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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
救出大作戦?
221/953

第221話

「と、2人の相手をしているヒマはなかったんだ。シルドさん、これ、頼まれたもの」


「お、悪いな。って、時間がないって、何かあったのか?」


エルトとセスに巻き込まれ、目的を忘れそうになっていたが、ジークはシルドの店を訪れた理由を思い出し、慌ててアーカスから預かった魔導機器をシルドに引き渡す。

魔導機器を受け取ったシルドはジークの様子に首を傾げた。


「ちょっと、明日から遠出します。アーカスさんから厄介事おつかいを押し付けられたんで、後で追加分の薬湯と委託分の商品も持ってきます」


「遠出なら、ルッケルの定期取引分はどうするんだ? ルッケルによってから行くのか?」


「受け渡し日まで時間があるから、大丈夫だと思います」


「そんな事を言って、ルッケルでのイベントの時は1週間も開けただろ。村の年寄り連中が薬がないだって大変だったんだからな。冒険者を追い出して、店の一画を占拠する年寄りってのはどうなんだ?」


ゼイの頼みでゴブリンの集落に行くという事は伝えれらないため、苦笑いを浮かべて誤魔化そうとするジーク。シルドはジークが隠し事をしている事に気が付いていないのか、ジーク達がいなくなると年寄りの集会所が自分の店になってしまう事もあるようでシルドは嫌味を言う。


「それは俺に文句を言われても困ります」


「まぁ、あの時はカインも忙しかったわけだしね。ルッケルでも人手が必要だったんだし、仕方ないんじゃないかな?」


「……目を泳がせるな」


シルドの言葉にジークはルッケルイベントの原因になったエルトへと視線を向ける。ジークの視線に若干の居心地の悪さを感じたようでエルトは視線を逸らす。


「とりあえず、そう言う事なんで、後でまた来ます。後、保存食を用意して貰っても良いですか?」


「あぁ。了解……ノエルはまだ、肉や魚はダメなのか?」


「そうですね」


「わかった。3人分の保存食を用意しておく」


ジークからの保存食の受注にシルドは頷くが彼の中ではすでにジークとノエルにはフィーナがセットのようである。


「3人分?」


「何だ? フィーナは一緒じゃないのか?」


「いや、一緒ですけど、何か納得がいかないような……まぁ、良いか? 今回は4人分で1人同行者がいるんですよ」


フィーナとセット扱いされている事にジークは納得がいかないのか首をひねるもゼイの分の保存食を追加する。


「そうか。わかった。4人分な」


「お願いします。それじゃあ」


「ジーク、1人でどこに行くんだい?」


ジークはエルトとセスを自然に置いて店を出ようとするがそう上手くは行くわけもなく、エルトはジークの肩をつかもうとするがジークはその手を交わす。


「どこに行くも何も帰るんですよ。そっちはカインのところに戻るか転移魔法で王都にでも帰ってください。今の話を聞いてたでしょ。俺はいろいろと忙しいんですよ」


「聞いてたけどね。実は私もジークに頼み事があったんだよ」


カインに次ぐ魔法の実力者でもあるセスをゼイに合わせると、彼女がゴブリンだとばれてしまう可能性もあり、2人とここで別れたいのだがエルトはジークを引き留めたいのか頼みごとがあると言う。


「……なんだ? その取って付けたような話は?」


「まぁ、追って話すから、ジークの店まで行こう。セス」


「わかりました」


「……おい。俺の都合は無視か?」


当然、ジークはエルトが嘘を吐いていると思い眉間にしわを寄せる。しかし、エルトは先頭を切ってシルドの店を出て行く。


「それで、その取って付けた頼み事ってのは何だ?」


「ジークは私とセスを追い返したいみたいだけど、ノエルとの愛の巣に入れたくないにしてももう少し優しい態度を取ってくれないかな? これでも第1位王位継承者だよ」


「エルト様、こんなところで身分を明かさないでください。誰が聞いているのかわからないんですから!?」


エルトを追い返したいジークは用件を済ませろと言い、エルトはジークの様子に何か勘づいてきているのか苦笑いを浮かべる。


「あぁ、気を付けるよ。セス、カインのところに行って様子を見て来てくれないかい? 私はジークの店にいるから」


「何を言っているんですか? エルト様をお1人にするわけにはいきません」


エルトはジークが何を考えているのか知りたいようでセスを1度、引き離そうとするがセスは自分の役割があるため、エルトから離れるわけにはいかないと当然のことを言う。


「大丈夫だよ。ジークもいるし、セスもジークの実力は知っているだろ」


「それは確かに知っています。先日のドレイク侵入の件もカイン=クローク以外にあのドレイクに気が付いたのはこの男だけでしたし」


セスはルッケルでのイベントでジークの中に才能の片鱗が隠れている事は理解したようだが、貴族でもある彼女は平民であるジークをどれだけエルトと関わらせて良いのかわからないようで眉間にしわを寄せている。


「と言う事で、セス、頼むよ。ジーク、行くよ」


「エルト様!?」


「ちょ、ちょっと、引っ張るな!?」


しかし、エルトは悩んでいるセスの事など気にする事なく、ジークの腕を引っ張り駆け出して行き、魔術師であるセスではエルトとジークのスピードに追い付けるわけなく、その場に取り残されてしまう。


「良いのかよ?」


「まぁね。それにジークは私より、セスに見せたくないものがあったみたいだし」


「……なぁ、エルト王子、あんた、どんどん、カインに似て来てないか?」


セスを置いてきた事に眉間にしわを寄せるジーク。その姿にエルトは苦笑いを浮かべるとジークの隠し事が気になるようである。


「カインから、学ぶ事も多いよ。カインは転移魔法を使えるから、連絡が取れなくなる事はないと思うが、彼がいない間の心配事は極力減らして行きたいからね。カインの考えが直ぐに理解できるようになれば、色々な事ができるようになるからね」


「……エルト王子、あんたは次期王様なんだから、普通は逆じゃないのか? あいつがエルト王子の考えを察して動くのが普通だろ」


「そうかも知れないけど、私は政治には詳しくないからね。正直、そう言うのはライオやカインに任せたいと思ってるから」


「……それはそれで不安だぞ」


エルトの考えは適材適所と言えば聞こえは良いが、ジークに取っては次期王様としての意見として正しいのかわからないようで大きく肩を落とす。


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