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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動
130/953

第130話

「な、何か方法はありませんか?」


「正直、困りましたね」


「そうだな。下手に傷を付けるわけにもいかなくなったな」


ポイズンリザードの血液が猛毒なのは予想外のようでノエルはどうしたら良いのかわからずにおろおろとしているが、カインとアーカスのの口調は妙に落ち着いている。


「……ねえ。本当に困ってる?」


「困ってるぞ。手段など選ばなければ倒す方法などいくらでもあるけど、その場合はジークがポイズンリザードの血液を被って死ぬかも知れないだけだからな」


「そ、それはダメです。どうにかしてください」


カインはジークの生死を問わなければやり方などいくらでもあると告げ、ノエルは顔を青くし、安全な方法を探して欲しいと言う。


「うーん。正直、ジークの魔導銃の腕を考えれば魔導銃の出力を最大にすれば1撃で仕留められるとも思うんだけどね。毒ガスや毒の血液、もしかしたら毒液を飛ばしてくる可能性もあるからね。風の精霊の力を借りて、ジークを守れるほどの魔法を使えれば良いんだけど」


「アーカスさん」


「……無理だな。私の魔法はそれほどの威力はない。あくまでも風邪を起こして毒ガスを吸い込まないようにしているだけだ。毒ガスでも近距離での直撃の場合は危ないだろうな」


カインの言葉にノエルはアーカスに毒ガスを防いでいる魔法をジークに再度、かけて欲しいと頼むが、アーカスは自分の魔法ではカインが求めているほどの効果は望めないと首を振った。


「それじゃあ、どうするのよ? 正直、ジリ貧よ」


「俺が居れれば、それもできたかも知れないんだけどね。なんせ、同行を断られちゃったから」


「……それはあんたのせいでしょ」


カインは自分ならできたと言うが、この場所にはいないため、どうしようもなく、フィーナはカインの日頃の行いのせいだと眉間にしわを寄せる。


「と言う事で、新しい方法を探さないといけないわけだけど、ノエルは支援魔法のみ?」


「は、はい。攻撃魔法は苦手です」


「苦手って事は使えるって判断させて貰うよ。それにさっきのアーカスさんとの話は聞いてたしね」


ノエルは神聖魔法は使えない事にするようにとジークに口止めをされているため、支援魔法しか使えないと答えるが、カインは底意地が悪く、ノエルが支援魔法の失敗で強力な攻撃魔法を使った事は聞いている。


「……で、でも、あれは制御が効きませんし、何より、支援魔法の失敗で発動してしまったんですから」


「気流を起こして、毒ガスなどから対象を守る支援魔法と突風を起こす魔法の魔法式の違いは微々たるものだって言うのはわかるかい?」


ノエルは昨日の魔法の失敗があるため、ノエルはどうして良いのかわからないようだが、カインは似ている2つの魔法の簡単な説明をすると使い魔の前に2つの魔法式が浮かび上がる。


「……あんた、本当は魔法を使えるんじゃないの?」


「いやいや、俺は魔法の術式とかの分析とかは得意だけどね。それに見合った魔力はないから、特に今は使い魔でしかないからね。ノエル、2つの魔法式を見てくれるかい」


フィーナは魔法式のを目にして眉間にしわを寄せるが、カインは今の状態では何もできないと答えた後に、ノエルに攻撃魔法を使わせるために魔法式を覗くように言う。


「は、はい」


「見て貰うとわかるように、こことここが違うわけだ」


「は、はい」


「……緊張感がないわ」


カインの使い魔は魔法式の相違点に印を付けながらノエルに説明を始め出し、フィーナはジークが命がけの戦闘を行っているすぐそばで考えられないくらいの緩い魔法の授業にため息を吐く。


「何か、大変なのは俺だけか?」


ジークはポイズンリザードの尻尾が届かない場所からフィーナが傷を付けた横腹を狙って魔導銃を放つ。


「……そろそろ、食事も終了か? 腹一杯になって、仮眠でもしてくれたら良いのに」


ジークは巨大ミミズの大半がポイズンリザードの腹に収まった様子に次の獲物は自分かも知れないため、大きく肩を落とす。


「問題は血液なんだよな? こっちを狙って大口を開ければ、口の中に最大出力で撃ち抜けば良いわけだけど」


ジークはポイズンリザードを倒す方法は決まっているようだが、その後に考えられる事に躊躇しているようであり、眉間にしわを寄せた。


「ジーク、ちょっと、下がれ」


「え? 何?」


「良いから、良いから」


その時、ジークの頭の上にカインの使い魔が乗っかり、ジークはいきなりの事で何があったかわからないようだが、カインからの口調は緩い。


「何なんだよ?」


「別に死にたいなら、そこに残ってても良いけど」


「死にた……はい。素直に下がります」


ジークは状況がわからないようでカインに疑問をぶつけようとした時、突風が吹く。その突風はジークの横をすり抜けるとポイズンリザードに襲い掛かり、ジークは小さくなり、素直に後ろに下がった。


「……相変わらずの魔力の高さね」


「あ、ありがとうございます」


フィーナはノエルの魔法がポイズンリザードに傷を付けて行く様子に眉間にしわを寄せる。ノエルは自分の魔法が上手く発動した事に驚いているようで戸惑っている。


「うーん。ジークが付けた。その魔力の結晶体が上手く、ノエルの魔法を補助してくれているみたいだね。ジーク、売れない薬屋を止めて、王都で魔道具の製作を学んでみたらどうだ?」


「……俺は薬屋で良いんだよ」


ノエルの魔法の成功には昨晩、ジークが調整した杖の効果が大きいようであり、カインは本気か冗談かわからない口調でジークを王都に誘う。


「ジーク、ノエルの魔法の発動状況と制御の出来を見て、仕掛けるぞ。方法はわかるな」


「……まぁ、わかるけど、それ、失敗したら、俺、死ぬよな?」


「ポイズンリザードの血液を被って死ぬより、可愛いノエルに止めを刺された方が男として本望だろ」


ジークとカインのポイズンリザードを倒す方法は合致しており、ノエルの魔法で血液を防ごうとしているが、その方法はジークに取ってはかなり危険なものである。


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