第15話
(……何か、俺、流されてるよな。まぁ、フィーナがいれば一先ずはノエルの事もどうにかしてくれるだろうから、この時間からでも行けるのはありがたいけど)
ノエルが仲裁に入りジークとフィーナのケンカも一先ず、落ち着くとジークは時間が惜しいため部屋に戻り遺跡調査の準備を始めていると、
「ジークさん、ちょっと良いですか?」
「あぁ。開いてるよ……おい。フィーナ、これはどう言うつもりだ?」
「どう言うつもり? 見ればわかるでしょ。私とノエルも一緒に遺跡調査に行くのよ」
ジークの部屋のドアをノエルがノックし、ジークが返事をするとなぜかすでに冒険の準備を終えたノエルとフィーナが部屋に入ってきており、ジークは2人の様子に眉間にしわを寄せると原因だと思われるフィーナに説明を求めるが彼女は悪ぶる事なく答える。
「それより、早くしなさいよ。何で男のジークが1番準備が遅いのよ」
「フィーナさん、それはわたしもフィーナさんもほとんど持って行くようなものはありませんし」
「……あのなぁ。フィーナ、考えろ。ノエルはお前みたいなガサツな娘じゃないんだぞ。遺跡調査とか危ないところに連れて行けるわけがなだろ」
「誰がガサツよ。それにノエルはドレイクなんでしょ。この村までだって1人できたんだから充分な戦力になるでしょ。私やジークより強い可能性の方が高いわよ」
フィーナはジークに早く準備を終わらせるように言うとジークはノエルを連れて行くわけにはいかないと言うが、フィーナはノエルは充分な戦力になると言い、
「……確かに、ノエルを見ているとそんな気がまったくしないがノエルはドレイクだった」
「えぇ。話をするたびに冗談だと思えてくるのが不思議なくらいにね」
ジークはフィーナの言葉でノエルが自分達とは違う事を思い出し、フィーナは話をするたびにノエルがドレイクだと信じられなくなっているようで眉間にしわを寄せ、その話題の中心であるノエルは意味がわからないようで首をかしげているが、
「確かにそうかも知れないけどな。少なからず、冒険者が集まってきているんだ。そんななかでノエルを連れて回るわけにはいかないだろ」
「大丈夫よ。こんな時間に遺跡調査をする人間なんていないから、それより、早くしなさいよ。時間がないんだから」
「だからと言ってもな」
「ジークさん、行きましょう。ジークさんは家族は支え合うものと言ってくれました。わたしのせいでジークさんに迷惑をかけているんです。そんなわたしが今できる事はジークさんをサポートするくらいですから」
「……まったく、今日は何なんだろうな。流されすぎている気がする。まぁ、仕方ないか。早く行って終わらせるぞ」
ジークはそれでもドレイクであるノエルが冒険者に見つかる危険を危惧しており、踏み切れずにいるがノエルが笑顔でジークの助けになりたいと言うとジークはしばらく聞く事のなかった自分を家族だという言葉に乱暴に頭をかいた後、2人とともに遺跡に行く許可を出すと薬草採取など1人で山々を歩きまわる時に持ち歩く1対の魔導銃を腰につけると3人で家を後にして遺跡に向かう。