第17話
「説明しても何もないだろ。言葉の通りなんだから、それに人には向き不向きがあるんだ。仕方ないだろ」
「仕方ないじゃないわよ!! それじゃあ、これから、おにも……」
「……フィーナ、それは言うな」
ジークはフィーナの勢いに怯んでしまったノエルを自分の背中の後ろに匿うとフィーナは信じられないと言いたいようで勢いでノエルを『お荷物』と言おうとするがジークはその言葉を遮る。
「……そうね。ゴメン」
「い、いえ、あの。申し訳ありません」
フィーナは自分が言おうとした言葉がノエルを傷つける事を理解出来るため、言葉を飲み込むとノエルに頭を下げ、ノエルは自分が悪いと思っているようで申し訳なさそうに目を伏せた。
「さてと、どうするかな? このまま遺跡に行っても危ないだろうし、1度、戻るか?」
「そ、そんな、わたしのせいでこれ以上、ご迷惑をかけるわけには」
「でも、実際は戦えないノエルがいるのは危険だし」
「だ、大丈夫です。攻撃魔法も前で戦う事もできませんが支援魔法と回復魔法は少しだけできます」
ジークはこのままノエルを連れて歩くのは危険と判断し、彼女を店に戻そうと、1度、店へと帰る事を提案するが、ノエルはこれ以上は迷惑をかけられないと言い、それでもいくつかの魔法は使えると言う。
「何で、攻撃魔法は覚えなかったの?」
「それは当たると痛いですし、ケガしちゃいますから、誰だって痛い思いをするのはイヤです」
フィーナはノエルの魔法の選択に偏りがありすぎると思ったようでため息を吐くとノエルは彼女の心優しい性格のせいであり、
「……なんか、治療薬を作るために動物の身体の1部を集めている自分が酷い人間に思えてくるな」
「……言わないで、それを言ったら、私は自分の名声のためにノエルを同じ考えを持っているかも知れない魔族を殺そうとしていたのよ」
ジークとフィーナは罪悪感を覚えたようであり、ノエルから視線を逸らす。
「あ、あの。ダメでしょうか? 遺跡に行くのはわたしのわがままなのにジークさんやフィーナさんが危険なところに行くのにわたしは何もしないでいる事なんかできないんです。ですから、お願いします」
「……どうする?」
「……どうする? って言われてもね。実際、ここまで流されてこの場所に来ている私とジークよ。答えなんて決まっているでしょ?」
「……だよな」
ノエルは深々と頭を下げてジークとフィーナに遺跡に連れて行って欲しいと頭を下げるとジークは答えをフィーナに丸投げしようとするがフィーナはジークにここまできた経緯を思い出せと言うとジークは苦笑いを浮かべ、
「わかったよ。元々、そんなに危険な遺跡でもないし、ノエルがいても大丈夫だと思うし、その代わり、奥の方は情報がないから、俺かフィーナがノエルを連れて行くのは無理だと思ったら今日は帰る。それで良いな?」
「は、はい。お願いします」
「まぁ、仕方ないわね」
ジークはノエルが同行する条件を決めるとノエルは深々と頭を下げ、フィーナはノエルの様子に苦笑いを浮かべると、
「それじゃあ、行きましょうか?」
「そうだな……後、ノエル」
「は、はい!? なんでしょうか?」
「痛いのはイヤって言うのもわかるけど、自分が危険になったら、攻撃はしないといけない。動物は人を襲う時がある。彼らは生きるために人を襲うんだ。そして、人は生きたいから、戦う。それを理解してくれ。ここに情はかけちゃいけないんだ」
「わ、わかりました」
フィーナが改めて出発しようと言うと、ジークは頷きながらもノエルへと視線を向け、戦うと言う事は必ず必要になってくる事だと真剣な表情をして言う。ノエルは先ほどまでと表情の異なるジークに少し驚いたようで慌てて返事をする。