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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
救出大作戦?
215/953

第215話

「あれ? 何か賑わってるな?」


「そうですね。何かあったんでしょうか?」


ジークとノエルは定期的に納めている薬湯を持ってシルドの店を訪れると店の中は冒険者でにぎわっており、2人は首を傾げる。


「ジーク、ノエル、ちょっと、手伝ってくれ。人手が足りない。これを3番テーブルに、こっちは9番」


「……そして、当然のように手伝わされるか?」


「そうですね」


2人を見つけたシルドは猫の手も借りたい状況なのかカウンターの中から、2人に手伝って欲しいと言う。

ジークはため息を吐くが長期に村を開ける時にはシルドに薬の委託販売も頼んでいる事もあるため、2人は直ぐに手伝いを始める。


「悪かったな。助かったよ」


「あ、ありがとうござます」


「別に良いですけど、何かあったんですか? あの遺跡で何か見つかったとか?」


2人の手伝いで店は何とか落ち着き、シルドはジークとノエルをカウンター席に座らせると飲み物を差し出した。

飲み物を受け取り、一息つくとジークはこの賑いの原因について聞く。


「いや、あの遺跡は相変わらず、何もないな。それにあの遺跡はお前達が1番、行ってるだろ。お前達が知らない情報を他の人間が知ってるわけないだろ」


「まぁ、遺跡内のコケが調合に使える材料でしたからね」


「ジークみたいな薬剤師せんもんしょくじゃないと流石にどのコケが調合に使えるかもわからないしな。お前達は自分で採ってきちまうから、冒険者にもあの遺跡は不人気だ」


「それは悪かったですね」


ジーク達は遺跡の最深部に向かう時はあくまでも薬の材料を手に入れるためと言っており、他の冒険者が魔術師の研究室に立ち入っていない事を確認も忘れない。


「それで、シルドさん、何かあったんですか?」


「あー、まだ、詳し情報はないんだけど、この辺りで魔族を見たって言う話が出てるんだよ」


「魔族? ……ドレイクとか?」


シルドの口からジオスの周辺で魔族の目撃情報があったと言うものであり、ジークはノエルがドレイクだとばれた可能性も危惧したようで恐る恐る聞く。


「ドレイク? バカな事を言うな。そんな大物が出たら、この辺は全滅だ」


「で、ですよね」


ジークの言葉にバカな事を言うなとため息を吐くシルド。ジークは隣に座るドレイクのノエルを見て苦笑いを浮かべ、ノエルは少しだけ居心地が悪そうにしている。


「一応、見たって言われてるのはリザードマンとゴブリン」


「リザードマンとゴブリンか……」


目撃情報のあるのはゴブリンと巨大な二足歩行のトカゲのような魔族であるリザードマンであり、ジークはノエルがジオスに来た日に遺跡で出会ったギド達の顔を思い出す。


「ゴブリンは別に騒ぐような事でもないけどな。リザードマンは凶暴だって言うからな。被害が出ても困るし、それでワームから冒険者が押し寄せてきてるってわけだ」


「ワームからね」


先日、新たに領主になったシュミットの人気取りなのか、魔族に高額の懸賞金をかけたようであり、ジークはラースから厄介事が来る可能性も否定できないようで眉間にしわを寄せる。


「そう言う事で、しばらくはこんな感じだ。ジーク、ノエル、行って置く。間違ってもお前らで魔族を討伐しようって考えるなよ。お前達が頑張るとウチの売り上げにも響くからな」


「わざわざ、魔族にケンカ売るほどヒマじゃないよ。だいたい、俺は薬屋なの。そんな命をかけた事はしません」


「……」


シルドはジークの実力を評価しているため、魔族を倒すなと言う。ジークは魔族と言えども命を奪う事まではないと思っている事もあり、自分達は手を出す気はないとため息を吐き、ノエルはここで魔族と話し合いをしようと言うわけにもいかないため、複雑なようでどうして良いのかわからないようでうつむいている。


「そうしてくれ」


「それじゃあ、俺達は戻りますよ。ノエル」


「は、はい」


「あ。ジーク、待ってくれ」


ジークはノエルの表情に長居はできないと思ったようで、店に戻ろうと言い、2人は席を立とうとするとシルドは何かを思い出したようで2人を引き止める。


「どうかしましたか?」


「いや、冒険者も増えているからな。アーカスさんのところに行って使えそうな魔導機器を貰って来てくれ。後、薬湯の追加も頼む」


「わかりました。ノエル、行くぞ」


「はい。シルドさん、失礼します」


シルドからはアーカスのところにお使いに行くように言われる。ジークはアーカスのところに行くまでに罠を解除しないといけないため、面倒だとは思いつつも頷き、ノエルと2人で店を出て行く。


「あの、ジークさん」


「言いたい事はわかるけど、今はその話はなし、夜にでも聞くよ」


シルドの店を出て、アーカスの家に向かう途中、ノエルはジークの名を呼ぶ。ジークは彼女が何を言いたいか理解はしているものの、村の中で魔族の肩を持つ話をして誰かに聞かれるわけにもいかないため、その話を切る。


「わかりました……」


「ジーク、ノエル、店にいないと思ったら、こんなところで何をしてるのよ?」


納得ができないようで肩を落とすノエル。その時、2人の姿を見つけたフィーナが駆け寄ってくる。


「何って、シルドさんの店に薬湯を卸してきたんだよ。そして、これから、アーカスさんのところにお使い。付いてくるか?」


「アーカスさんのところ? ……最近、行ってなかったから、おかしな物とわけのわからない罠が増えてそうよね」


「まぁ、それに関しては否定できない」


「行きたくはないけど……わかったわよ。付いて行くわ」


ジークはアーカスの家に行くまでの罠解除に失敗した時にノエルを守る役目をフィーナに任せたいようで彼女に声をかける。フィーナは断りたいとは思っているものの、ジークの考えもわかるようでノエルを見て小さくため息を吐いた後に了承する。


「そう言えば、ノエル、元気ないけどどうかしたの?」


「えーと」


「あー、アーカスさんの罠地帯に入ってからだな。あそこに入れば、話を聞かれる可能性は低い」


3人になってアーカスの家に向かうなか、フィーナはノエルの様子がおかしい事に気づき、彼女の顔を覗き込む。

ノエルはフィーナにも話を聞いて貰いたいが、村の中で話せない事のため、どうしたら良いかとジークに意見を求め、ジークはもう少し先に進んでからだと言う。


「村の人間に聞かれたら行けない事ね」


「はい。少し困った事になってます」


「……ミツケタ。ノエルサマ、タスケテクダサイ」


フィーナはノエルが悩んでいる事が何となく、察しが付いたようで小さく頷き、ノエルが肩を落とした時、片言の言葉でノエルに助けを求める声が聞こえる。


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