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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
救出大作戦?
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第229話

「で、ギドは無事だったか?」


「ん? それはまだ」


ジークはお茶をカインに渡すとカインは一口付けるがまだ熱かったのか直ぐに口を放した。


「まだ? あんた、何を調べてきたのよ?」


「フィーナさん、まずはお話を聞きましょうよ」


ギドの安否が確認できていない事に不満を口から漏らすフィーナ。ノエルはカインが無駄な事をしているとは思えないようで彼女をなだめようとする。


「まだって事はこれから接触するのか?」


「あぁ、捕えられて居そうな場所には当たりを付けてきたけどね。ちょっと、警戒が強くて警戒が緩みそうな時間にしようと思ってね」


カインはゼイから聞いて書いた集落の見取り図に自分が使い魔で見た物を書き足して行く。


「ココ、ギドサマ、イル?」


「たぶんね……って、出て行こうとしない」


「ハナセ。オレ、ギドサマ、タスケル」


カインがギドが捕えられている建物に印を付けるとゼイはテントを出て行こうとする。その様子にカインは大きく肩を落とすとゼイの首根っこをつかみ、彼女を引き止めるがゼイはギドを助けたいようでじたばたと暴れ出す。


「ゼイ、落ち着け。カインの話は終わってない。それに……」


「はいはい。言い難いのは俺の仕事だね。無理に助けに行くとリザードマンがギドを殺す可能性だってあるからね。現状で言えば、ギドがゴブリン達に慕われているから、ギドを人質にしてゴブリン達を押さえつけている段階。間違って殺してしまえば、ゴブリン達からの報復もあり得るから、下手に命を奪う事はしない」


ゼイが飛び出して行く事はギドの安否にも関わってくる事をカインはゼイに説明するがゼイは理解できていないのか頭の上には『?』を浮かべている。


「……簡単に言えばゼイがおかしな事をするとギドが殺される」


「ワカッタ。トマル」


その様子にカインは苦笑いを浮かべて、簡単な説明にすると納得はできたようで大きく頷く。


「それじゃあ、話を戻すか? 現在、俺達がいる場所はここ。集落の西に位置している。そして、リザードマンが拠点を作っているのは集落から東の場所な。リーダーは集落の中心にある建物を占拠してゴブリン達に睨みを利かせているけどな」


「集落を挟んで、真逆にいるのか? 離れた場所が野営地で良かったな」


「そりゃ、リザードマンがどこにいるか、当たりは付けてたからね。鉢合わせみたいなバカな事はしませんよ」


リザードマン達と距離がある事に少し安心したようで胸をなで下ろすジーク。しかし、そんな彼をあざ笑うかのようにカインはリザードマン達の位置など最初から知っていたと言う。


「……何で、そんな事がわかるんだよ?」


「ゼイから、集落の周囲の地形も聞いてたしね。どこが手薄かくらいは予想が付くよ。元々、リザードマン達の目的が戦力拡大なら、リザードマンとは言え、それくらいは考えて攻めてくるだろ」


カインにバカにされた事もあり、眉間にしわを寄せるジーク。カインは人質を確保している事や集落の占拠の仕方から、それなりに頭の回るリザードマンが混じっている事を推測しているのか小さく口元を緩ませた。


「……また、ろくでもない事を考えてるわね」


「そ、そんな事はないと思いますけど、そ、それより、あの、カインさん」


カインの表情にフィーナは嫌な予感しかしないようで眉間にしわを寄せるとノエルは何か心配事があるのか不安そうな表情でカインの名前を呼ぶ。


「なんだい?」


「あの、ギドさんを助けたら、平和的に解決しませんかね? やっぱり、あの……」


ノエルは人族と魔族の平和を主張している事もあり、無駄に命を奪いたくないようだが、カインがその事を考えてくれるかわからないため、ジークの背中に隠れ出す。


「ノエルは俺がリザードマンを皆殺しにするとでも考えているのかい?」


「そ、それは、あの、最悪、ワームに戻って戦争の準備をしないといけないとも言ってましたし」


「……と言うか、あんたの場合は自分の敵になりそうな人間は排除する事しか考えてなさそうだから、ゴブリン達も皆殺しにしそうなのよ」


戦争になるかも知れないと聞かされていたノエルはやはり心配のようであり、フィーナはカインの性格に問題があると毒づく。


「……フィーナ、話を折るな。それで、カインはどうしたいんだ?」


「そうだね。使える魔族は生かして、逆らう奴は皆殺し?」


「……そこで、くだらない冗談を言うな」


ジークはカインの話は終わっていないと判断しており、話を戻そうとするが、当の本人であるカインは笑顔で不真面目な冗談を言い放つがその冗談は笑えるわけもなく、ジークは大きく肩を落とした。


「はいはい。まぁ、冗談はこれくらいにして、集落の様子を見てきたけど、ゴブリンの死体が転がってるわけでもない。ゴブリン達がしっかりと埋葬している可能性もあるけど、この集落を占拠してから、無駄な争いが起きていないって考えるのが妥当なところだね。これはギドってリーダーがゴブリン達に信頼されていて彼の命を守るために大人しくしている可能性もあるんだけど」


「もったいぶってないで、早く答えを言いなさいよ」


「これだから、おバカな妹を持ちたくないんだよ」


カインの長い説明にフィーナは飽きてきたようで結果を求め、そんな彼女の様子にカインは呆れたようで大きく肩を落とす。


「ゼイが集落から出てから、かなりの時間が立っているにも関わらず、争いが起きている形跡が極端に少ない。ここから考えられる事はゴブリン側の統制が執れている事もあるけど、何より、リザードマン達自体もあまり積極的に戦う気はない」


「それは人族の都市へと戦争を仕掛けるために兵力を温存したいからじゃないのか?」


「それも考えられるだけど、ゼイ、集落のゴブリンの数ってどれくらいだ?」


カインは話をする中で、集落にいるゴブリンの人数が必要になったようでゼイに聞く。


「イッパイ」


「……えーと、俺が使い魔で確認した限りでは、多く見積もって100人。リザードマンは80人くらいかな? ゴブリンに比べて、リザードマンの方が武器の性能が優れているから、戦力的に考えて五分と言っても良い」


しかし、ゼイは集落内の人数を把握していないようであり、カインは眉間にしわを寄せるとゴブリンとリザードマンの戦力を五分だと答える。


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