第23話
「いやいや、そんなオチってあるのか?」
「ジーク、ノエルの言う事が本当なら妖精に失礼よ」
「……失礼で良いだろ」
ジークは眉間にしわを寄せるとなんと言って良いかわからないようであり、
「でも、仮にそうだとしても実際問題、この中に突っ切れるのか? ノエルを疑うように聞こえるかも知れないけど確証がないわけだしな」
「確かにね。まだ、可能性の問題なんだし」
ジークとフィーナはまだ妖精のいたずらとは思えないようで先を進むのをためらっていると、
「大丈夫です。行きましょう」
「ちょ、ちょっと、ノエル、待って!?」
「ノ、ノエル!?」
ノエルは問題ないと言い、通路に出るとジークとフィーナはノエルを止めようとするが、その時、ノエルに向かい赤々とした炎が襲いかかり、
「大丈夫です」
「ほ、本当だな」
「幻術か? 私もジークも魔法を使えないから、ノエルがいて良かったのかな?」
炎が消えるとノエルは笑顔で立っており、ジークとフィーナはノエルの周りまで歩いて彼女にケガがないか確認するが彼女の身体や服はどこも焼けていない。
「……何か、納得はいかないんだけど、先には進めるし、行くか?」
「そうね」
「はい。行きましょう」
ジークは眉間にしわを寄せながら先を進むと言うとフィーナもジークと同じく納得しきれていないようで眉間にしわを寄せているがノエルは役に立てた事が嬉しいようで笑顔で返事をすると、
「……お、おう」
「……ジーク、あんた、何、考えているの?」
「な、何も考えてない!? い、行くぞ」
ジークはノエルの笑顔に一瞬、目を奪われ、ジークの反応にフィーナは不機嫌そうにジークに聞くと彼は変に詮索される事を避けたいようでランタンで足元を照らしながら歩きだし、ノエルとフィーナはジークの後に続いて歩きはじめ、
「なぁ。ノエル、妖精達の気配で何かわかるか? おかしな幻術で道があるところに道がなくて、道がないところに道があったら困るから」
「……本当に困るわね」
「ジ、ジークさん!? だ、大丈夫ですか!? み、見せてください。今、治癒魔法を使いますから」
ジークはノエルに妖精達のいたずらのある場所がわかるか聞いたところでなかなか良い音が響き、ジークは額をぶつけてあまりの痛みに両手で額を押さえてうずくまり、ジークの様子にフィーナはため息を吐き、ノエルはジークを心配するようにジークに駆け寄り、ジークの治療をすると言うが、
「だ、大丈夫。この程度なら治癒魔法をかけて貰うまでもないから、それより、どこに通路があるかわかるか?」
「あ、はい……」
ジークは頭を押さえながらノエルに治癒魔法は必要ないと言うと行き止まりに来てしまったため、ノエルに魔法で通路を探して欲しいと言うとノエルは返事をした後に気持ちを落ち着けるために大きく深呼吸をし、妖精達の魔力が強いところを探し始め、
「これはノエルがいなかったら、あんた、何もできなかったわね」
「確かにな…………笑うな」
フィーナはノエルが一緒だから先に進めると言うとジークは頷きながら持ってきた塗り薬を額に塗るとフィーナはあまり見ないジークの姿に笑いをこらえており、ジークは少し恥ずかしいようで不機嫌そうに彼女から視線を逸らす。