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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
201/953

第201話

「お人好し? ……それに関しては認めたくないけど、若干、自覚がある」


「まぁ、そこに関しては惚れた弱みだと思うけどね」


「……確かにそうですね」


お人好しと呼ばれた事にノエルに巻き込まれている事もあるため、視線を逸らすジーク。彼の様子にカインはノエルの事は別問題だと言い切り、レインは苦笑いを浮かべる。


「そ、そんな事はない!?」


「慌てる時点で墓穴を掘ってると白状しているようにしか見えんぞ」


「おっさん、どこから湧いて出てくる!!」


ジークが慌てて否定しようとした時、ラースが背後から声をかけた。


「エルト様、そろそろ、1度、特別席に戻って貰わないと困ります」


「もうそんな時間かい? カイン、悪いけど、ジーク達に残りの説明を任せるよ」


「はい。わかりました」


珍しく落ち着いた様子でエルトに声をかけるラース。その言葉にエルトはカインに残りの説明を任せて特別席に向かい歩き出し、レインとラースはエルトの後に続いて行く。


「……ジーク、ノエル、これは夢かしら、あのおっさんがまともに働いてるわ」


「まぁ、そう言う事も極まれにあるだろう」


「2人とも言い過ぎですよ。ほ、ほら、ラースさんに聞こえてしまいましたよ。怒られちゃいますよ」


ラースと出会ってから、彼がまともに働いている事を見たの事のないジークとフィーナは眉間にしわを寄せた。2人の様子にノエルがため息を吐いた時、2人の声が聞こえたのかラースが振り返り、眉間にしわを寄せて戻ってくる。

その姿にノエルは怒られると思ったようで慌ててジークの背中に隠れ、泣きそうな表情をする。


「まぁ、ノエルはおかしな事を言ってないし、怒られないだろ」


「別にあれだけ巻き込まれたんだから、言う権利はあるわよ」


「そうだな。実際、ライオ王子の誘拐騒ぎの時の謝罪も受けてないしな」


ノエルにはラースに怒られる理由はないと苦笑いを浮かべるカイン。しかし、ジークとフィーナは文句なら自分達にこそ言う権利があると言い切った。


「……まったく、キツネ。目下の者に礼節くらい教えておけ」


「娘の教育もできない人間に言われたくありませんね」


ジークとフィーナのふてぶてしさにラースの矛先はカインに向けられるも、カインは笑顔で毒を返す。


「これだから、キツネは」


「それで、何かありましたか、ラース様は本日も警備でお忙しいのではないのですか?」


「そんな事はわかっている……」


カインはあまりラースの相手などしたくないようで、笑顔で速く仕事に戻れと言うとラースは何か言いたい事があるようだが次の言葉が出てこないようである。


「おっさん、俺達もヒマじゃないんだけど」


「今のところ、あの迷惑なおっさんの娘も来てないし、見張ってなくても良いわよ」


「そう言うわけではないのだが……この間はカルディナが迷惑をかけてすまなかった」


ラースの相手をする気もないジークとフィーナは彼を追い払うように言う。ラースは2人の様子に不機嫌そうな表情をするも自分を落ち着かせようとしているのか大きく深呼吸をすると一言、カルディナの事を謝罪し、ジーク達の反応を見る事なく、エルトとレインの後を追いかけて行く。


「……何があったの?」


「あのおっさんは偽物だな。カイン、魔法で変装ってできるのか?」


ラースの言葉がまったくの予想外だったようであり、フィーナはどう反応して良いのかわからないようで眉間にしわを寄せ、ジークは迷う事なく、今のラースは偽物だと言い切った。


「できなくはないけど、あのおっさんにそんな魔法が使えると思うか?」


「ないな。そうなると本物か? 本当に地震でルッケルが壊滅する気がしてきたな」


「そうならないと良いな。話を戻すぞ」


ラースの殊勝な態度に不吉な事が起きる前兆ではないかとかなり失礼な事を言うジーク。カインはからかう相手がいないためか、話を戻そうとする。


「はい。お願いします」


「狙撃に関しては警戒は充分にしているけど、気を付けないといけない点がある。それは観客席からの狙撃や舞台への乱入」


「観客席から? 人目が付く場所で舞台を直接狙ったら、バカだろ」


カインが心配している事はジークから見たら現実味もなく、眉間にしわを寄せた。


「まぁ、攻撃力のある魔法は周囲を巻き込むし、いくら盛り上がってても、周囲は気づく、だけど、コンパクトでも殺傷能力の高い武器もあるからね。とても貴重なものではあるんだけど、襲撃者がもしそれを持っていればわからない」


「そんな武器があるんですか?」


「あるよ。その武器はノエルも知ってる武器だよ」


「わたしが知ってる武器ですか?」


カインが危惧しているのは1つの武器であり、ノエルはその武器に心当たりがないようで首を傾げる。しかし、カインはノエルも知っている武器だと言う。


「そう。凄く見なれた武器」


「見なれた武器と言われましても、わたしは杖ですし、フィーナさんは剣、ジークさんは魔導銃ですけど、観客席から狙えるような威力も攻撃射程もないと思うんですけど」


「うん。まさにその魔導銃だね」


ノエルはいくら考えてもわからないようで、自分達の武器をあげて行くとカインはジークが使用している魔導銃が危険だと苦笑いを浮かべる。


「魔導銃が? これ、直ぐに壊れるわよ。殺傷能力があるようには見えないんだけど」


「まぁ、それは銃身が威力について行けてないだけだから、出力もかなり制限されてるからね。修復しない使い捨てと割り切ってリミッターを解除してしまえば人1人くらい簡単に殺せる」


「……本気?」


フィーナは魔導銃がそんなに危険なものとは思えないようでジークの腰のホルダから魔導銃を抜き取り眺め出すとカインは魔導銃の本来の破壊力を告げ、フィーナは顔を引きつらせた。


「ジ、ジーク、これ、返すわ」


「投げて、返すな!? 危ないだろ!?」


「まぁ、アーカスさんが作ったものだから、しっかりとその辺の制御はできてると思うけどね。魔導銃は古い知識を使って作られてるから、制作者によって危険度はピンキリなんだよ」


慌てて魔導銃をジークに向かって投げ返すフィーナ。ジークは何とかキャッチすると2人の様子にカインは苦笑いを浮かべ、ジークの魔導銃の安全性を保証する。


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