第20話
「……ノエル、フィーナ、止まってくれ」
「ジークさん、どうかしたんですか?」
しばらく、歩いているとジークは何に気づいたようで立ち止まり、後ろを歩いてきている2人を静止する。
「ジーク、何かあった?」
「……あぁ。あれ」
「……いるわね。それもうじゃうじゃと」
フィーナはジークに何があったかと聞くとジークは声を抑え気味にして遺跡の奥を指差すと奥にはゴブリンと呼ばれるあまり強くはない魔族が4匹ほど先を歩いており、フィーナはその様子を見て表情を引き締めると、
「……どうする? 仕掛ける?」
「……ノエルがいるし、戦闘にならないにこした事はないんだけど」
ゴブリンは先を急いでいるようで振り返る事はなく3人には気づいていないようであり、フィーナは後ろから不意打ちを喰らわせるかと聞くがジークは争いを好まないノエルがいるため、仕掛けて良いものか悩んでいるようで頭をかいた時、
「な、何ですか!?」
「……ねえ。奥に凄いのいる?」
「かもな」
遺跡の奥からは大きな唸り声が響きだし、ノエルは突如聞こえた唸り声にジークの背中に隠れて聞き、ジークとフィーナは今までこのような唸り声は聞いた事がないようで眉間にしわを寄せる。
「……ゴブリン程度ならどうにでもなるんだけどね。ドラゴンとか眠ってたら、どうする?」
「ないない。あり得ない。こんなところに……引き返すか?」
「……そうね」
フィーナは先を歩いているゴブリンはジークと2人でなら倒せると言い、冗談交じりで奥にいるのがこんな平和な村にドラゴンとか恐ろしい魔物がいたらどうしようと言い、フィーナの冗談をジークが否定した時、遺跡の奥が赤々と光りを放ち、一緒に大きく息を吐き出すような音が聞こえ、ジークとフィーナは冗談で言った事が現実にあるのではないかと思い、奥にいる物を何か確認せずに帰ろうかと言うが、
「ドラゴンさんですか? お話を聞いて貰えないでしょうか?」
「……あ、あの。ノエルさん、どうして、そんな答えに行きつくのですか?」
ノエルは首を傾げながらドラゴンと話をしてみたいと言い、その言葉にジークは顔を引きつらせる。
「どうしてと言われましても、ドレイクはドラゴンの言葉を理解できますから」
「そ、そうだとしてもね。話にもならずに炎のブレスとかを放たれたら終わりよ」
ノエルはドレイクである自分はドラゴンとも話ができると言うがフィーナは流石に無茶があると言うが、
「……流石に無茶だと言いたいけど、ん? なぁ、フィーナ、さっきのを見て俺達は勝手にドラゴンがいるかもと言ったけど、本当にドラゴンがいると思うか?」
「何が言いたいのよ?」
「いや、今までこの辺にドラゴンがいるって話は聞いた事ないよな? 遺跡の奥で眠っていたとしても昔からいたなら、伝承でも何でもあるだろ?」
「確かにそうよね? なら、さっきの何よ?」
ジークはノエルの言葉を否定しようとするが実際は奥にドラゴンがいるってのは考えられないと言い、フィーナは少し冷静になったようでジークの言葉に頷くとそれなら、先ほど赤々と光ったのはなんだと言う。