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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
救出大作戦?
237/953

第237話

「ダイジョウブカ?」


「一応は攻撃はされてないわ」


しばらくするとゴブリン側はリザードマンへの反撃を企てた者達も説得されたようで、ゴブリン側はゼイを使者に立て、捕虜になっていたリザードマン2体を返還する事で和平交渉の場を設ける事はできないかと提案する。

リザードマン達も卵を守る必要があり、無駄な戦争は起こせないが直ぐに返事はできないと言い、ゼイを使者として丁重に扱うとジーク達の元へと案内した。


「ゼイ、助かった。ゴブリン達がリザードマン側に攻撃してたら、俺達、確実に殺されてたからな」


「ノエルは安全だとしても、俺達は不味かったね。まぁ、その時は転移魔法で逃げるつもりだったけどさ」


和平交渉に向け動き出した事にジークは取りあえず、安心したようで胸をなで下ろす。その隣で逃げ道を確保していたカインはあまり恐怖を感じていなかったようである。


「逃げ道を確保してるなら、言いなさいよ!!」


「言うまでの事じゃないだろ」


フィーナはカインとは違って不安を感じていたようで不安を怒りに変換し、カインの胸倉をつかもうとするが、カインはため息を吐くとフィーナの手を払う。


「しかし、反撃しようとした奴らが直ぐに落ち着いてくれて良かった」


「そうですね。リザードマンさん達も話し合いの場所に立ってくれるでしょうし」


「コドモ、ウマレル。サッキダツ、ワカル」


ジークとノエルは戦争に発展する事はないだろうと言った時、なぜか、ゼイの口からはゴブリン側が知らないはずの情報が出る。


「……ゼイ、どうして、お前がそれを知ってる?」


「ドウシテ? ジーク、ナニガイイタイ?」


ジーク、ノエル、フィーナの3人はゼイへと疑問をぶつける。しかし、ゼイは何が言いたいのかわからないようで首を傾げた。


「どうして、リザードマンが卵を守ってるって知ってるのよ?」


「……カイン、ハナシテナイノカ?」


フィーナはゼイにわかるように聞き直すが、ゼイはカインへと視線を移す。


「あの、カインさん、どう言う事ですか?」


「……おい。お前、俺達をだましたな」


3人の視線はゼイに続くようにカインへと向けられるとカインは楽しそうに口元を緩めており、その表情から全てがカインの手のひらの上だと言う事は予想が付く。


「まぁ、和平交渉をするにしてもリザードマン側の内部情報を知らなければ、無駄な血が流れたかも知れないからね」


「どこからだ?」


「ジークは不思議に思わなかったかい? あの、タイミングでゴブリン達が反撃に出た事に、その上、リザードマン達の拠点に逃げるまで、1度もゴブリン達と接触しなかった事に」


「……全部、嘘か?」


カインが使い魔で見つけたゴブリン側の反撃はカインの狂言であり、ジークの眉間にはくっきりとしたしわが寄る。


「あ、あの。どう言う事ですか?」


「昨日の夜にギドとは接触したけど、ギドもどうして、リザードマン達が戦争を仕掛けないか合点がいかなかったみたいだからね。その理由を知れば、ゴブリン側も譲歩できるところは出てくるだろ? 俺達やゴブリン達には話す事ができなくてもドレイクのノエルになら言う事もあるかと思ってさ。だから、ギドと打ち合わせをして、一芝居打ったわけだよ。ちなみに俺がノエルに使い魔を同行させなかったのは使い魔で常時、ギドと連絡を取っていたからだよ」


「……確かに、だけど、お前はノエルがドレイクだって知ったのはギドが口を滑らせたからだろ。それだとおかしいだろ」


カインはすでに昨晩のうちにギドと打ち合わせていた事を白状するが、ジークは納得がいかない事があるようで首を傾げた。


「それはギドから、昨日のうちにノエルがドレイクだって聞いてたし、まぁ、ゼイやジーク、フィーナの反応を見てるとノエルがかなり上位の魔族だって事は予測できたから、作戦遂行のために必要だと言って聞きだしたんだけどね」


「……なら、あの時のギドが口を滑らせたのはわざとかよ」


「いや、あれは俺もノエルの正体を知っているから、気を抜いただけじゃないか? それはギドにしかわからない。気になるなら、後で本人に聞いてみれば良い」


カインの言葉からジークは自分達がカインとギドに謀れた事に大きく肩を落とす。カインはその反応に興味がないようでギドに丸投げをする。


「……納得がいかないわ」


「だよな」


「あ、あの。それでも、話し合いで解決するなら、それで良かったんだと思います」


血を流す事なく、平和的に解決するには必要な事なのかも知れないが、騙されていたジークとフィーナは面白いわけもなく、眉間にしわを寄せた。

ノエルも納得はいかないものの、平和的に解決する事の方が重要だと割り切ろうと2人をなだめ始める。


「後はリザードマン達がバカな判断をしない事を祈るまでだね。子供を守るために間違った選択はしないでくれると良いけどね」


「そうだな……なぁ、カイン、ゴブリン側はどこまで、リザードマン達を助けてくれると思う?」


「そうだね。少なくとも、子供達が孵化するまでは協力してくれるんじゃないかな? 拠点とは言え、孵化させる場所にしてはやっぱり良くないだろうしね」


2つの種族の出す答えが気になるジークはカインへと質問をぶつけた。カインは予測でしかないが、リザードマンの孵化まで協力してくれると答える。


「あ、あの。カインさん、それだと、子供達が産まれてから、リザードマンさん達はどうなってしまうんでしょうか?」


「まぁ、ゴブリンの集落に居座るわけにもいかないだろうからね。新しい土地に集落を作らないといけないだろうね。まぁ、そこら辺は、ギドといくつか候補は挙げたよ」


ノエルはその後のリザードマン達の事が心配なようでカインへと質問するとカインはリザードマンは新しい集落をつくる必要があると言い、既にその事でもギドとの話し合いを終わらせているカインに死角はない。

その時、リザードマンの1人がゴブリン側の使者であるゼイの元に訪れ、リザードマン側は話し合いの席に出席する事を告げる。


「話し合い成立みたいです」


「そりゃ、良かった。後はギド次第だな。ここで滑られるといやだな」


「まぁ、一応、俺も使い魔を使ってその場所に立ち会うから、安心してよ」


「……どうしてかしら、一気に不安になったわ」


和平交渉の会談が成立した事にジークとノエルは安心したようで表情を綻ばせる。しかし、カインの口から発せられた一言にフィーナの眉間にはくっきりとしわが寄った。


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