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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
救出大作戦?
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第218話

「と言う事で、アーカスさん、ゼイを一晩、預かって欲しいんですけど」


「邪魔だ。連れて帰れ」


罠を解除し、何とかアーカスの家までたどり着くと、研究をしているアーカスに簡単に事情を説明するが、興味などわかないようでアーカスは振り返る事なく、4人を追い払おうとする。


「……この反応もある意味、予想通りだわ」


「そ、そうですね」


ゼイをゴブリンだから追い払うではなく、どうでも良いから追う払おうとするアーカスにフィーナは眉間にしわを寄せ、ノエルは苦笑いを浮かべた。


「いや、ジオスにゴブリンがいるって知れたら、大変な事になるから、一晩、匿って欲しいってだけですよ。ゼイは人族の言葉も話せるし、ほら、これを機にゴブリン語を覚えて見るとか、何かの役に立つかも知れないですし」


「私はゴブリン語を話せるから教わる事はない」


「……話せるのかよ」


知的好奇心の塊でもあるアーカスの興味を引こうとゼイを押すジーク。しかし、アーカスはその程度では興味など惹かれないようでジークの提案を切り捨てる。


「アーカスさん、それなら、これと同じものって作れてないんですか? これが有れば何も問題はないんですけど」


「もしくは前に魔族が作った似たようなものがあるって言ってましたよね。それはないですか?」


ノエルはゼイを匿って貰う事を無理だと判断したようで魔導機器を手にして聞き、ジークは類似品でも良いとノエルに続く。


「小娘が持っているのと同じものはない。ただ……」


「あるの? あるなら、もったいぶらずに出しなさいよ」


「フィーナ、その態度はどうなんだ?」


「フィーナ、タノムタイド、チガウ」


アーカスの言葉にフィーナは何かあると判断したようで早く出せと言い、ゼイにまで冷たい視線を向けられる。


「な、何よ? そう言う便利な物があるのに隠すから、面倒な事になるんでしょ?」


「だとしても、話の流れだったり、色々とあるだろ。アーカスさん、何かあるんですか?」


完全に立場は弱くなっているものの反論をしようとするフィーナ。ジークは彼女の様子に呆れたように1度、肩を落とすと改めてアーカスに聞く。


「魔法で一時的に姿を変えて見せる事はできる。元々、魔族が作ったものは人族の街に潜入するためにその魔法を魔法石に封じ込めた物だからな」


「魔法か? ……アーカスさん、そんな魔法、俺達に使えると思いますか?」


「知らん」


アーカスはノエルの持つ魔導機器と同様の魔法があると言うが、ジークはこの中でまともに魔法が使えるのがノエルだけしかいないため、アーカスに使えそうかと聞く。

ジークの問いにアーカスは興味がないためか間髪入れず答え、その場は微妙な沈黙に陥った。


「……知らないってのは酷くないですか?」


「そ、そうですね」


「アーカスさん、本当にノエルも使えないの? 元々、魔族が人族に化けるのに作ったんなら、ノエルならできるんじゃないの?」


反応に困るジークとノエル。フィーナはアーカスに喰いつくが、既に自分が魔法を使うというのは頭にはない。


「アーカスさん、教えてくれるって事はないですよね?」


「そんなヒマはない。知りたかったら、自分で調べろ。魔法書は書庫にあったはずだ」


「そうします」


アーカスに魔法の使い方を聞くが、彼は自分の興味のある事にしか動かないため、自分達でどうにかしろと言い、4人は一先ず、アーカスの家の中にある書庫を目指す。


「いっぱい本があります」


「どこに必要なものがあるかはまったくわからないけどな」


「と言うか、探せる気がしないわ」


書庫を開けると魔法書だけではなく、色々な蔵書が乱雑に並べられており、ジークとフィーナは眉間にしわを寄せた。


「それでも探すしかないんだけど……まず、読める気がしないから」


「……早めに見つかると良いわね。ギドのためにも、集落に付いたら、既にギドの命はなかったとかはイヤよ」


「不吉な事を言うな」


ジークはすぐ近くにあった本を開いてみるが、そこに書かれている文字は彼の知らない文字であり、ジークが読めないという事はフィーナは戦力外である事は間違いない。


「と、とりあえず、始めましょう」


「そうだな。何もやらないより、マシか? 一先ずは魔法書の選別からだな。ノエルは見つけた魔法書を片っ端から見て行ってくれ。ゼイは魔族の言葉で書かれてある魔法書があったら、頼む。俺とフィーナは」


「一先ず、選別ね。読めないものと読めるものに分けましょう」


ノエルの言葉にジークは簡単に役割分担を決めるも蔵書の数が桁外れであり、顔を引きつらせながら選別を開始する。


「こんなもの、見つかるわけがないでしょ!!」


「……フィーナ、うるさい」


しかし、開始早々、こらえ性のないフィーナには限界が訪れたようで叫び始め、ジークは大きく肩を落とす。


「実際、見つかると思ってるの? こんな量あるのよ? こんな事をしているなら、準備に戻った方がマシよ」


「確かに、それはあるかも知れないな」


フィーナは準備もあるのにこんな事はしてられないと言いだし、ジークもイヤになってきているようで苦笑いを浮かべると頭をかく。


「で、ですけど、どうにかしないと危ないですよ」


「そうなんだよな。それはわかってるんだけど……」


「あ、あの。ジークさん、何をしているんですか?」


ジークは他の方法はないかと頭をひねるとノエルの頭を見て視線が止まり、彼女の頭の上に手を伸ばした。ノエルは彼の行動の意味がわからずに首を傾げるもジークはノエルの頭を撫でまわし始める。


「ジーク、あんた、何がしたいのよ?」


「いやな。今更だけど、ノエルって、角さえ隠せればに人族に見えるんだよなと思ってさ」


「確かにそうよね」


「それでな……ノエルの魔導機器を1度、ゼイに渡して、ゼイにも使えるか見ないか? それで、ゼイが人族に見えるなら、ノエルの角は別の方法で隠せば良いし」


ジークの奇行にフィーナは眉間にしわを寄せるもジークはノエルの頭に生えている2本の角の位置を確認していたようであり、改めて、ドレイクであるノエルの容姿は人間とあまり変わらないと言う。


「実験する価値はありそうね?」


「ダメもとでやって見るか?」


「わかりました」


ジークの言葉はすでに魔法書探しに飽きているフィーナには魅力的な提案であり、直ぐに頷くも、ノエルはジークが首飾りにしてくれた事もあり、複雑な思いがあるようだが魔導機器を首から外すとゼイに手渡す。


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