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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
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第148話

「それで、何のようだ?」


ジークはわざわざ、カインとエルトがこの店まできた事に何か裏があると思ったようで眉間にしわを寄せる。


「いやぁ、流石、ジーク、話が速くて助かるね」


「良いから、答えろ」


「あ、あの。ジークさん、落ち着いてください」


カインはわざとらしく驚いたような表情をするが、しかし、カインの言葉はジークに取っては小バカにされているだけであり、彼の語尾は荒くなる。


「どう言う事?」


「……このイベントに裏があるから、わざわざ、この2人でこの店にきたんだよ」


フィーナは状況にまったく付いて行けてないようであり、首を傾げるとジークは察しの悪い彼女の様子に大きく肩を落とした。


「裏?」


「いやぁ、こんな察しの悪いのが妹だって言うのは恥ずかしくなるね」


「えーと、カインさん、言い過ぎじゃないでしょうか?」


それでも、フィーナは意味がわからないようで、カインは妹の姿にため息を吐き、ノエルは言葉に困っているようで苦笑いを浮かべる。


「とりあえず、フィーナは無視するかな? どうせ、聞いた事の2割でも覚えていれば良いとこだし」


「覚えてて1割だな」


「それってどう言う事よ!!」


「そのまま。バカにされたくないなら、少しは頭を使う事を覚えろ」


カインはフィーナは無視して始めようと言い、ジークは彼の言葉に頷く。フィーナは2人にバカにされた事は理解できたようで声をあげるが、カインは彼女をバッサリと切り捨てる。


「それじゃあ、話を始めようかな? ジーク、ノエル、前に有力な王位継承者は何人いると言った?」


「えーと、エルト様にライオ様。アンリ様とラング様の4人でしたよね?」


「だけど、ラング様はその気はないから、現国王の3人の子供が有力だって事だったよな? ……そんな事を聞くって言う事は、ラング様がエルト王子とライオ王子の殺害計画でも立ててるって言うのか?」


カインは本題に入ろうとジークとノエルの2人に改めて、次期国王の有力者を聞くと、2人は直ぐに答えを返す。しかし、ジークは質問の中にある悪意を感じ取ったようで眉間にしわを寄せた。


「いや、ラング様は本当に人格者だよ。血の繋がりがあっても平気で裏切る人間が多い王族の中で1番の忠臣だと思うよ」


「……フィーナ、これは信じても良いと思うか?」


「あのクズがあれほど、人を誉めるなんて裏があるに違いないわ」


カインはラングを疑う理由はないと言い切るが、ジークとフィーナはカインの事を信じて良いのかわからずにこそこそと話し始める。


「疑わない」


「あぁ。叔父上が父上を裏切る事などあり得ない」


「……ダメだ。エルト王子が言うと何も考えてない気がする」



ラングの人格に付いてエルトからのお墨付きが出るが、ジークはそれで更に不安になってきたようで大きく肩を落とす。


「あ、あの。ジークさん、もう少しお話を聞きませんか?」


「あぁ。そうだな」


ノエルは苦笑いを浮かべて話を詳しく聞いてみようと言い、ジークは1つ深呼吸をする。


「復習をすると第1位がエルト様、第2位がライオ様、第3位がラング様、第4位がアンリ様となってるが、ラング様には継いで欲しくない」


「それはお前が動きやすいからか?」


「何でそうなるかな?」


「……あんたの人格が歪んでるからよ」


カインはラングには王位を継がせるわけにはいかないと言うと、ジークとフィーナはカインが裏で操りやすい人間を国王にしたいのだと思ったようであり、2人はジト目でカインを見る。


「……これは王族の恥を晒すようで恥ずかしいのだが、叔父上が王位を継ぐのは私も構わない。ただ、残念な事に叔父上の人格は子供には引き継がれなかった」


「……なるほど、ラング様の子息は無能だって事だな」


「それも能力がない割に王家の血だって事で威張り散らす自尊心が高いだけのどうしようもない無能者ってきてる」


エルトは真剣な表情でラングの子息に問題があると言い、その言葉でジークは誰が何を企てているか察しが付いたようで乱暴に頭をかいた。


「どう言う事ですか?」


「その無能な人間がエルト王子とライオ王子の殺害計画を立ててるって事だろ。それもそれがわかってて、カイン、お前はこルッケルでこのイベントを企てたな」


ノエルは状況がわからないようで首を傾げるとジークはカインはすべて理解した上でルッケルの復興を利用したと気づき、ため息を吐く。


「いや、せっかく、無能な人間が好機だと思って、特に何も考えずに動いてくれる機会ができたんだ。利用しない手はないだろ。せっかく、ルッケルの復興騒ぎにかこつけて有能な駒を引っ張り出せる機会なんだ。こっちとしても都合が良いしね」


「……あれだ。エルト王子、政権を守るためにもこの性格破綻者を排除した方が良いと思うぞ」


カインは罠を仕掛けさせて貰ったと楽しそうに笑う。そんなカインの表情にジークはエルトにカインと手を切るように言う。


「いや、父上に叔父上がいるように私にはカインが必要だよ」


「……絶対に、エルト様は騙されてるわ。このクズは絶対に裏切る。私が保証するわ」


エルトはカインを有能な右腕だと言い切るが、フィーナはカインだけは信じてはいけないとエルトに言い聞かせるように言う。


「カインはずいぶんとフィーナからの信用がないね」


「いや、俺もこいつは信用してない」


エルトは実妹から疑われるカインを見て、苦笑いを浮かべるがジークもカインは信用してないとはっきりと言い切った。


「そうかい? 他人の印象と言うのは見る人によって違うからね。でも、ジークもフィーナももう少し、カインを信用した方が良いね」


「話を戻しても良いかい?」


エルトはカインがジークやフィーナに見せていない顔を知っているようでくすりと笑う。カインはエルトに何か言われるのは都合が悪いようで話を戻そうする。


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