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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
救出大作戦?
225/953

第225話

「転移魔法はやっぱり便利だな」


「そうね」


翌朝、カインの転移魔法でワームまで飛ぶとカインは直ぐに冒険者の店に顔を出して場所を借り受け、4人はゴブリンの集落が近い宿場町を目指す。

カインがメンバーに加わった事で移動時間が極端に短縮された事もあり、ジークは馬車から外の景色を見ているがフィーナはカインがいる事に納得が行ってないようでしかめっ面をしている。


「……カイン、スゴイ」


「それはどうも……しかし、ノエルって本当に馬車がダメだったんだね」


「す、すいません」


ゼイは転移魔法や馬車と言った今まで体験した事のない物に触れた事に目を輝かせているが対象的に馬車の苦手なノエルの目は輝きを失っており、馬車の馬に指示を出しているカインは苦笑いを浮かべた。


「一応は酔い止めも飲んできたし、問題はないと思うんだけどな。しかし、カインをメンバーに入れて正解だったかもな」


「そう? こいつがいるとゴブリン達と連携を取れるかわからないわよ」


ノエルの様子にジークは苦笑いを浮かべるも、フィーナはカインが気に入らないようで不機嫌そうにカインへと視線を向ける。


「そんな事を言っても、ノエルがこれだとゼイに魔法もかけられないし、カインが居れば何も問題ないだろ」


「す、すいません」


「まぁ、ノエルもそこまで落ち込まなくても良いよ」


魔法を使うノエルは馬車に乗った事で精神的に不安定になっており、いつ効果が切れるかわからない容姿変更魔法の事もあるため、カインがその点をフォローできる事は重要である。


「カイン、宿場町に着いたら、どうするんだ? 1晩、泊まるのか? 一応、テント類は持ってきたけど」


「そうだね。このまま馬車を置いて、集落を目指しても良いんだけど、ノエルの事を考えると1泊くらいした方が良くないかな?」


「……確かにな」


宿場町からゴブリンの集落まではそれなりに距離もあり、休憩をどうするかと聞くがノエルの体調を考えると宿場町で休憩する必要があると言い、ジークはノエルへと視線を向けると苦笑いを浮かべた。


「馬車はワームに返却して良いのかい?」


「はい。お願いします。これがその分の費用です。後は部屋は2部屋で」


宿場町に着くと日は落ちており、カインは代表として冒険者の店で手続きを行っている。


「ノエル、大丈夫か?」


「は、はい。大丈夫です」


ジークは店のホールのテーブルに座り、ぐったりとしているノエルに声をかけるが彼女の声は弱々しい。


「部屋を借りたから、荷物を運ぶよ。ノエルも休むなら部屋で休む」


「は、はい。すいません」


無事に部屋を借り終えたカインはカギを手に宿泊部屋のある2階に上がろうと言うとノエルはふらふらと立ち上がった。


「ノエル、危ないわね。ほら、肩を貸して」


「す、すいません。フィーナさん」


ノエルの足取りは危なっかしく、フィーナは直ぐに彼女を支えて歩き始める。


「ジーク、ここはお前がノエルを支えるところだろ」


「ジーク、キガキカナイ」


「……カイン、ゼイ、どうして、こう言う時だけ、言う事が重なるんだ?」


ジークの行動が鈍かった事にカインとゼイはため息を吐き、ジークは自分が責められる理由がわからないようで眉間にしわを寄せた。


「まぁ、別に良いだろ。それより、ゼイ、荷物を置いて、ノエルの調子が良くなったら、俺とジークの部屋に来てくれ。ギドを助けるために作戦を立てないといけないからね」


「ワカッタ」


カインはあらかじめ、ギドが捕えられている場所を知りたいようであり、ゼイと打ち合わせをしたいようであり、その言葉にゼイは頷く。


「ジーク、俺達も部屋に行くよ」


「あぁ」


「何だい? ノエルと同室が良かったかい? 何なら、今からでも変えても良いけど」


「誰がそんな事を言った!!」


「まぁ、そんな反応するんなら、さっさと押し倒しとけよ。ヘタレ」


ジークはカインと同室だと言う事に不安を感じているのかため息を吐くとカインにからかわれ、顔を真っ赤にして否定する。

カインはそれなりの期間、同棲しているにも関わらず、ノエルに手を出していないジークの様子にため息を吐くと1人で部屋に向かって歩き出す。


「良い部屋だな。これでジルさんの店と値段が一緒かよ。ジルさんの店がぼった食ってるように感じるじゃないかよ」


「そりゃ、ここら辺じゃ、大きな都市であるワームの近隣の宿場町だしな。ワームからの整備費用も出てるから整備もしっかりされてる。俺は何度かここで泊まってるけど、飯はジルさんのところの方が美味いよ。問題は……シュミットとおっさんの采配で援助が打ち切られないと良いけどな」


「……その2人の名前を聞くと酷く不安になるな」


部屋を開けると部屋の設備はかなり良い物であり、驚きの声をあげるジーク。カインは荷物を降ろすと部屋に備え付けてある飲み物を手に取り、ジークに渡す。


「まぁ、領主が変わったとは言え、地方都市って言うのはそれなりに権力が入り混じってるから、それをまとめ上げられなければ、ここはそのままだろ。宿泊施設や冒険者の店を取りまとめているレギアス様はなかなかの人物だからな。おっさんとも懇意にしているはずだし、何より、ルッケルの騒ぎでシュミットが企てた事にかなり腹を立てているって話だから、シュミットのわがままで援助金は削られないだろう」


「おっさんと懇意にしてるって話は酷く不安しか感じないんだけど」


ジークはカインから飲み物を受け取るがラースと仲が良いと言う権力者の事を聞いてさらに不安をあおられているようである。


「まぁ、確かにレギアス様と会った事がないとそう思うかも知れないけどな。機会があればおっさんに紹介して貰えよ。上手く取り居ればワームからルッケル、ルッケルからジオスの街道も整備してくれるかも知れないぞ」


「あー、そう言うのは俺の仕事じゃない。アズさんがやってくれるんじゃないか?」


「確かにルッケルでの事でアズ様とおっさんにも繋がりもできたし、上手く行けば街道整備は上手く行くかもな」


カインはジークとレギアスを引き合わせておくのも悪くないと思ったようだが、ジークはあまり興味がないようであり、カインはジークの様子に苦笑いを浮かべた。


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