表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動
133/953

第133話

「と言う事で数日中には鉱山内部で活動しても問題ない濃度まで落ちると思われます」


「そうですか……」


カインはジーク達の到着を待っていたようで全員がそろった後に調査員として使い魔で見てきた事を含めた鉱山の状況をアズに説明する。アズは鉱山の中にポイズンリザードが眠っていた事が信じられないようで言葉を詰まらせた。


「まぁ、ポイズンリザードに関しては他に個体はいないと判断します」


「あんなのが何匹もいられても困るけどな」


「そうね」


ジークとフィーナは何度もポイズンリザードと戦いたくないとため息を吐き、ノエルは苦笑いを浮かべている。


「わかりました。みなさんにも大変な仕事を押し付けてしまい、本当に申し訳ございません」


「あ、あの。頭を上げてください」


アズはジーク達に向かい、深々と頭を下げるとノエルは慌てて頭を上げて欲しいと頼む。


「すいません」


「まぁ、毒ガス騒ぎは片付いたと言う事で良しとしましょうよ」


「そうそう。アズさん、お風呂を借りても良いですか? 汗と泥でぐちゃぐちゃだし」


アズの申し訳なさそうな様子に話はこれまでだと言い、フィーナはアズに風呂を貸して欲しいと頼む。


「は、はい。もちろんです」


「ノエル、行くわよ」


「は、はい」


フィーナはアズの返事を聞いて直ぐにノエルの腕を引っ張って応接室を出て行く。


「それじゃあ、俺も少し休ませて貰うかな?」


「ジーク、待ってください」


「何ですか?」


「依頼料の話です」


アズはしっかりと決めておかないといけないと思ったようで自ら依頼料の話を切り出し、ジークは面倒だなと言いたげに頭をかいた。


「あー、とりあえず、カイン、説明任せる」


「はいはい。だとしても、逃げるなよ」


「わかってるよ」


ジークはカインに丸投げして逃げ出そうとするが、カインの手が彼の首根っこをつかむ。


「ポイズンリザード討伐に関しての報酬は王室から出させていただきますのでアズ様は心配なさらないでください」


「しかし、それでは」


カインは真剣な表情をすると王都からの使者として、ポイズンリザード討伐はルッケルには関係のない事だと言い切るが、アズはジーク達を危険なところに送りこんでしまった事を気に病んでいるようで納得がいかなさそうな表情をしている。


「あー、アズさん、そこまで気にしないでください。俺達はアーカスさんの実験に付き合っただけですし、それに俺的には1時的に大金を貰うより、定期的な契約の方がありがたいんで、そのせいでルッケルの財政が破綻される方がきつい」


「……小娘、現状で言えば、私達は現金など望んでいない。それに何の問題がある?」


「だとしても」


「それに元々と、契約外の事をしてきたのは俺達だし、アズさんが気に病む事じゃないです」


ジークとアーカスはアズにもう1度、断りを入れるとジークは苦笑いを浮かべた。


「ジークの言う通り、ルッケルの問題は解決したわけではありません。それに王室から報酬が出るので彼らに2重に報酬を出す必要はありません」


「……わかりました。ジーク、アーカスさん、申し訳ありません。お言葉に甘えさせていただきます」


アズはジーク達の説得に応じ、深々と頭を下げるとジークはほっとしたようで胸をなで下ろす。


「それじゃあ、これで終わりだな……あ、そうだ。アズさん、すいませんけど、1つ、報酬として、明日、馬車でジオスまで送ってください。正直、歩いて帰りたくない」


「もちろんです。それくらいはさせてください」


ジークはジオスまで歩いて帰るのは面倒だと思ったようで、アズに馬車を出して欲しいと頼むとアズは快く頷いた。


「……そうか。小僧は明日、馬車で帰るんだな。それなら、私は先に帰るぞ」


「へ? ア、アーカスさん!?」


「アーカスさんは相変わらずの世捨て人だね」


アーカスはルッケルに長居する気はないようで、1人で魔法で帰ってしまい、ジークは突然の展開に唖然として、今までアーカスの立っていた場所を見つめており、カインはアーカスらしい行動に苦笑いを浮かべる。


「ジーク、俺も帰るよ。報告書をまとめないといけないからね。アズ様、数日中に調査団を連れて戻ってきますので、その際にはよろしくお願いします」


「は、はい。わかりました」


カインも王都に戻り、やるべき事があると言うとアズに頭を下げて、魔法の詠唱に移る。


「忙しないな」


「まぁ、片田舎の薬屋と違って忙しいんだよ。報酬の件で近いうちにジオスに戻るから、その時は逃げるなよ」


「あー、わかってるよ」


カインは集まった魔力を解放する前にジークに向かい、逃げないようにと釘を刺すとジークは面倒くさそうに頭をかく。


「それじゃあ、村の方は任せるから」


「はいはい」


ジークの投げやりな返事にカインは仕方ないと言いたげに苦笑いを浮かべると魔法を発動させて王都に戻って行った。


「それじゃあ、俺も少し休ませて貰いますよ」


「はい。いろいろとご迷惑をかけてすいませんでした」


「何度も頭を下げないでください。俺達が協力したのは成り行きですし、それにこっちにもいろいろと考えさせられる事もありましたし」


ジークは風呂を借りたいようだがノエルとフィーナが入っている場所に行くわけにもいかないため、応接室を出て借りている部屋に向かって歩き出す。


「……ジーク=フィリス。小さな村に留めて置くには勿体ない才能ですね。でも、本人はこれを言うと嫌がりますね」


アズはジークの背中を見送ると彼の持つ才能はもっと他で活かせるのではないとつぶやく。しかし、ジークの意思を優先したいようで何も言えないと判断したようでため息を吐く。


「さてと、私は私の仕事をしなければいけませんね」


カインの報告により、ポイズンリザード討伐を果たしたジーク達の名前は王室に伝えられず、ルッケルの毒ガス騒ぎは数日後に彼が連れてきた調査員の到着により、取りあえずの終結を向かえた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ