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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動
125/953

第125話

「まったく、アーカスさんは相変わらずだね」


「……あんたのクズっぷりもね!?」


「フィーナ、女の子なんだから、もう少し言葉づかいには気を付けないとね」


カインはアーカスの様子にため息を吐く。フィーナはカインに聞こえないように彼を非難するがしっかりとカインの耳には届いており、使い魔の体当たりを喰らい、吹き飛んだ。


「フィーナさん!? カ、カインさん、やり過ぎじゃないですか?」


「きちんと手加減はしてるさ。それより、追いかけなくても良いのかい?」


ノエルはフィーナに駆け寄り、彼女の体を支えるとカインに行動が行きすぎていると言うが、カインは気にする事はなく、アーカスの後を追いかけるように使い魔を飛ばす。


「……行くか」


「そ、そうね」


ジークは結局、カインの手のひらだと言う事に大きく肩を落とすもここまでため、ルッケルに引き返す事もできず、アーカスの後を追いかけようと言う。フィーナはノエルに支えられながら立ち上がる。その表情は怒りに満ちており、ノエルはどうしたら良いのかわからずにおろおろとしている。


「ジーク、フィーナ、遊んでいるともっときつい1撃をお見舞いするよ」


「ま、待ってください!?」


ジークとフィーナをあざ笑うかのように声が聞こえ、2人は慌てて歩き出すとノエルは出遅れてしまい。


「……ノエル、落ち着く」


「は、はい。すいません」


2人に追いつこうと急いだせいか、バランスを崩して前のめりに倒れ込みそうになり、ジークに体を受け止められる。


「と言うか、急いだって結局は、あの縦穴のところで立ち止まるでしょ。底の安全の確保はジークの役目だし」


「いや、今回に関してはあれの使い魔がいるからそうでもないな。様子見に下して、何か居れば戻ってきたら、待っていれば良いんだからな」


フィーナは経路の関係で直ぐに追いつく事ができると言うが、ジークはカインがいる事もあり、アーカスは先に進んでしまう事を危ぶんでいる。


「そ、それじゃあ、急ぎましょう」


「急ぐのは良いけど、転ばないでね。ノエル」


「は、はい。気を付けます」


ノエルは急いでアーカスを追いかけようと言うが、立ち止まってしまった原因はノエルにあるため、フィーナは苦笑いを浮かべる。その言葉にノエルは申し訳なさそうに小さくなった。


「ノエルもあまり気にするな。フィーナ、行くぞ」


「はいはい」


ジークはノエルに気にするなと声をかけると改めて、3人はアーカスとカインの後を追いかけて坑道の中を進む。


「ノエル、行くぞ」


「は、はい。お願いします」


巨大ミミズが作った縦穴の前に到着するとジークはノエルを下に降ろす必要があるため、彼女に声をかけるとノエルは大きく頷くとジークの背中に抱きつく。


「とりあえず、先に降りるから」


「……早く行け」


ジークはノエルがしっかりと自分の体をつかんでいる事を確認すると先に降りる事を告げる。その言葉にアーカスからの反応は冷たく、ジークは苦笑いを浮かべるとロープをつかみ、穴を降りて行く。


「うん。これは圧倒的大差を付けられて負けてるな」


「な、何よ」


カインは昨日から見ているジークとノエルの様子に、フィーナがすでにノエルに追い抜かれただけではなく圧倒的大差を付けられていると思ったようでフィーナの心情など気にする事なく言う。フィーナはその言葉に不機嫌そうな表情をするがカインからもアーカスからも優しい言葉がかけられる事はない。


「まぁ、あれだけ、自分勝手にジークに迷惑をかけて居れば仕方ないか? どうして、こんなガサツに成長したかな? 兄として残念でならない。しっかりとしつけをしたはずだったのに」


「……その分、小僧に矛先が向かったんだろう」


カインはフィーナが自分勝手に成長した理由がわからないとため息を吐く。アーカスはその言葉に抑えつけられたものがジークに向かって行ったとつぶやいた。


「……次は私だな。先に行くぞ」


「ちょ、ちょっと待って。私はこんなクズと2人でいたくない」


アーカスはジークとノエルが底に着いた事の合図を感じ取るためにロープをつかんでおり、ロープに合図があったようで次いでそこに降りようとするがフィーナはカインと2人っきりになるのは避けたいようで声を上げた。


「それなら、俺は先に降りるよ。ジークとノエルの様子も気になるしね」


「なら、問題はないな」


カインはフィーナを挑発するようにジークとノエルの仲の良さを見てくると言うと彼の使い魔の小鳥は一気に縦穴を下って行き、アーカスはロープを伝って底に降りて行く。

1人残されたフィーナは置いて行かれた事にはそれはそれで文句があるのかぶつぶつと言いながらもアーカスからの合図を感知するためにロープを握った。


「昨日はこの辺で、アーカスさんに支援魔法をかけ直して貰ったんだよな」


「そうですね。ミミズさんを倒した後ですね……カインさん?」


ジークとノエルは人数が揃う前に先に進むわけにはいかないため、周囲を警戒しながら待っているとカインの使い魔が底に着き、ノエルの頭の上に止まる。


「……」


「何だい? ノエルと2人の時間を邪魔されて面白くないのかい?」


「……どうして、そんな反応になるんだよ」


ジークはカインの使い魔が現れた事に心底いやそうな表情をするとカインはジークをからかう。ジークはジオスのお年寄り達が自分とノエルを煽る事もあるため、カインにもその気があると思ったようで大きく肩を落とした。


「まぁ、少なくともフィーナよりはジークの幸せを考えれば良いだろうしな」


「……誰のせいで、フィーナがあんな性格になったんだよ?」


「俺がいくら厳しくしつけても、親父や村の人間が甘やかすからだろ」


ジークはフィーナの自分勝手な所はカインに似たせいだと思っており、皮肉を込めて言うがカインは自分のせいではないと言い切った。


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