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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
205/953

第205話

「ジーク、武器を剣に持ち替えても良いんじゃないかな?」


「遠慮する。俺は剣や槍を扱う才能はないんでね。何より、俺は薬屋なんだ。わざわざ、前衛何か危ない場所に行きたくない」


ライオチームの前衛と接触したジークとエルト。エルトは魔導銃と言う中遠距離対応の武器にも関わらず、剣を持つ相手に怯む事のないジークの姿を見て感心したように言う。しかし、ジークは直ぐに自分は薬屋であって戦闘が本職ではないと主張する。


「……悪いな。狙いうちされるほど、鈍くないぞ」


「ちっ」


ジークと接触している相手はジークの素早さに腹を立ててきたようで足元へと狙いを変え、彼の足元を剣でさらう。ジークは迷う事なくジャンプでその剣を交わすと着地する瞬間を狙っていた弓使いへと魔導銃を向けた。


「ジーク、やるじゃないか。わざと武術大会3回戦で負けただけはあるね」


「わざとって、おかしな事を言うな。あの時はノエルの補助魔法も、こいつもなかったんだしな。それに元々優勝できるほどの実力なんてない。おっさんが単純だから、相性が良かっただけだ」


目の前の相手だけではなく、後方に控える敵をも手玉に取るジークの姿にライオはジークが自分の護衛をしたくなかったから、武術大会で結果を残さなかったと言う。その言葉はジークに取ってはただの言いがかりでしかなく、ジークは小さくため息を吐く。


「それより、良いのか? 後方支援も攻撃魔法も使わなくて、言って置くが、ウチの魔術師の1人は性格最悪だぞ」


「ノエル、ジークがノエルの性格を最悪って言ってるよ」


「わ、わたし、性格悪いですか!?」


ライオが何もしかけてこない事にジークは何か思ったのか揺さぶりをかけようとするが、その揺さぶりはカインのせいでノエルに向かい、ノエルは驚きの声を上げる。


「……いや、カインの事だから」


「と言うか、緊張感がないね」


エルトチームには緊張感はなく、エルトは流石の状況に少し呆れ気味であるが、エルト自身の剣の腕は確かなもので対面している相手の剣を弾き返す。


「確かに、こちらもそろそろ何かしないといけないね。こちらもそろそろ、仕掛けさせて貰うよ」


「ジーク、言い忘れてたけど、ライオ様の得意魔法は冷気の魔法。それでフィーナにあの剣を渡したんだけど」


杖を手に魔法の詠唱に移るライオ。その姿にカインはライオの得意魔法を説明するが、その対策に冷気の攻撃魔法を封じる剣を持っていたはずのフィーナはまだ白目を向いたままである。


「……完全に無駄だな」


「フィ、フィーナさん、起きてください!? 魔法が飛んできますよ!!」


ライオの周りに集まり始める魔力と冷気に眉間にしわを寄せるジーク。ノエルは慌ててフィーナの身体を揺するが彼女の反応はなく、ノエルの顔には焦りの色が見える。


「困ったね」


「カイン、困ったようには見えないんだけど」


目を覚まさないフィーナの様子にカインは小さくため息を吐くが、その様子は困ったように見えず、それどころか何かを企んでいるようにしか見えない。


「困ってますよ。なかなか、魔力がなじまなくて、上手くコントロールできるか微妙ですから」


「微妙? コントロール?」


「フィ、フィーナさん!? 大丈夫ですか?」


「……」


カインが口元を緩ませた瞬間、気を失っていたはずのフィーナが突然立ち上がる。その目はうつろであり、動きはどこかおかしく、それに気が付いたノエルはフィーナの顔を覗き込むが反応はない。


「カイン、お前、何をした?」


「いや、石の人形とかを簡易魔導人形として使う魔法があるんだけど、せっかくだから、フィーナで試してみたんだ」


「……それは人道的にどうなんだ?」


フィーナはカインの魔法で無理やり動かされているようであり、いくらなんでもやりすぎだとジークは顔を引きつらせた。


「ジーク、まだ、上手く動かせないから、フィーナの護衛は任せるよ」


「無責任な事をするな!?」


「カイン、何がしたいんだい?」


カインに操られたフィーナは一直線にジークとエルトの元に駆け寄り、見境なく剣を振りまわす。ジークとエルトはカインの思惑がわからないようで疑問の声をあげる。


「何って、ライオ様の魔法を防ぐ事ですよ」


「あの剣は? ……なるほど、流石はカイン。私の得意魔法を調べ上げていると言う事か?」


「まぁ、情報収集が得意なのはライオ様だけではありませんから」


ライオから放たれた冷気の魔法は前線に立っていたジーク、フィーナ、エルトをま聞き思うとするが、その冷気はフィーナの剣が赤く光をあげると同時に消え去ってしまい、ライオは発動したはずの魔法が霧散した事に驚いたような表情をするとカインへと視線を向け、カインはライオを挑発するように笑みを浮かべた。


「と言うか、それをするためだけに足手まといを作るな!?」


「あー、ノエル、上空に風の攻撃魔法」


カインに操られているフィーナの反応はやはり鈍く、彼女は完全に足手まといと化しており、ジークは声をあげる。その様子にカインは何かを思い出したかのようにノエルへと攻撃魔法の指示を出す。


「へ?」


「速く」


「は、はい」


ノエルはカインの指示に意味がわからないようだが、カインに促され、貯めていた魔力を解放すると上空には風が巻き起こり、フィーナを狙っていた弓使いの矢は風に巻き込まれて地面に落ちた。


「ノエル、魔力をいつでも魔法を放てるようにしておいて、充填魔力は1割くらいで良い」


「は、はい」


ノエルの性格上、人に向かって攻撃魔法を使う事は難しいと判断しているようでカインは弓使いの攻撃への対策にノエルの魔法を使うつもりのようであり、ノエルは直ぐに魔法の詠唱に移る。


「発動までの時間を考えると風と氷の魔法ではこちらが不利だね。それに魔力を溜めておけるなんて、ノエルさんがその技術を持っているとは思わなかったよ」


「あ、あの。これって凄い事なんですか?」


「まぁ、アーカスさんは簡単にやれって言ってたけど、基本的にエルフの魔法使いの技術だしね。他の種族が使うのはなかなか難しい。ちなみに俺はできないよ」


ノエルが魔力を溜めておく様子にライオは感心したように言う。カインはライオの反応に戸惑っているノエルの姿に楽しそうに笑う。


「……アーカスさん、よく簡単に言ったな。できなかったら、あの時、俺達はどうなってたんだ?」


「そ、そうですね」


カインの話に魔力をとどめておく事が出来たノエルと感覚的にできると思ってしまったジークは顔を引きつらせるが、できてしまった事に今更何かを言っても仕方ない。


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