、魔族とはち合わせた時、少しでも言葉がわかった方が良いと思ってさ。カインの家には魔族の言葉の本もありそうだしな。なかったら、王立の図書館にでも行く」


「はい。それはいい考えだと思います」


「まぁ、わからないところがあったら、ノエルに教えて貰うから、よろしくな」


「はい。頑張ります」


ジークはゴブリンやリザードマンと話をできない事で考える事もあったようで苦笑いを浮かべるとノエルは大きく頷く。


「後はルッケルかな?」


「そうですね。アズさんにはお世話になってますし、いろいろと便利だと思います」


「でも、ルッケルだと馬車もあるし……そうだな。転移魔法が良いな」


ジークは最後の1ヶ所をルッケルにしようかと考えるもルッケルとの取引は定期的に商品を取りに来てくれるため、あまりメリットも感じられないが、馬車の苦手なノエルの視線に気が付き、ルッケルに決める。


「はい。転移魔法が良いです」


「なら、ルッケルだな。今度、ルッケルに連れてって貰おう」


「そ、そうですね……あ、あの。カインさんがいる間に、1度、ルッケルに行って貰うわけにはいきませんか?」


ノエルはジークが頷いてくれた事に安心したようで胸をなで下ろすが、そのためには1度、ルッケルに行く事が必要であり、その事実に気づき、顔を引きつらせる。


「流石に、そんなヒマはないだろ。今回だって、地味に無理してた感じだしな」


「そうですよね。フィーナさんに手伝わせるくらいですし」


カインはジオスに戻ると直ぐに荷物の整理を再開させ、荷物運びにフィーナを使っている。


「……フィーナに片づけを手伝わせるなんて暴挙でしかないんだけどな」


「そ、それは言いすぎだと思いますよ。きっと……」


フィーナにいつも店内を荒されているジークはカインがした失敗に眉間にしわを寄せ、ノエルは言いすぎだと言うが、彼女もフィーナの日頃の行いを見ているせいか、ジークから視線を逸らす。


「まぁ、これを届けた後に、1度、顔を出して見るか? 俺達もカインに手伝って貰ったわけだし、それくらいしてもバチは当たらないだろう」


「そうですね。お掃除、頑張りましょう」


「……ノエル、お前の中で、カインの部屋はどこまで荒れてるんだ」


「そ、そんなに酷くは考えてません!!」


「……それ、考えてるのと変わらないから」


カインの部屋が心配になってきたようで、ジークはカインの荷物の整理を提案するとノエルは大きく頷く。

ノエルの中でカインの部屋は恐ろしい事になっているようであり、両手を握りしめて気合いを入れるが、ジークは苦笑いを浮かべると彼女は慌てて否定する。


「とりあえず、早く済ませて、ノエルが想像しているくらいまで荒れないうちに戻るか?」


「はい。そうしましょう」


「と言うか、別に今日じゃなくても良いのか?」


2人は歩く速度を少し上げるが、ジークは今更、アーカスのところに行くのは別の日で良いのではないかと言い始める。


「あの。ここまできたんですから、アーカスさんのところに行きましょうよ」


「まぁ、そうなんだけど、今から、あの罠地帯を抜けると考えると遅い時間になりそうだしな……なぁ、ノエル」


ジークはアーカスの家までの罠地帯を抜けるのが面倒なようで頭をかくが、何かを思い出したようでノエルの名前を呼ぶ。


「どうかしましたか?」


「ゼイを追ってきたリザードマン2人って、どうなったかな? 無事に集落に帰ったかな?」


「あっ!? ど、どうなったんでしょう?」


「後でシルドさんの店で聞いてみるか?」


「そうですね……何事もなければ良いんですけど」


ジークはゼイを追ってジオスの周辺まできたリザードマン2人の事を思い出し、ノエルは魔族が人族の村近くにくる危険さをジークやカインから聞かされているため、」顔を青くするが、その心配は直ぐに払拭される事になる。


「……生捕りか?」


「そ、そうですね……じゃ、ないです!? ジ、ジークさん、直ぐに助けましょう」


「止まる。ノエルが1人で行くと二次遭難だから」


2人がアーカスの家の罠地帯の入口に差し掛かったところ、アーカスの家との中間あたりで、巨大なトカゲが2匹、木に吊るされている。

ジークはそのトカゲが心配していたリザードマンだと気づいて、ため息を吐き、ノエルは慌てて駆け出そうとするが、ジークは彼女の首根っこをつかむ。


「とりあえず……人が近付かない事が幸いしたな」


「ジ、ジークさん、急ぎましょう」


「あぁ。いつから捕まってるかわからないけど、下手したら、餓死だ」


ジークは改めて、アーカスの家に誰も近寄らない事に大きく肩を落とすも、リザードマンの安否が気になるようで罠を解除しながら先を進んで行く。

罠から助けられたリザードマン2人は転移の魔導機器が使えるようになるのを待って、無事に集落に送り届けられた。



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