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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
189/953

第189話

「それじゃあ、準備もできたし、仕掛けようか?」


「あ、あの。カインさん、準備も何もあまり何もしていませんけど、良いんですか? 子供達は危なくないですか? もっと作戦とか」


ノエルの魔法発動を見て、カインは子供達を助けに行こうと言う。しかし、ノエルは状況が有利になっているとは思えないようでもう少し作戦を考えて欲しいと3人を引き止める。


「いや、今更だけど、実際、作戦も何もないんだよ。と言うか、奇襲を仕掛けるなら、この横穴内の方が都合が良い」


「でも、奇襲なんかして、子供達がケガでもしたらどうするんですか?」


「その前に、無力化するから問題なし、ノエル、魔法の発動を遅らせる事はできるよね?」


「は、はい。それは以前にジークさんとアーカスさんから」


カインの頭の中にはすでに子供達の救出作戦は出来上がっているようであり、小さく表情を緩ませる。ノエルはカインの表情にジークやフィーナがお仕置きをされている姿を思い浮かべたようで顔を引きつらせるもカインの問いに答えた。


「アーカスさんに、洞窟内に灯りを点ける魔法も教わったよね? それを使おうか? 発動は遅め」


「わかりましたけど、どこにですか?」


「ここに」


カインの使い魔が戻ってきたようで彼の肩に乗っており、ノエルにカインの使い魔に灯りを点すように指示を出す。


「良いんですか?」


「良いんじゃないか? それより、早くしないと時間がないぞ」


「良いんですかね?」


ノエルはカインの指示の意味がわからずに首を傾げながらカインの使い魔に魔法で灯りを灯すとカインの使い魔は青白い光を放ちながら、先を進む誘拐犯と子供に向かって飛んで行き、いきなり現れた光の球に横穴の奥からは子供達の悲鳴にも似た声が聞こえる。


「……子供達、泣いてませんか?」


「光の球が暗い抜け道内を飛んでいるんだ。ある意味、ホラーだ」


「ジーク、遊んでないで行け」


子供達の声にノエルは心配そうな表情をするとジークは子供達にトラウマを与えていない事を祈る。2人の様子に構う事なく、カインはジークに突撃指示を出す。


「ジーク、行こうか? カインには考えがあるみたいだし」


「だとしても、良いのかよ?」


「問題ない。問題ない。子供達の泣き声で、誘拐犯達は慌ててるから、距離を縮めるのは今、逆に時間をかけると危ない」


使い魔と視界を共有しているカインは誘拐犯と子供達の状況をしっかりと把握しており、ジークとエルトに先に進むように言う。


「わかったよ。エルト王子」


「あぁ。行こう」


「ジーク、エルト様、10秒経ったら、目を閉じて、ノエルの魔法が発動するから」


ジークとエルトが横穴内を駆け出した時、カインが1つの注文をするが2人からの返事はない。


「ジーク、カインが何か言ってなかったかい?」


「少ししたら目を閉じろってさ。今、奥に見える青白い光がカインの使い魔、ノエルの魔法の発動で、誘拐犯の視力を奪うつもりなんだろ。発動の前に少し光がしぼむはずだから、その時に目を閉じろ」


「わかったよ」


ノエルの魔法でカインは何をしたいのかすでに理解しており、エルトにカインの策を話すとエルトは頷いた。その瞬間に、ジークの言った通り、視線の先に移る青白い光は照度を落とした後、強烈な光を放った。


「これはきついね」


「……暗闇の中を歩いていたから、瞳孔も開いているしな」


2人は視力を奪われる事なく、横穴の中を進んで行くと2人の視界の先には視力を奪われ、怒声を上げている3人の誘拐犯の姿が映る。


「ジーク、奥は任せた」


「あぁ」


エルトは体勢を低くして目の前の誘拐犯のみぞおちに剣の柄をねじ込むと誘拐犯の身体はくの字に曲がり、頭の位置が下がった。ジークは誘拐犯の1人の頭が下がった事で奥に見えた誘拐犯の顔に向かって魔導銃の引き金を引く。

魔導銃の銃口からは青い光が続けて2発放たれ、2人の誘拐犯を撃ち抜き、誘拐犯の身体は凍りつき始める。

ジークは子供達の隙間を通り抜けると魔導銃の柄で誘拐犯の顎を殴り、奥に立っていた最後の誘拐犯は後頭部にカインの使い魔の体当たりを喰らい、奇襲は無事成功し、誘拐犯を鎮圧した。


「ジークさん、エルト様、子供達は無事ですか?」


「あー、ケガしてる奴はいないか?」


ジークとエルトが誘拐犯を鎮圧すると遅れてノエルとカインが追いつき、ノエルは子供達の安否を心配し、ジークは子供達にケガの有無を聞く。


「一先ずはケガはないみたいだね。怖い思いをさせてゴメンね」


「もう。大丈夫ですから、泣かないでください」


「……」


エルトは子供達が怪我がないのを確認してホッと胸をなで下ろすと自分達が助かった事に気づき、張り詰めていた緊張の糸が切れてしまったようで子供達は大声をあげて泣き始め、ジークはその様子に小さくため息を吐いた。


「カイン、それでどうする? 長居するわけにもいかないぞ」


「わかってる。けど……こうなるとどうしようもないな」


巨大ミミズが出現しないとは言いきれないため、早く脱出したいジークとカイン。しかし、子供達はまだ歩きだせる状況ではなく、2人は困ったように頭をかく。


「まぁ、巨大ミミズが出てこない事を祈るしかないな。それより、このバカどもを縛っちまおう。目を覚まして暴れられると面倒だ」


「そうだな」


ジークはエルトに1撃で沈められた誘拐犯の1人を足蹴にするとカインに忘れないうちに誘拐犯を縛りあげようと言い、カインは頷いて目を閉じると魔法の詠唱を始め、魔法の詠唱に彼の身体は淡い光を帯び始めた。


「何をする気だ?」


「縛るんだろ。今は手持ちの縄を持ってるわけじゃないからな」


「……と言うか、やる事が派手すぎだ」


カインが何をするつもりかわからないジークは眉間にしわを寄せると地面から植物の根が飛び出し、誘拐犯3人を縛りつける。


「ジーク、適当なところで根を斬り落してくれ」


「あぁ」


根は地面と誘拐犯を繋いでおり、このままでは誘拐犯を連れて行けないため、ジークに指示を出すとジークは誘拐犯が持っていたナイフが地面に落ちているのを見つけ、根を切ると3本の根を1つに結ぶ。


先日から『I wish~精霊の導き~』と言う新作ファンタジーを書き始めました。よろしかったらご覧ください。

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