第14話
「ノエル、折るって言っても簡単に折れるものじゃないよね?」
「そうですね。こんなに硬いとは思いませんでした」
夕飯を終えてしばらくするとジークとノエルはノエルの頭に生えている角に折ろうとするがドレイクの象徴とまで言われている角は当然堅く、折れる事はおろかひびや傷すら付かないため2人は大きなため息を吐くと、
「そりゃそうだよな。実際は人族の冒険者で勇者とか英雄とか言われる人間が正面からぶつかってようやく折れるようなものなんだし、俺じゃ、無理だ」
「ですけど、これがあると不味いんですよね?」
「あぁ、少なくともウチの村の人間以外には見せるわけにはいかないよ。だけど、今は村に多くの冒険者が集まってくるわけだし」
「そ、それなら、その冒険者さん達がいなくなるような状況になれば問題がないんでしょうか?」
「まぁ、そうだろうけどどうするつもり? ……って、それは不味いだろ。それに冒険者の数が減るとウチの儲けがなくなるんだ。生活ができなくなる」
ジークは改めて考えると自分の力量ではできるはずもないがノエルが村の中にいるのは不味いため、困ったようで考えをまとめようと頭を乱暴にかくとノエルは首を傾げながら冒険者が集まらないようにすれば良いと言うとジークはノエルの言いたい事が理解できたようだがそれをするとノエルを雇うのは難しくなると言う。
「ジークさん、お願いします。わたしにはここに残っているしか手がかりがないんです」
「だけどさ……」
「だ、ダメでしょうか?」
「……わかったよ。でも、俺はウチの両親と違ってたいした戦いの才能はないから直ぐに奥まで行けるとは限らないけどな」
ノエルにもノエルの目的があるため、この村でジークの両親を待っていたいと涙目でジークの顔を見上げ、ジークはノエルから視線を逸らそうとするがノエルはジークの視線を追いかけるように動き、それを何度か繰り返した後、ジークは他にいい考えも浮かばないため、ノエルの言葉に頷くと、
「あ、ありがとうございます。ジークさん」
「ノ、ノエル!? 落ち着け!? この状況はいろいろと不味い!?」
「……ジーク、ずいぶんと楽しそうね」
ノエルは嬉しさのあまりジークに抱きつきジークはノエルの突然の行動に顔を真っ赤にして放れるように言うがノエルはジークが慌てている理由がわからないようで首を傾げていると後ろから怒りのこもった声が聞こえ、
「フィ、フィーナ、お前、何しにきたんだよ!?」
「何? 決まってるでしょ。あんたから、ノエルを守るためよ。私もここに住むわ」
ジークは壊れた玩具のようにギギギと硬い動きで振り返ると額に青筋を浮かべて背後に真っ黒な怒りのオーラをまとったフィーナが立っており、ノエルにライバル心を燃やしているようでジークの家に一緒に住むと言うが、
「は? 何をわけのわからない事を言っているんだよ? だいたい、お前はこの村に家があるんだぞ。おじさん達は何を考えてるんだよ!!」
「そんな事は良いから、ノエルから放れなさいよ。このスケベ男!!」
「あ、あの。フィーナさんも落ち着いてください」
ジークはフィーナの言いたい事がわからないため、彼女に家に帰るように言うがフィーナはジークの手の中からノエルを引っ張り出すとジークを睨みつけ、ノエルは2人が言い合いを始めた事にどうして良いのかわからないようでおろおろとする。