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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
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第161話

「最近は国内の政治も安定しているせいか、古くから使えてくれている騎士の家系は騎士の事を特権階級だと思っている人間もいるから、まだ、ラースは良い方なんだけどね」


「……何となく、エルト様がカインを重宝しているのがわかる気がする」


「そ、そうですね」


騎士の現状にため息を吐くライオ。そんな彼の様子にジークとノエルはエルトとカインがともにいる理由が納得できたようである。


「オグだと、父上を呼び捨てにするなどどう言うつもりだ!!」


「ジークさん、ラースさんを止めないと」


「あぁ……しかし、これで使い方って良いのか?」


父親を粗雑に扱われている事にラースはアーカスにつかみかかろうとする。ジークは流石にアーカスはそこまで頑丈ではないため、ため息を吐くと魔導銃を腰のホルダから抜くと照準をラースの頭に合わせ、迷う事なく引鉄を引く。


「それで、アーカスさん、このおっさんの父親とどうして知り合いなんですか?」


「別に深い理由はない。ジオスの前に王都に住んでいた時期があるだけだ」


「あ、あの。それより、ラースさんはそのままで良いんですか?」


頭を始めとして、四肢を凍りつかせたラースを余所にジークはアーカスにラースの父親との関係を聞くが、アーカスの返事はそっけない。


「それより、せっかくだ。小僧、これに参加しろ」


「……いや、アーカスさん、話を聞いてました? 俺には優勝なんか無理ですし」


「それに今更だけど、エントリーは今日の朝までだよ」


アーカスは自分の作った胸当ての性能を見たいようでジークに武術大会に参加するように言った時、ライオは少しだけ申し訳なさそうに笑った。


「それじゃあ、参加も何もないな。この話はなかった事で、いやあ。残念だな」


「ジーク、あんた、ものすっごくわざとらしいわよ」


「そ、そうですね」


ライオの言葉にジークはこれ幸いと思ったようで残念だと口先だけで言い、フィーナから冷たい視線を向けられる。


「そんなものは私がねじ込んでやる!!」


「げっ!? 復活しやがった!?」


「……なれってあるのかな?」


その時、ラースが自分の身体にまとわりついていた氷を割ると同時にジークの参加資格を無理やり作り上げると叫ぶ。


「だから、おっさん、あんた騎士だなんだって言いながら、わがまま言い過ぎだ。振り回される方の身にもなってくれ」


「小僧、貴様が姑息な手段を使わずに正々堂々と私と戦えば何の問題もない」


「正々堂々って、使いなれない武器を無理やり使わせて戦わせるの事を言うのかよ」


相変わらず、自分のわがままを押し付けるラースにジークはかなり疲れているようで大きく肩を落とす。


「ラース、言い分としてはジークが正しい。彼は騎士でもなければ冒険者でもないんだ。由緒正しい騎士なら彼の言い分を聞くべきだと思うんだ。それが騎士としての誇りだと私は思う」


「なるほど、確かにライオネット様の言い分もありますな」


「……おい。ライオネット」


ジークとラースの勝負が楽しみになってきたのかライオはラースに騎士なら相手の意見を尊重するべきだと言い、ラースは考え込み始めるがそれはジークに取っては都合が悪い事であり、顔を引きつらせながらライオを呼ぶ。


「いや、正直、私もジークの実力を見たくなってね」


「見たくなってじゃない!!」


「良いじゃないか。アーカスさんのお手製の胸当ての性能も見る良い機会だし」


「ジークさん、お、落ち着いて下さい!?」


ジークが困っている様子が楽しくなったのかライオは笑顔を見せ、ジークは彼の胸倉をつかもうとするがノエルが抱きつき必死にジークを止める。


「……ノエルさんが相手なら自制が効くんだね」


「……そうみたいだね」


ノエルに抱きつかれ、動きを止めるジークの姿にライオは苦笑いを浮かべるが、フィーナは面白くないようで頬を膨らませている。


「ライオネット様の言う通りです。小僧、その姑息な武器の使用を認めてやろう」


「……何で、このおっさんは上から目線なんだよ。と言うか、俺は参加するなんて言ってない!!」


考え終えたラースはジークの魔導銃を認めてやろうと上から目線で言い、その言葉にジークは気分を害したようで眉間にしわを寄せるが直ぐに根本的な問題を思い出す。


「何だ? 逃げるのか。これだから、姑息な小僧は」


「ジークさんは姑息でも卑怯でもないです!!」


「ノ、ノエルさん? ひ、一先ず、落ち着きましょう」


参加する気がないと言うジークの姿にラースは彼を卑怯者を罵るとついにノエルが我慢できなくなったようで声を上げ、ジークは彼女の様子に戸惑いの声を上げた。


「ダメです。これ以上は黙っていられません。ジークさんの事を何も知らないのに卑怯だなんて言って、そんな事を言うなんて許せません!! ジークさんはそんな人をバカにするような人に絶対に負けません!!」


「ノエル、落ち着いてくれ。俺は脳みそのない人間の相手はフィーナでなれてるから、ノエルが怒る必要なないから」


完全に頭に血が上っているノエルをジークは押さえつけるがすでにノエルはジークに変わってラースに宣戦布告をしている。


「小娘、その言葉、覚えておく。小僧、これで逃げるわけも行かなくなったな」


「……わかったよ。出れば良いんだろ。出れば」


ジークを大会に引っ張り出した事で勝ち誇ったかのようにラースはジーク見下ろし、ジークは投げやり気味に吐き捨てるように言う。


「もし私に勝てたなら、ライオネット様の護衛としても認めてやろう。まぁ、万が一にもそんな事は起きないだろうがな」


「……いや、勝っても護衛何かしないから、と言うか、目的のライオネットを忘れて行ってるぞ」


ラースは言いたい事だけ言うと、店を出て行くがライオと騎士2人は置いてけぼりであり、ジークは大きく肩を落とした。


「とりあえず、今日は街を見て歩くって感じではなくなってしまったから、帰るよ。ジークの活躍を期待してる」


「と言うか、あのおっさんと戦えるかだってわからないし、それにはっきり言うけど、結果がどうであれ。俺はライオネットの護衛をするつもりはないからな」


「聞こえないよ」


ライオは苦笑いを浮かべると騎士2人を連れて店を出て行こうとする。ジークはライオの背中に向かって護衛などしないと言うが、ライオはその言葉を笑う。


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