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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
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第157話

「何があったのよ。説明しなさいよ」


「知りたいなら、自分で聞いてこいよ」


結局、ジルの店に戻り、ライオは2人の兵士とともにラースに事情を説明しているなか、ジーク達はカウンター席で話が終わっているのを待っている。しかし、フィーナは1人状況を理解していないため、ジークに詰め寄るがジークは説明が面倒なようでライオ達のところに行って来いと彼女を追い払うように手を振る。


「いや、なんか、難しそうな話をしてるし」


「あのラースっておっさんもお前と同程度の頭の悪さだから、ライオネットがしっかりと説明してくれるだろ」


ライオ達の話し合いに混じるのは抵抗があるのか、フィーナはジークに簡潔に説明を求めるが、ジークはそばにいるジルにライオの正体をばらすわけにもいかないため、再度、ライオ達の元に行けと言う。


「納得がいきません!!」


「な、何ですか!?」


その時、ライオの説明を受けていたラースがテーブルを叩くと勢いよく立ちあがり、ノエルは突然の事に驚きの声をあげる。


「何があったの?」


「ジークさん、どうかしたんでしょうか?」


「……わからないけど、何かいやな予感だけはする」


ジークはライオ達の様子にいやな予感しかしないようで腕を組んで眉間にしわを寄せた。


「いやな予感ですか?」


「あぁ……すでにおかしな事に巻き込まれているけど、それ以上に面倒な事に巻き込まれる予感がする」


「ジーク、あんたのそう言う時の予感って良く当たるわよね」


「不吉な事を言うな」


今までの経験則でジークの予感は当たると言うフィーナの言葉にジークは認めたくないようで首を横に振った。しかし、そのいやな予感は直ぐに当たる事になる。


「護衛をどこの馬の骨かわからないこの者達に頼むとはいったいどう言う事ですか!!」


「ラースもフィーナさんの実力は身を持って体験しただろ。ジークもノエルも彼女に匹敵する実力者だ」


「何を言っているんですか。あの者達は身分も下賤であり、ライオネット様の護衛に相応しいとは思えません」


なぜか、ジーク達がライオの護衛をする事になっているようでラースは賛成できないと声を上げた。


「頑張れ。おっさん、俺はこれ以上、面倒事に巻き込まれるのはゴメンだ」


「……どうして、わたし達が護衛する事になっているんでしょうか?」


「……ジーク、もう1度、言うわ。お願いだから、今の状況を説明して」


エルトのチームでライオと戦わないといけないため、ライオとあまり深くかかわりたくないジークはラースを応援するが、フィーナは未だに状況が理解できないようでジークの服を引っ張る。


「ジークの事なら、ルッケルの領主であるアズ様が保証してくれる。彼はジオスと言う村の薬屋でアズ様が指名して彼と直接取引を行っている」


「仮にあの若者は認めましょう。しかし、あの礼儀を知らない娘を護衛にするなど、どんな危険があるかわかりません。状況も理解せずに騒ぎを起こすに違いありません!!」


ジークの先ほどの自己紹介が裏目に出たようで、ライオはそれを交渉のカードとして切る。ラースはそのカードで小さく唸り声をあげて少し考えると直ぐにフィーナを指差し危険分子として騒ぎたてた。


「ちょっと、礼儀を知らないってどう言う事よ!! だいたい、さっきだって、おかしな因縁を付けてきたのはそっちでしょ!!」


「フィ、フィーナさん、落ち着いてください!?」


「……やっぱり、面倒な事になりそうだ」


礼儀知らずと言われて、フィーナの怒りの導火線には簡単に火が突き、フィーナはラースとの距離を詰めながら怒鳴り付け、ノエルは慌ててフィーナの身体に抱きつくが非力な彼女は簡単にフィーナに引きずられて行く。


「おかしな因縁だと? ライオネット様を守るのは私の騎士としての使命だ。このラース=オズフィム。どこの馬の骨かわからん。小娘に文句を言われる筋合いなどない」


「小娘、小娘って、私にはフィーナ=クロークって名前があるのよ!!」


「クローク? ……小娘、お主もこのジークと一緒でジオス村の出身か?」


「そうだけど、それがどうしたって言うのよ!! おっさん、あんたが騎士だって言うなら、そっちが先に非礼を詫びなさいよ!!」


フィーナは小娘扱いに腹を立てており、自分の名前を名乗ると彼女の名前にラースの眉間にはくっきりとしわが寄る。フィーナはラースの態度が気に入らないようで声を上げた。


「……小娘、お主、ひょっとして、カインと言う兄がいないか?」


「あんなの私は兄と認めないわ!!」


「あの。フィーナさん、そこは話の流れで認めましょうよ」


カインとの血縁関係を問われるが、フィーナは直ぐにカインと関係などないと叫び、ノエルは苦笑いを浮かべてツッコミを入れる。


「ライオネット様、私は反対です。あのキツネの妹など信用出来るわけがありません!!」


「……キツネ、言い得て妙だな」


「あ、あの。ジークさん、それもちょっと、わかる気もしますけど」


ラースはカインにあまり良い印象は持っていないようで彼の反対の声は大きくなって行く。


「まぁ、あのおっさんは絶対にあいつと相性が悪いだろうな」


「それは何となくわかる気がします」


カインとラースの相性が悪いのはカインを知っている人間なら誰でもわかりそうであり、ノエルは苦笑いを浮かべた。


「フィーナさんはカインさんの妹さんでしたか」


「だから、違うって言ってるでしょ。あんなの邪悪な存在は兄として認めないわ!!」


「見てください。妹にすら、邪悪と言われるような男です。あんな男をエルト様の御側に置いておけば絶対に悪い事が起きます。ライオネット様からもエルト様に進言をお願いします」


フィーナは相変わらず、カインを兄と認めないと全力で叫び始め、なぜか話はカインをエルトから引き離せと言う話になり始める。


「あの。ジークさん、どうしたら良いんでしょうか?」


「……知らない。そっちも大変だね」


「……ええ。お互いに」


その様子にジークと残りの2人の騎士の間には妙な親近感が芽生え始めている。


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