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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
206/953

第206話

「ジーク、遊んでないで攻める」


「お、おう……」


カインの言葉でジークは表情を引き締めると魔導銃を構え直すが、カインから魔導銃の威力を聞いた事もあるためか、どこか引鉄を引くのを迷ってしまう。


「ジークさん?」


「これは失敗したかな?」


いつもより、攻撃の手が鈍いジークの姿にカインは彼の性格を考慮していなかった事に眉間にしわを寄せた。


「……」


「ぬわっ!?」


そんななか、カインが操っていたフィーナの剣がジークに向かって振り抜かれ、ジークはおかしな声をあげて身体を捻りギリギリで剣の切っ先を交わす。初撃が交わされたフィーナはジークに向かって攻撃を続ける。


「変な声が出たね」


「そうですね。って、カインさん、フィーナさんをしっかり動かしてください!?」


「カイン、遊んでないで、しっかりと動かせ!!」


「あー、言い難いんだけど、実はさっきから操作不能なんだよね。きっと、本能でジークへ攻撃をしてるんだよ」


フィーナの攻撃がカインの悪戯だと思ったジークは当然、声をあげるがカインはわざとらしく両手を上げ、フィーナの制御を失ったと笑う。


「お前、冗談はやめろよ!?」


「いやいや、これが本当なんだよね。それでもフィーナがジークを攻撃してるところを見てると……」


「きっと、ジークが悪いと思うよ」


「そうだね。ジークが悪いんじゃないかな?」


フィーナがジークを攻撃しているのはジークに問題があるからだとエルトが言うとライオもフィーナのジークへの想いに気が付いているようで大きく頷く。


「待て!? 俺は悪くないだろ」


「さっさと、ノエルへ告白でも何でもしてフィーナをはっきり振ってしまえば良いと思うんだ」


「そうだね。好意もないのにどっちつかずにして思わせぶりをしているのは良くないと思うよ」


フィーナに攻撃をされる理由はないと声をあげるジークだが、カインはジークが悪いと言い切り、ライオが頷くと会場にはジークが二股をかけているように映ったようでジークに向けてブーイングが上がる。


「ジークさんからの告白? あ、あう」


「ほら、ノエルも持ってるし」


「カイン、お前はわけのわからないことを言うな!? と言うか、遊んでないでどうにかしろ!!」


顔を赤くしてうつむくノエル。彼女の反応にジークは変に反応するわけにもいかないため、フィーナの攻撃を紙一重で交わしながら叫ぶ。


「あー、それなんだけど、どうやら、ライオ様のチームの魔法使いさんにフィーナの操縦の権利を奪われてるみたいなんだよね」


「何だと!? カインのような情の欠片の破片すらないような事をやる人間が他にもいたのか!?」


「……一応、研究された魔法なんだけど、戦場で気を失った人間を後方に下げたりできないかって事でね」


カインがライオチームの魔法使いにフィーナを操られていると言うと、その言葉に非人道的な事をする人間がカイン以外にいた事に眉間にしわを寄せるジーク。ライオは自分のチームの魔法使いの事を弁護したいようで魔法の補足をする。


「まぁ、元々、ライオ様のチームにあいつがいると知った時点で使えないとは思ったんだけどね」


「なら、使うな!? と言うか、その無駄なライバルみたいな設定はなんだ!!」


カインは視線を鋭くしてライオチームの魔法使いへと視線を向ける。ジークは止まないフィーナの攻撃を交わしながらもツッコミを入れる。


「あの、カインさん、お知り合いですか?」


「いや、そこまで詳しくないけど、名前は確か『セス=コーラッド』。……俺が知ってる特徴と言えばロリコン?」


「誰が、ロリコンですか!!」


カインはライバルでも何でもないと言うが、その言葉にはおかしな言葉が混じっており、ライオチームの魔法使い『セス=コーラッド』は声をあげて被っていたフードを外して顔を出す。魔法使いは美少女と言っても遜色がない。


「女性なのに小さい女の子が好き何ですか?」


「ちょ、ちょっと、おかしな勘違いをさせないで!! 私は可愛い子が好きなだけよ。それが男の子でも女の子でも!!」


「……変態だね」


ノエルは突然の事に驚きの声をあげると、セスはロリコンではないと叫ぶがその言葉はさらに危ない発言であり、会場には微妙な沈黙が訪れる。


「あいつが変態だろうが、どうでも良い。この状況をどうにかしろ!!」


「だから、私は変態ではありません!!」


フィーナの攻撃を交わすのに精一杯のジークはこの状況をどうにかするように叫ぶが、その言葉はセスの怒りを買い、彼女が操っているフィーナの攻撃は鋭さを増して行く。


「ジーク=フィリス、美少女2人に囲まれてどっちつかずの態度を取るなんて許しませんわ。あなたを始末して、この美少女2人は私の物にするのですわ」


「おい。あの女、目が血走ってるぞ。どうにかしろ!!」


セスはジークへなぜかおかしな敵意を向けており、目は血走り、彼への怨嗟の声が漏れている。


「……ライオ、もう少し人は選んだ方が良いと思うんだ」


「……現、魔法学園ではカインに続く才女のはずなんだけど」


「あ、あの。魔法学園って、本当に大丈夫なんですか?」


完全にジークへ私怨で攻撃を始めているセス。その姿にエルトは眉間にしわを寄せるとライオはセスは優秀な人間だと言う。しかし、カイン、カルディナ、セスとおかしな魔法学園の生徒しか見ていないためか、魔法学園の存在を疑問視する。


「カイン=クローク!! この男を始末したら、次は私の可愛いカルディナを弄ぶあなたです。首を洗って待っていなさい」


「いや、熱くなるのは構わないんだけど、黙って殺されるほど、俺もジークも優しくないんだよ。それにジークは殺されるなら腹上死と決めているからな」


「お前はわけのわからないことを言うな!?」


セスはカルディナがカインに夢中になっている事が許せないようで、ジークの後にカインも始末すると叫ぶ。しかし、カインはフィーナの攻撃ではジークを殺せないと言うもジークを落としいれる事は忘れない。


「この男は生きて帰すわけにはいきませんわ」


「まぁ、そんな風に熱くなってるから、スキを見せる事になるんだけどね」


ジークへと高純度の殺意を向けるセス。だが、彼女の行動はすでにカインの手のひらの上であり、セスの肩の上にはカインの使い魔の小鳥がちょこんと乗っている。


「へ? ひ、卑怯です!!」


「卑怯? 最高の誉め言葉ですね」


カインの使い魔は口から炎を吹き出し、セスは炎を消そうと舞台の上を転がり、カインを卑怯者呼ばわりするがカインにとってはどうやら最高の賛辞のようで楽しそうに笑った。


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