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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
救出大作戦?
236/953

第236話

「……何と言うか、凄く居心地が悪い」


「そうね」


カインの支持の元、リザードマンの拠点に逃げ込むが、人族であるジーク、フィーナ、カインの3人はリザードマンに囲まれ、殺気のこもった視線を向けられるだけではなく、剣の切っ先を向けられている。

ジークとフィーナは突き刺さる視線に居心地が良いわけはなく、戦うつもりはないと両手をあげるが、人族の言葉のわからないリザードマン達は警戒を解く事はない。


「まぁ、状況が仕方ないね。ノエルはドレイクだけあって、丁重に扱われてるみたいだけど、俺達の命は今、彼女が握っているわけだよ……だから、これを機にジークの周りにうろつく恋敵フィーナを亡き者にするのも可能だね」


「そんな事はしません!?」


そんな2人の隣でカインは落ち着いた様子で性質の悪い冗談を言い、その冗談が聞こえたノエルは驚きの声を上げた。


「なるほど、敵にもならないと言う事だね。まぁ、相手がフィーナなら、ノエルの圧勝だしね。歯牙にもかけてないと言う事だね」


「ち、違います。そんな事は思ってません」


「……カイン、こんな時に悪質な冗談は止めてくれ。だいたい、今の俺達の命綱はノエルなんだから」


「仕方ないね」


ノエルの反応に楽しくなってきたのか、カインは続けるがノエルとカインの様子にノエルがカインに遊ばれている事を感じ取ったようでリザードマン達の殺気のボルテージは1段階跳ね上がった。

その殺気に耐えきれなくなったようでジークはカインに自重するように言い、カインはつまらなさそうに返事をする。


「それで、ノエル、話はどうなったの?」


「は、はい。見ていただけるとわかりやすいとは思うんですけど……」


「あー、やっぱり、人族の俺達にはあまり立ち入って欲しくないような事なんだな」


カインの相手をしていては、状況は好転しないと思ったようでフィーナはリザードマンとの会話の内容を聞く。

ノエルの後ろにはリザードマンのリーダーが立っており、ノエルをどこかに案内しようとしているようだが、ジーク達は連れて行きたくないようであり、こちらを睨みつけている。


「ノエル、とりあえず、リザードマンに何があったかだけ、教えてくれ」


「あ、あのですね」


「今はリザードマンの繁殖期で、人数は居ても、戦力にならないからギドを人質に取って戦争を回避する方向で時間稼ぎをしていたみたいなんだよ」


「ど、どうして、知ってるんですか!?」


ジークはノエルが案内される先に何があるかと聞き、ノエルが答えようとした時、カインは楽しそうに笑う。

その言葉にノエルは驚きの声を上げ、カインが最初からリザードマンが戦争に消極的だったと知っていたと気が付いたジークとフィーナは眉間にしわを寄せる。


「……お前、最初から知ってたな」


「まぁ、リザードマンは卵生だしね。確か、この時期だったような気がしただけだよ。ノエルは孵化に立ち会うって事かい?」


遊ばれている事に納得がいかないジークはカインを睨みつけるが、当の本人は気にした様子などない。


「はい。まだ、孵化には少し早いみたいなんですけど、状況を見て欲しいって事なんで、わたしは行ってきます」


「……ノエル、見に行く前に大人しくしてるから、剣をチラつかせるのは止めて欲しいって伝えてくれ」


「そうね。ノエル、お願い」


「は、はい。わかりました」


ノエルはリザードマンの卵を見に行くと頭を下げる。ジークはノエルにリザードマン達に話を通して欲しいと頼み、ノエルはリザードマンのリーダーにジーク達の扱いの改善を頼む。


「……取りあえず、剣が向けられてない分、待遇は改善されたな」


「それでも、視線が痛いけどね」


ドレイクであるノエルの頼みを断るわけにもいかなかったようで、ジーク達3人を囲んでいたリザードマン達は剣を腰の鞘に戻す。その様子にジークとフィーナは安心したようで胸をなで下ろす。


「あ、あの。それでは行ってきますね……」


「あぁ……どうかしたか?」


「あの。カインさんの使い魔は付いてきてくれないんですか?」


ノエルは歩き出そうとするが、1人は不安なようでカインについてきて欲しいと言う。


「今は、ゴブリン達が攻めてこないか、監視してるから無理だね」


「そ、そうですか? それではわたしは行ってきますね」


カインはリザードマン相手に好戦的なゴブリン達が仕掛けてくる可能性もあるため、使い魔での監視は止めるわけにはいかないと言い、ノエルは頭を下げるとリザードマンのリーダーとともに歩いて行く。


「なぁ、カイン、ゴブリン達って、ここに攻めてくるのか?」


「その可能性は低いね。ギドは和平をしようとしてるし、18人程度ではリザードマンの拠点を攻めるには人数が足りない。ギドやゼイも落ち着くようにと説得に移るだろうから、もう少ししたら、頭も冷えるだろうしね」


「そうだと良いわね」


ノエルの背中を見送るとゴブリン達が攻めてこないか心配しているようで、ジークはカインに聞く。

カインはジークの心配など気にする事はなく、フィーナは楽観的なカインの様子に大きく肩を落とした。


「何だい? お前達はギドやゼイがゴブリン達を説得できないと思うのかい?」


「そんな事はないけど……流石に、状況が状況だろ? ゴブリン達はいきなり攻められて、ギドまで人質に取られてたわけだし、それにお前だって、ゴブリン達の警戒のために使い魔で監視してるじゃないかよ」


ジークはギドやゼイの事は信用していると答えるが、怒りの矛先の収めどころが見つからないようで眉間にしわを寄せる。


「大丈夫。大丈夫。ゴブリン達だって、バカじゃないよ。リザードマン達が戦争を仕掛けなかった理由やドレイクであるノエルの説得もあるしね」


「そうだと思いたいわね……ねえ、今更なんだけど、ノエルがドレイクだって、リザードマン達はどうしてわかったの? 魔導機器の影響で角だって見えないのに」


カインは自分達にできる事はないと言い、フィーナはため息を吐いた時、頭に1つの疑問がよぎる。


「そう言えば、そうだな……」


「あー、たぶん、人族の目にはノエルの角は映らないけど、魔族には関係なく見えてるんじゃないかな?」


フィーナの疑問にジークも不思議に思ったようで首を傾げると、カインはどうでも良さそうにおざなりに答える。


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