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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
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第147話

「お祭り騒ぎだな」


「ジーク、何してるのよ。行くわよ」


カインがジオスに現れてから2週間が経ち、ルッケルからの迎えにより、ジーク達3人はルッケルを訪れたのだが、エルトとライオの対決イベントは多くの人を呼び寄せ大変な騒ぎになっている。

ジークはルッケルに溢れている人間の多さに戸惑っているようだが、フィーナは興奮しているようでジークに急ぐように言う。


「あぁ。わかってるよ……なぁ。ノエルはどこに行った?」


「へ? さっきまで、ここにいたわよ……あれ?」


ジークは頷くと歩き出そうとするが、ノエルがいない事に気が付く。フィーナは何を言っているんだと言いたげにため息を吐くが、先ほどまで隣に立っていたノエルの姿はない。


「ノエル、どこに行った?」


「ジ、ジークさん、助けてください!?」


「……流されてるわね」


「そうだな」


ジークは声をあげてノエルを呼ぶと、ノエルの泣き出しそうな声が聞こえ、ジークとフィーナの2人は声のした方に視線を向けた。ノエルは完全に人混みに押し流されており、彼女の鈍さにフィーナは眉間にしわを寄せ、ジークは力なく笑う。


「あ、ありがとうございます」


「ノエル、気をつけなさいよ」


「いらっしゃい。何だい? ずいぶんと疲れてるね」


ジークとフィーナはノエルを確保した後に、宿泊先であるジルの店を訪れると、ジルは3人の顔を見て苦笑いを浮かべる。


「ちょっと、ノエルが人混みに飲まれて流された」


「それは大変だったね。はい。お水」


「あ、ありがとうございます」


ジークは余程疲れたのか、ホールの椅子に腰をかけ、ジルはジークの様子にどれだけ大変だったかわかったようで苦笑いを浮かべたまま、3人の前に冷水を出す。


「ジルさん、アズさんから聞いてると思うけど」


「宿だね。用意してあるよ。だけど、あんた達、何に巻き込まれてるんだい?」


「いや、話せば長くなりそうなんだけど」


ジルはジーク達がメインイベントの協力者だと知らないようで首を傾げるとジークは困ったように笑う。


「カインもずいぶんとおかしな事にあんた達を巻き込んだね」


「本当だよ。王都にはもっと有能な人間も多いだろう。冒険者達だってルッケルやジオスに集まる人数の比じゃないんだから、選び放題のはずなのに」


ジルはカインが噛んでいる事にため息を吐くと、ジークは今更ながら自分達が巻き込まれる理由がないとため息を吐いた。


「まぁ、カインと息を合わせれる人間もあまりいなさそうだからね。あの子を生かすためにジークとフィーナなんじゃないかい?」


「それこそないですね。あいつは誰だろうが、関係なく魔法に巻き込むから、関係ないだろう。と言うか、下手したら、あいつの魔法1発でライオ王子を倒して終わりなきがする」


「……ありそうね」


「あ、あの。ジークさん、フィーナさん、それは言い過ぎじゃないでしょうか?」


ジルはカインなりの考えがあると笑うが、ジークとフィーナはカインを信用などしていない。


「と言うか、ジーク、あんた達はエルト様のチームに入るなら、ここじゃなく、アズ様の屋敷の方が良かったんじゃないのかい?」


「いや、アズさんの屋敷は、王子様達や付き添いの人達の宿泊所にもなってるみたいだから、同じチームだとしても一般人は泊まれません」


「それもそうだね」


「それじゃあ、荷物を部屋に置いてきますね。その後は打ち合わせもあるみたいなんで、1度、アズさんの屋敷に顔を出してきます」


ジルの疑問にジークは答えると荷物を部屋に運んで行く。


「行ってきます」


「はいはい。ノエル、今度は人混みに流されないようにね」


「わ、わかってます」


「はい。戻る」


ジークがホールに戻ってくると3人はアズの屋敷に向かうためにジルの店を出て行こうとするが、まるでタイミングを見計らったかのようにカインが店のドアを開け、3人をホールの中に戻す。


「……お前は俺達を監視してるのか?」


「何を言ってるんだい? アズ様の私兵団が見回りでノエルが人混みに流されてるのを見たって言うから、そろそろ、宿に着いている頃だと思っただけだよ。ジークの部屋に行くよ」


ジークはカインの登場に大きく肩を落とすが、カインはジークの首根っこをつかんで彼の部屋に移動すると言って歩き出す。


「……見られてたんですか?」


「普通はあれだけ派手に流されれば知ってる人間から見れば結構な話題になるね」


「エ、エル……」


「ちょっと、静かにしてくれるかい。一応はお忍び出し」


ノエルはカインの言葉に恥ずかしくなったようで顔を赤くした時、カインから少し遅れて質素な服を着たエルトが現れ、予想していなかったエルトの登場に驚きの声をあげるが、エルトはノエルの口を塞ぐ。


「誰?」


「気にしない。それより、カインとジークを追いかけようか?」


フィーナは先日、カインとエルトがジオスに来た時は有無を言わさずに木にぶら下げられた事もあり、エルトと面識がないため首を傾げる。エルトはフィーナの様子に苦笑いを浮かべるとノエルとフィーナをジークの部屋に行くように促す。


「カイン、お前は何がしたいんだ?」


「いやいや、エルト様がルッケルの様子も視察しておきたいって言うからね」


「エルト様? ホントに?」


ジークはエルトまで現れた事にどう反応して良いのか眉間にしわを寄せるが、カインは軽い口調で答えるとフィーナはそこで初めて、目の前にいるのがこの国の第1位王位継承者である事に気が付き、顔を引きつらせた。


「そうだね。これでも王子をやらせて貰っているね」


「……これって、あのクズの悪影響が王子様にも移ってるって考えた方が良いのよね?」


「いや、それに関しては微妙にわからない」


フィーナはカインがエルトに悪影響を与えていると言うが、ジークはエルトが拳で語り合うためだけにジオスにまできた事もあるためか首を横に振る。


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