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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
203/953

第203話

「こんなに集めてどうするんだよ? 買い取りなんかできないぞ」


「一応、魔術学園に出入りしている防具屋の知り合いに商品の貸出を頼んだんだよ。ただ良い物を買っても、魔法は打ち消し合うものもあるからな。俺が選んで、いざ、ノエルが装備してみたら、その魔導機器の魔法を打ち消しても困るだろ」


カインに案内されてノエルの防具候補を集められた部屋に行くとかなりの数の防具が机の上に並べられており、自分達で防具を選ぶ事を考えていなかったジークは眉間にしわを寄せる。カインはそんなジークの事を気にする事なく、1つの防具を手に取る。


「ノエル、これなんか、女の子の魔術師の防具としてはかなり優秀なんだけど、どうだい?」


「あの、かなり、生地の面積が少ないですし、こ、こんなの恥ずかしくて着れません」


カインが手に取った防具は女性物の下着のように見え、ノエルはカインから受け取るも防具の形に顔を真っ赤にして大きく首を横に振った。


「ノエル、良いか? これを着れば鈍いふりをしているジークもイチコロだ」


「イ、イチコロですか? で、でも、少し、いえ、かなり、これを着るには勇気が」


カインは完全にノエルで遊ぶつもりのようであり、彼女の耳元でジークの名前を使ってささやき、その言葉にノエルはジークの顔をちらちらと見ながらも踏ん切りがつかないようである。


「……あんた、セクハラだから、ノエルもだまされたら、ダメよ」


「カインさん、わたしをだましたんですか!?」


ノエルがカインにからかわれている事を察したのか、フィーナがカインを睨みつける。ノエルはそこで初めてからかわれていると気が付いたようで驚きの声を上げた。


「まぁ、だましたと言うか、からかっただけだ。実際、見た目は置いておいて、かなり優秀な防具なんだよね。ジーク、ノエルがこれを着たのを想像して前かがみになってないで、意見を言えよ」


「そんな想像しているわけないだろ!?」


「……ジーク、あんた、最低ね」


水着のような防具はかなり優秀な物のようでカインは苦笑いを浮かべると今度はジークをからかいに移り、ジークは言葉では否定するが彼の姿勢は少し前かがみに見え、フィーナの冷たい視線が突き刺さる。


「だいたい、何で、女物の防具にはこう言ういやらしいのが多いのよ」


「それは男のロマンだからだろ。なぁ、ジーク」


「……同意を求めるな」


カインが用意した防具には女性専用の防具も多く含まれており、フィーナは眉間にしわを寄せながら1つ手に取ると文句を言う。カインは全ての男の言葉を代表するかのように言い切り、ジークは若干、気まずいようでフィーナから視線を逸らした。


「や、やっぱり、こんなの着れません!!」


「あれ? まだ、悩んでたんだ? まぁ、ノエルの性格じゃ、絶対に選ばないと思ったし」


「……なら、持ってくるなよ」


その時、ノエルが声を上げて防具をカインに押し付け、カインは苦笑いを浮かべながら、防具を机の上に戻す。


「いや、店主に防具を探してるののがかわいい女の子だって行ったら、買うかどうかは別として絶対に持って行けって言われてさ」


「……バカばっかりじゃない」


「フィーナ、勘違いするな。バカじゃない。男はみんなスケベなんだ。なぁ、ジーク」


「……だから、同意を求めるな」


防具店の店主の話を聞き、嫌悪感をあらわにするフィーナ。カインは気にする事なく、防具を選びながら、ジークに同意を求める。


「ジークさん、こう言うのを着たら、喜ぶんですか?」


「いや、ノエルの場合は同棲してるんだし、夜にお風呂からあがったら、そのままの姿でジークを押し倒せ。それが1番手っ取り早いし、こんなものより……まぁ、着衣には着衣の魅力があるよな」


「……ノーコメントで」


遠慮がちに間違った質問をするノエル。カインはその様子に楽しそうに笑うも発言はジークを落としめるためのものであり、ジークはノーコメントを貫こうとするが何かを想像したのか彼の顔は若干、赤みを帯びている。


「ジークも男の子だね。弟の成長を目の当たりにしてお兄さんは嬉しいよ」


「……何度も言うな。俺はお前とは赤の他人だ。それより、早く、防具を選ぶぞ。時間だってないんだろ」


「やっぱり、そう言うのが良いんだね。と言うか、この中で1番、生地が少ない物を選ぶなんて、流石だよ。ジーク、男として、俺はお前を見直した」


ジークの表情の変化に口元を緩ませるカイン。ジークはこれ以上、彼のペースに巻き込まれるわけにもいかないと防具選びを続けようと無作為に防具をつかむ。しかし、彼が手に取ってしまったものは、先ほどカインがノエルに薦めた物よりさらに生地の少ない物である。


「こ、こんなの絶対に無理です!?」


「ち、違う。これは偶然だ。わざとじゃない!!」


「ジーク、あんた、最低ね」


ジークの手にある物を見て、ノエルの顔は一瞬で耳の先まで真っ赤に染まり、ジークも改めて、手に取った物を見て、顔を真っ赤に染め上げると慌てて偶然を主張するが慌てる様が余計にわざとらしく見えたようでフィーナの視線はもの凄く冷たい。


「だから、わざとじゃないって言ってるだろ!!」


「どうだか、ノエル、こう言うのはどう? 動きやすそうだし」


「は、はい。あの、カインさん、これって魔力を感じるんですけど、どんな効果があるんですか?」


ジークがいくら無実を主張してもすでにフィーナの反応は冷たく、ジークやカインに任せておくといつまでも決まらないと判断したようで机の上からマントを取り上げるとノエルはそのマントから魔力を感じたようでカインにマントの効果を聞く。


「火炎獅子のマント。活火山のマグマの中に生息しているって言われている魔物の毛皮をマントにしたもの。炎の魔法の耐性はあるね。防御力としてもそれなりに高いよ。持ってきた物の中ではかなり良い物だよ……流石、野生の勘で生きる女」


「……一発で良い物を引き当てるか」


「ジークは一発で自分の願望を引き当てたけどね。まぁ、おススメではあるね。サイズもあるし、羽織ってみたら?」


カインはフィーナが誉めつつも小バカにするとノエルに羽織ってみたら良いと言う。


「どうですか?」


「まぁ、似合うんじゃないか?」


「ジーク、誉め方が悪い。減点。ノエル、それを使うなら、これとこれも併用してみると良いよ。こっちが精神安定の魔法、こっちは」


主防具はすでに決まったと判断したようでカインは予算の範囲内でアクセサリと言った小物の説明を始め出す。


「……結局、たくさん持って来たわりにはカインが決めるんじゃないかよ?」


「ノエルのエッチな姿が見えなくて残念だったわね」


「だから、違うって言ってるだろ!!」


ノエルとカインの様子に蚊帳の外になったジークはため息を吐くが、フィーナからの冷たい視線が直るにはまだ時間がかかりそうである。


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