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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動
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第128話

「……逃げるか?」


「それもそうね。このサイズなら、ここから出るのも一苦労だろうし」


目の前で巨大ミミズが食べられて行く様子にジークとフィーナはすでに戦意が萎えて来ているのか、退却しようと言い始める。


「バカな事を言ってるとぶっ飛ばすぞ。これはお前達がやった結果なんだ。責任くらいは取れ」


「……だけど、討伐隊が組まれるような奴なんだろ。この人数で倒せるとは思えない」


「そうよね。いくらなんでも、攻撃できるのが私とジークの2人ってのはないわ」


ジーク達には魔導機器を使った責任があると言うカイン。ジークとフィーナは自分達に責任があるのは理解しているが戦力差はどうしようもないと後ろ向きである。


「それにポイズンリザードだぞ。下位とは言え、ドラゴン種に分類されるんだ。俺やフィーナの攻撃でキズを付けられるかどうか」


「ジークさん、そんなものとドラゴンを一緒にしないでください!!」


ジークの諦めにも近いため息に、後方に控えていたノエルからは怒りの声が上がった。


「ノエル?」


「トカゲとドラゴンを一緒にするなんて、酷いです。あんな誇りも何もない。本能だけに生きる獣と誇り高いドラゴンを同じ種族だなんて言わないでください」


「……何か、おかしな所に火が点いたな」


ドラゴンの血を引くと言われているドレイクのノエルにはポイズンリザードをドラゴンが同列にされるのが許せないようであり、ジークは反応に困ったようで首筋を指でかく。


「ノエルは妙にドラゴンの肩を持つね」


「当然です。ドレ……」


「……余計な事を言うな」


ドラゴン贔屓のノエルの様子にカインは頭をよぎった疑問を口にすると、ノエルは自分がドレイクだと口を滑らせそうになるがアーカスが手を伸ばし、彼女の口を塞ぐ。


「小僧、小娘、遊んでないで仕掛けろ。退却は最終手段だ。絶対に倒せなければ、転移魔法で私の家まで引く。ここの状況は性格破綻者が小娘に連絡するだろうしな」


「まぁ、それが妥当ですね。元々、討伐隊って言っても、この狭い空間じゃ、人数をかけられないんだ」


「……わかりましたよ。でも、戦うのは俺とフィーナなんですよね。討伐隊の方が攻撃力も段違いだし、絶対に良いのに」


退却は最終手段だと言うアーカス。カインは討伐隊でも少人数でしか戦えない事を告げるが、ジークは文句を言いながらも魔導銃を構える。


「まぁ、ジークは王都の騎士にも才能に関しては負けてないから、大丈夫だろ。問題があるとしたら、武器による攻撃力かな?」


「……私が作ったものに文句があるのか?」


「そう言うわけじゃないですよ。ただの武器との相性」


カインはジークの才能を認めているが、彼が使っている魔導銃はジークの才能を行きし切れていないと思っているようであり、ため息を吐く。


「……それじゃあ、行くか?」


「そうね。って、言いたいところだけど、実際、あれがこっちに向かってこないと無理じゃない?」


「確かに、砕けたとは言え、あの氷塊の中を突っ切るのは無理だろうな」


ジークはフィーナと歩を合せて、ポイズンリザードと戦おうとするが足場の状況が悪く、攻撃に踏み出すには躊躇せざる負えない。


「まったく、仕方ないね……」


「カインさん、何をするつもりですか?」


「ん? ちょっと、手助けを」


カインは攻撃に出る事も出来ない2人の様子に痺れを切らしたのか、使い魔を氷塊の前まで飛ばす。


「……フィーナ、あれは何をするつもりだ?」


「さあ? とりあえず、あまり、良い事ではなさそうだけど、って、そんな事ができるの!?」


ジークとフィーナはカインがおかしな事をすると思ったようで顔を引きつらせた時、カインの使い魔である小鳥はどう言う理屈かわからないが巨大な炎を吐きだし、氷塊を融かして行く。


「これで、問題なしだな」


「……と言うか、あれが居れば、俺達、必要ないんじゃないのか?」


「……性格に難があっても、才能だけは確かよね」


大方の氷塊を融かしつくしたカインの使い魔を見て、ジークとフィーナはカインの魔法の威力に納得がいかないようで眉間にしわを寄せた。


「そんな事はない。と言うか、ジークはあの毒ガスが可燃性だって知ってるだろ。ポイズンリザードの毒ガスに火を点けて、火力を上げただけ。後はジークとフィーナしだい」


「何か、騙されてる気がするんだよな」


カインの使い魔はジークの隣に戻ってくると簡単に状況を説明するが、ジークは1度頭を押さえた後にポイズンリザードに向かって駆け出す。


「フィーナは行かなくて良いのか?」


「行くわよ。と言うか、あれに弱点とかないの? このまま、無意味な攻撃とかしたくないわよ」


「攻撃する場所を知りたいなんて、そんな頭を使った事を聞くなんて、熱でもあるのか?」


「……その反応がムカつくわ」


フィーナはカインにポイズンリザードの弱点を聞くが、カインはフィーナの反応に心底驚いているようで、心配そうに聞き返す。


「まぁ、変温動物だからね。体温を下げれば、行動は遅くなる。毒ガスは可燃性だから、火の精霊の力を借りて、攻撃を火の属性にするのは有効かも知れないけど、それは爆発の可能性もあるからおススメはできないね。後は風の精霊の支援を借りてるとは言え、毒ガスのブレスの直撃は危ないから、なるべく正面からの攻撃は避ける。後は尻尾の攻撃も強力だから気を付けるように、まぁ、ジークならまだしもフィーナに言っても無駄だね」


「……何か、納得がいかないわ」


カインはフィーナにポイズンリザードとの戦闘方法を説明するが、説明の途中でフィーナには無駄だとため息を吐いた。


「小娘、いつまで小僧に任せているつもりだ? 遊んでいると食事が終わって攻撃態勢に入るぞ」


「……と言うか、全然、ジークの攻撃が効いてないわね」


アーカスはフィーナにいつまでも遊んでいるなと言う。フィーナはジークとポイズンリザードに視線を移すが、ポイズンリザードはジークの攻撃を気にする事なく、食事を続けている。


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