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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
191/953

第191話

「最初は使い勝手を疑ったけど便利だな」


「そうだね。私もアーカスさんに何か作って貰おうかな?」


誘拐犯の残り2人は仲間以外の人間が穴から出てくる事も念頭に入れていたようで、ジークを見つけて直ぐに攻撃態勢に移ったのだが、2人からの攻撃より速く、ジークは魔導銃を抜き、2人を凍りつかせた。

アーカスの魔導銃のカスタマイズが今回はかなり役に立っており、ジークは魔導銃を1度、見るとエルトは彼の魔導銃を少し羨ましいそうに覗きこむ。


「いや、止めておけ。確かに役に立つ物も多いけど、だいたい、実験の7~8割がわけのわからないもので爆発する可能性がある」


「それに基本的に趣味で物を作ってますから、こう言うのを作ってくださいだとへそを曲げちゃう可能性もありますから」


エルトの言葉にジークは苦笑いを浮かべて、魔導銃を腰のホルダに戻す。ノエルはアーカスの性格を考えると止めた方が良いと彼の言葉に同意を示す。


「そうかい? それは少し残念だね」


「まぁ、実験に付き合わされるのは基本的に俺だから、エルト王子に使えそうなものだったら確保くらいはしておく」


「そうしてくれると助かるね」


残念そうな表情をするエルトの様子に打算的にもジークは恩を売る所だと判断したようで1つの提案をし、エルトはその言葉にくすりと笑った。


「ジーク、ノエルはこの後、どうする? 馬車に乗って帰るか? 場所的にはルッケルに戻るまで徒歩で1時間くらいかかりそうだけど、ちなみにジーク達がいつも使わせて貰っているアズ様の馬車とは格が違うから、かなり揺れると思うけど」


「1時間か?」


カインは捕えた誘拐犯から現在位置を確認したようで馬車が苦手なノエルの事もあるため、この後の事を聞く。その言葉にジークは1度、ノエルに視線を向けると彼女は馬車移動への恐怖なのか顔は青くなって行く。


「カイン、ここにアズさんの馬車を呼んで貰うわけにはいかないかい?」


「近辺の様子を使い魔で確認しましたが、アズ様の馬車では入って来れませんね」


「良い馬車だからな。大きさが違うもんな……」


ノエルの様子にエルトは苦笑いを浮かべて1つの提案をするが、この場所は森の奥であり、アズの馬車はここまで来れそうにはなく、ジークは頭をかくが何か思い出しそうなのか首をひねっている。


「まぁ、実際、この人数を1度で馬車には運べないから、馬車待ちなら見張りをして欲しいんだけどね」


「そうだよな。馬車に乗るとしても……おい。そう言えば、お前、転移魔法を使えるだろ。わざわざ、ここで待ってる必要もないだろ」


現状でいる人数では馬車移動は2回に分けなければいけないため、ジークとノエルに誘拐犯の見張りを頼みたいと言うカイン。しかし、ジークはカインが転移魔法を使える事を思い出したようでカインの胸倉をつかんだ。


「そう言えば、そんな魔法も使えたね。すっかり忘れてたよ」


「嘘を言うな!! わざわざ、横穴を抜ける必要ないじゃないかよ。子供達を確保したら、ルッケルに戻れば良かったじゃないか?」


「それをやったら、残りの2人を捕まえられないじゃないか? 転移魔法はマーキングがいるんだ。戻って来れないと探すのに骨が折れるだろ」


ジークの様子にカインはわざとらしく言うが、その言葉はジークの怒りに油を注ぐだけである。


「どうして、カインさんはジークさんをからかうんですかね?」


「カインなりのスキンシップじゃないかな?」


転移魔法の事を思い出し、馬車に乗る必要性がなくなったため、ノエルはほっと胸をなで下ろす。エルトはジークとカインの姿に少しだけ羨ましいようで小さくため息を吐いた。


「それじゃあ。ルッケルに戻りましょう。長い時間、エルト様が席を空けるわけにもいきませんし」


「あ、あの。ジークさん、大丈夫ですか?」


「……な、何とか」


その時、いつものようにカインがジークを投げ飛ばし、ジークが地面に叩きつけられる音が聞こえた。ノエルは慌ててジークに駆け寄り、ジークは背中を押さえながらふらふらと立ち上がる。


「カイン、それくらいにしないか、ジークは子供達を助けた1番の功労者なんだから、ジークが誘拐犯の逃走に気が付かなければ大変な事になっていたんだ」


「いえ、エルト様、そんな事を言って、頭に乗っても困りますので、しっかりとした教育をしなければいけません」


エルトはジークの今日の活躍を評価しており、カインをいさめるもカインにはカインなりの考えもあるようで首を横に振った。


「……別にこんな事で調子に乗る気はないよ。だいたい、判断を見謝らなければもっと楽に決着がついていたんだからな」


「ん。それがわかってるなら良い。それじゃあ、ルッケルに戻りましょう。馬車は後で回収させよう」


子供達に無駄な恐怖心を与えた事もあり、ジークは眉間にしわを寄せた。その表情に満足そうに笑みを浮かべるとカインは転移魔法を唱えるとその場にいた人間を光が包む。


「到着」


「やっぱり、便利だな」


ジーク達が次に見た光景はアズの屋敷の前であり、ジークは転移魔法の便利さに感心したように言う。


「マーキングした場所にしか戻って来れないのが、使い勝手の悪いところだけどね。アズ様がいる場所に飛べれば楽だったのに」


「それは言っても仕方ないだろう。一先ずは移動しようか? 悪いね。子供達と誘拐犯を預かっていてくれるかい?」


カインには転移魔法の不便なところもあると小さくため息を吐くと、エルトは自分達に気が付き、駆け寄ってきたアズの私兵団に子供達と誘拐犯を預ける。


「それじゃあ、アズさんのところにでも戻るか?」


「そうですね」


「そっちは2人に任せるよ。俺とエルト様は会場に戻らないといけないから、エルト様」


ジークとノエルは状況説明があるため、アズのところに移動しようと言うが、カインは武術大会の責任者であまり長い時間、会場を空けるわけにもいかないようでエルトに会場に戻るように促す。


「カイン、おっさんの娘に会いたくないから、アズさんのところに行きたくないんじゃないのか?」


「そんなわけないだろ」


カインがアズのところに行かずに会場に向かうのはカルディナに会いたくないからだと思ったようでジークは小さく口元を緩ませるがカインは大きく肩を落とすとジークの言葉を否定する。


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