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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
209/953

第209話

「本業? ……あいつって、詐欺師やペテン師の類だよな?」


「一応は王宮魔術師の称号を持ってるから、文官になるはずだよ」


「これでも魔術学園在学中に称号を取ったのは王国始まって初めてなんだぞ」


カインは得意魔法と言いたかったようだがジークはそのようには捉える事はなく、カインは動けずに座りこんでいるセスを見下すように笑う。


「ぐ」


「……カインは相変わらず性格が悪いな」


成績だけではなく立場的にも上下を示された事に苦虫をかみつぶしたような表情をするセス。ライオはカインとセスの様子に小さくため息を吐いた。


「お褒めに預かり光栄です」


「いや、褒めてないだろ……」


ライオの言葉でカインは口元を緩ませるが、ジークは呆れ顔でツッコミを入れるが魔法に詳しくない彼はセスに何が起きたかわからないようで説明を欲しており、カインへと視線を向ける。


「説明するのは構わないけど」


「わかってる」


「これで、ライオ1人かな?」


カインはジークに目で合図を送り、その視線でカインの思惑を読み切ったようでエルトと対峙している相手を背後から魔導銃で狙う。

魔導銃から放たれた冷気が相手の動きをマヒさせた事でエルトは解放され、ライオへと視線を向けた。


「そうなりますね」


「降参してくれると助かるんだけど、魔術師1人じゃ、流石に何もできないだろ……たまに例外もいるけど」


「確かにそうですね」


ライオは戦況が最悪だと言う事はすでに理解できており、小さくため息を吐く。ジークはライオへと降服勧告をしながらも、魔術師でありながら素手でも自分やフィーナ以上に戦えるカインへと視線を向けて眉間にしわを寄せる。


「確かに単純に魔術師1人では何もできないだろうね。ただ……奥の手と言う物は用意はさせて貰ってるんだよ」


「……ノエル、何か、凄く戦った事があるものが出てきそうな気がするんだけど」


「そうですね。わたしもそんな気がします」


ライオは苦笑いを浮かべるもまだ用意している物があったようで彼の杖の先端からは魔法陣が浮かび上がる。その魔法陣には先ほどカインが魔法で砕いた舞台が集まり始めた。

魔法陣は砕けた舞台で何かを精製し始めるライオ。ジークはその様子に何か嫌な予感しかしないようでノエルに意見を求めると彼女も魔法陣から現れる物に予想が付いたようで顔を引きつらせた。


「……ひょっとして、また、魔導銃を壊す流れ?」


「2度ある事は3度あるって事ですかね?」


「ジーク、ノエル、私にも説明してくれないかな?」


これから起こる事にジークのテンションは一気に降下しており、何が起きるかわかっていないエルトは説明を求める。


「うーん。まさか、ライオ様がこんな魔法を使えるとは思ってもいなかった。コーラッドさんがいたんだ。考えられた事なのにね」


「……凄くわざとらしいのがムカつきますわ」


ライオの魔法に察しがついているカインは驚いたような表情をするが、その表情はもの凄くわざとらしくセスはカインを睨みつけた。


「カイン、わかってたなら、最初に説明くらいしておけよ!!」


「いや、コア無しで魔導人形を作り出すなんてできるとは思わなかったんだよ」


「短時間であれば、魔導人形を作って使役する事ができるのはカインが証明したはずだけど」


カインの態度に文句を言いたいのは攻撃の要になるであろうジークである。しかし、当のカインは予想していなかったと笑うが、この魔法はカインが構築した魔法のようである。


「ただ、必要な魔力が膨大だから魔法の詠唱に時間がかかるのが難点だけどね。舞台に使った鉱石で作るんだ。装甲の硬い物ができるだろうね」


「たいへんだ。いくらノエルの風の魔法が強力でもこんなに硬い魔導人形を破壊できるかわからない」


「あ、あの。カインさん、本当にどうするつもりなんですか?」


ライオは魔導人形の生成にかなり自信があるようであり、小さく口元を緩ませるが、カインは未だにわざとらしく困ったと言っている。

カインの考えが理解できないノエルは不安そうな表情でカインに何か策はあるのかと聞く。


「ジークが魔導銃を壊す勢いでぶっ放す?」


「疑問形で聞くな。と言うか、簡単に言うな。修理費だって洒落にならないんだぞ」


「いや、ジークが魔導銃を壊すのはお約束だと思ってさ」


「わけのわからないことを言うな!!」


ノエルの質問への答えは答えになどなっておらず、ジークをからかっているため収集はつかない。


「カイン、ジーク、魔法が発動するみたいなんだけど、良いのかな?」


「これで、カイン=クローク。あなたも終わりですわ。私が新たに構築して作り上げた魔導人形はあなたが構築した魔法など比較にはなりませんわ!!」


ジークで遊んでいるカインを余所に魔法はしっかりと発動しており、魔法陣に集まった鉱石は巨大な石の人形に姿を変え、セスは地面に座り込んでいるが勝ち誇ったように笑う。


「でも、2番煎じだろ? 1を2にするより、0から1を生み出す方が難しいんじゃないのか?」


「ジーク=フィリス、何か言いましたか?」


「な、何も」


カインに勝ったと思っているセス。しかし、誰の目から見ても魔法の構築までしたカインの実力の方が何枚も上手であり、その事をジークは口から漏らすとセスに睨みつけられる。


「で、どうするんだ? 剣じゃ、どうしようもないだろ? 魔導人形はコアをぶっ壊せば制御を失って止まるけど、コアを使ってないなら、どうやって壊すんだよ?」


「そうだね。困ったね」


ジークの頭の中にある魔導人形の構造と魔法で生成したものは違っていると考えられる。そのため、破壊方法など見当もつかず、カインへと視線を送るがカインは策を考えているフリなのかわざとらしく首をひねった。


「まぁ、魔力が尽きれば元に戻るから、時間まで逃げきるとか?」


「……いつ、魔力が尽きるんだよ」


「さあ? とりあえず、ジーク、頑張って相手をしてくれ」


カインは無責任に時間切れを狙うと言い、ジークの眉間にはくっきりとしたしわが浮かんでいる。


「じゃあ、ジーク、任せたよ」


「ジークさん、頑張ってください」


「ちょっと待て。エルト王子、これは元々、そっちの問題だろ。何で、俺がやらないといけないんだよ!!」


エルトも魔導人形の相手は遠慮したいようでカインのいる場所まで下がり、ノエルは後方からジークを応援するが、1人で魔導人形の相手をしないといけなくなったジークに当然、不満の声をあげる。


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