第22話
「……それじゃあ、覗いてみるか」
「気、気を付けてください」
赤々と光った辺りまで歩くと道は左曲がりの下がるような通路になっており、ジークはギリギリまで歩くと通路を覗き込むが、
「……一先ずは何もないな」
「そうなの? どうする? しばらく待ってみる?」
通路の奥をランタンで照らしても通路が続いているだけであり、フィーナはこの先をどうするかとジークに聞く。
「ノエル、ドラゴンの気配とかって感知ってできないのかな? ここから声をかけたら反応があるとか?」
「えーと、一先ずはドラゴンの気配はないですけど、ドラゴン語で話してみますか? 今の通路の奥まで聞こえる声だと相当な大声で叫ばないといけませんけど」
「……いや、それはドラゴン以外にも気付かれるから止めておこう。ってなると進むしかないか?」
ジークはノエルにドラゴンにコンタクトを取る方法はないかと聞くとノエルは奥にドラゴンが住まっている事を仮定するとかなりの大声を張り上げなければいけないと言い、ジークはノエルの意見を一先ず保留にするとランタンで通路の先を照らし、覚悟を決めるように深呼吸をした時、
「ノエル、フィーナ、戻れ!!」
「な、何よ。突然!?」
ジークは何かを感じ取ったようでノエルとフィーナを曲がり角に戻すとフィーナは驚きの声をあげるがジークは2人をかばうように覆いかぶさると先ほどまで3人が立っていた場所へは赤々とした炎が見える。
「か、間一髪か?」
「そ、そうかも」
ジークは炎が見えた事で顔を引きつらせるとフィーナもここから先は流石に不味いと言いたげに顔を引きつらせるが、
「あ、あの。ジークさん、フィーナさん、今の炎、たぶん、幻術だと思います」
「げ、幻術? ど、どうしてそんな事が言えるんだ?」
ノエルは2人と違う答えに行きついたようであり、炎は幻術だと言い、ジークはノエルの言葉が信じられないようで声を裏返して聞き返すと、
「えーと、最初にこの遺跡の奥に入った時にジークさんとフィーナさんは何かおかしな感じがするって」
「えぇ、そうだけど、それが直ぐに幻術には繋がらないでしょう?」
「そうなんですけど、それでわたしもその気配に集中していたんですけど……これっていたずら好きの妖精さん達の仕業ではないでしょうか?」
ノエルはこの遺跡の中に入った時から感じる気配に関係していると言うとフィーナは首を傾げるがノエルは予想でしかないと言いたげに妖精がいたずらをしているのではないかと言い、
「待てよ。妖精のいたずらって割には派手すぎだろ」
「で、ですけど、この遺跡って長い間、発見されてなかったわけですよね。壁で入口が埋まっていたわけですし」
「ちょっと待って。ノエル、それってさ……久しぶりの来訪者に妖精達が張り切っているって事?」
ジークはノエルの言う妖精のいたずらにしては悪質すぎると言おうとするがノエルは今の遺跡の状況からすでに答えは確信に変わってきたようで苦笑いを浮かべ、フィーナは彼女の様子を見て、ノエルの予想の終着点に気づいて眉間にしわを寄せる。