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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
お家騒動?
138/953

第138話

「な、何も隠してないし、仮に隠していてもお前には関係ない」


「そう? なら、白状するまでしつけよう」


ジークの答えに口元を緩ませるカイン。カインはジークが白状するまでしつけと言う名の折檻を続けようとしているようであり、彼の背後には小さな魔力の球が浮かび上がり始める。


「カイン、そこまでだ」


「……ちっ」


その時、目を覚ましたエルトが痛む頭を押さえたカインを静止し、カインは舌打ちをした後にジークの首を放すと彼の背後に浮かんでいた魔力の球は空に溶けてなくなった。


「ジークさん」


「だ、大丈夫。回復魔法まではいらない」


ノエルはジークに駆け寄り、彼のキズを癒そうと回復魔法を唱えようとするが、ジークは頭を押さえながらノエルを止める。


「ジーク、すまなかったね。カイン、やりすぎだ。あくまで、私は協力を仰ぎに来ただけだ。ジークやノエルにだって都合があるんだ」


「そうですね」


エルトはジークとノエルに頭を下げ、カインはつまらなさそうに頷く。


「ジーク、見事な1撃だったよ。打たれた事がまったくわからなかった」


「そ、そうですか?」


「どうかしたかい?」


「い、いえ、何も」


エルトは改めて、自分から状況を説明したいのか、4人で席に座る。エルトはカインの言った通り、ジークに倒されたと思っているようで彼の武勲を誉めたたえるがジークはどう答えて良いのかわからずに顔を引きつらせる。


「カインから話を聞いていると思う。恥ずかしい話だが、私とライオの関係を修復するために協力して欲しい」


「そ、それは」


「カインが何か脅しをかけるような事を言ったと思うが、その件は気にしないでくれ。私は無理やり、君達に言う事を聞かせるつもりはない」


エルトはあくまでもジーク達に協力を仰ぎたいようで2人に頭を下げる。ジークとノエルは次期国王であるエルトに頭を下げられ、どうして良いのかわからずに顔を見合わせた。


「協力すれば良いんだよ」


「あのなぁ。こっちにも都合があるんだよ」


カインは選択肢は1つしかないとジークに頷くように言うが、ジークは渋い顔で首を横に振る。


「カイン、2人にだって都合もあるし、考える時間だって必要だろ。ジーク、ノエル、すまないが考えてくれるかい?」


「えーと、ジークさん」


「……わかりました。でも、エルト王子に協力できるかはわかりません」


エルトは断る前に考えて欲しいと頭を下げ、ジークは頷くもエルトの望む返事が出るとは限らないと言う。


「それで良い。1週間後にまた来るよ。カイン」


「わかりました。ジーク、ノエル、また来るよ」


エルトはジークの様子に真剣な表情で頷くと話は終わったため、カインに王都に戻ると言い、カインは転移魔法の準備にかかる。

転移魔法が発動して2人は光の球になり、消えてしまう。


「……厄介な事になったな」


「そうですね。でも、わたしが王都に行くわけにはいきませんよね?」


「そうだよな。カインをだませてるって事は魔導機器は順調に動いているわけだけど、アーカスさんのように直ぐにノエルがドレイクだって気が付く人間もいるわけだし、王都だとばれる可能性が高いわけだしな」


ジークとノエルはエルトへの協力自体はしても良いと思っているようだが、ノエルの事があるためジークは乱暴に頭をかく。


「とりあえず、1週間あるわけだし、ゆっくり考えるか? もしかしたら、アーカスさんが何か良策を考えてくれるかも知れないから」


「そうですね。魔導銃を取りに行く時にでも相談してみましょう」


「まぁ、知らんって一言で終わりそうな気もするけどな」


2人は自分達だけでは答えが出せないようでアーカスに話を聞いて貰おうとする。しかし、彼からの答えはあまり期待できないため、2人は顔を見合せて苦笑いを浮かべた。


「一先ず、店を開けるか?」


「そ、そうですね。もしかしたらお店を休みにしないといけなくなるかも知れないわけですし、しっかりと働きましょう」


「そうだな」


ジークとノエルは店に戻り、変え忘れていた店のドアのプレートを営業中に変更する。


「えーと、そう言えば、フィーナさんはどうしたんでしょうね?」


「フィーナ? あぁ、フィーナの事だから、カインが戻ってくるのを察して逃げたか、捕まって、家に縛りつけられてるんじゃないか?」


「し、縛りつけられてるって」


朝から準備中のプレートになっていたせいか、村の中ではジークの店が休みだと話しになっているのか村のお年寄りもくる様子はない。

ノエルは誰も店に現れない事もあり、準備中のプレートであっても構わずに店にくるフィーナが来ない事に首を傾げるがジークはフィーナに関わり合いたくもないようで割とどうでも良さそうに答える。


「昔は村長の家の前の大木に逆さ釣りになってる姿がよく見れたな」


「ちょ、ちょっと待ってください。逆さ釣りって大丈夫なんですか? た、助けに行きましょう」


「まぁ、村長もいるし、大丈夫だろ」


ノエルは驚き、フィーナが逆さ釣りになっている可能性も考えられるため、助けに行こうと言い始めるがジークは気にする必要はないと笑う。


「ジーク、ノエル、あのクズは!!」


「フィーナさん?」


「カインなら、さっき、転移魔法で王都に帰ったぞ。だいたい、何があったか察しは付くが落ち着け」


その時、怒りの形相のフィーナが勢いよくドアを開け、店の中に入ってきてカインを探すが、既にカインは転移魔法で王都に帰っており、ジークはフィーナに落ち着くように言う。


「フィーナさん、お茶を淹れてきますから、座っていてください」


「ええ。悪いわね。ノエル」


ノエルはフィーナの落ち着かせようとお茶を淹れてくると言い、フィーナはジークとノエルに当たるわけにはいかないので大きく深呼吸をして苛立ちを沈めようとする。


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