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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動
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第122話

「アズさん、悪いんですけど、俺、ジルさんの所で夕飯を食べてきます」


「ジーク、私も行くわ」


4人が夕飯の用意された部屋に移動すると領主であるアズと1人の青年が待っており、青年の姿を見た瞬間にジークとフィーナは部屋から逃げ出そうとする。


「……逃げるな」


「まったく、相変わらず、ジークとフィーナは失礼だね」


アーカスは逃げ出そうとする2人の首根っこをつかみ、2人の様子に青年はくすくすと笑う。


「あ、あの。ジークさん、フィーナさん、あの人が会いたくない人ですか?」


「……ノエル、良いか。あんな人は俺には関係ないし、知らない人だ。ノエル、これから、2人でジルさんのところで夕飯にしよう」


「そ、それって、あの、デ、デートですか?」


ノエルはジークとフィーナの様子から、青年が2人の苦手な人間だと理解したようで確認を取ろうとする。ジークは青年とは無関係だと主張するとノエルに部屋を出て行こうと声をかけ、ノエルはジークからの誘いをデートだと思ったようで顔を赤くした。


「あ……えーと」


「ジークも女の子を口説くような年に成長したか、弟の成長を見られて兄として嬉しいな」


ジークはノエルの反応にこの場から逃げ出そうとしたはずの口実がおかしな方向に進みだした事に気が付き、気まずそうに彼女から視線を逸らす。そんな、ジークの様子に青年は楽しそうに笑っているが、その瞳の奥は何か企んでいるのか怪しい光が宿っている。


「兄? 弟? ジークさんって1人っ子だったんじゃ?」


「ノエル、勘違いするな。俺『は』何度も言うけど、無関係だ」


「ジークさんは?」


ノエルは青年の言葉にジークと兄弟の関係だと思ったようで、不思議そうに首を傾げるがジークはもう1度、自分とは無関係と主張するとノエルの視線はフィーナに移動し、フィーナは彼女から視線を逸らした。


「はじめまして、『カイン=クローク』です。現在は王都の魔術学院で研究職に付いています。フィーナの実兄です」


「は、はじめまして。ノエリクル=ダークリードです。フィーナさん、お兄さんが居たんですか?」


「ノエル、良い。私に兄はいない。そんなものは最初から存在しない。わかった?」


青年は席を立ち、ノエルの前に移動すると浅く頭を下げて、『カイン=クローク』と言う名前とフィーナとの関係を語る。ノエルは始めて聞かされたフィーナに兄がいる事に驚きの声をあげた。しかし、フィーナはノエルの両肩に手を置いて無関係だと言い切る。


「で、でも、カインさんは?」


「……小娘、そこの性格破綻者と小娘は紛れもなく、実の兄妹だ」


「性格破綻者って、アーカスさん、酷いですね」


アーカスはフィーナとカインの関係を事実だと言うと席に座り、カインはアーカスの言葉に苦笑いを浮かべた。


「みなさん、一先ず、席に座ってください。冷めるのはもったいないですから」


「そうですね。ジーク、フィーナ、席に着きなさい」


アズは、状況がつかめないようで首を傾げるも夕飯の席に座るように言い、カインはジークとフィーナの行動を促し、2人はしぶしぶ席に座り食事を始めるが食事はカインがいるせいなのかどこか緊張感が漂っている。

食事を終えるとノエルはジークが話していた杖の改造に興味があるようで、杖を持ってジークの部屋を訪れる。


「……何か、夕飯、凄く疲れました。あの。ジークさん、カインさんって、どんな方なんですか?」


「……ノエル、あれに関わるな」


ノエルは食事の時間にカインと話す機会もなかったため、ジークにカインの事を聞くがジークは表情をしかめた。


「あれって、そんな言い方ないんじゃないでしょうか?」


「言うだけの事をされたんだよ。あれが王都の魔術学院に行くと決まってどれだけ、嬉しかったか」


ジークはカインがジオスにいた時の事を思い出しているようで、彼の表情は優れない。


「そ、そうなんですか?」


「あぁ」


「でも、そんなに悪い人には見えなかったんですけど? さっきも、久しぶりの再会でから兄妹水入らずでフィーナさんと話をしたいって言ってましたし」


ノエルはカインの瞳の中に見え隠れしている怪しい光には気が付いていなかったようで首を傾げた。


「フィーナ、死んだな」


「ど、どうして、そんな反応ですか!?」


ジークはフィーナがカインにされるであろう事が頭に浮かんだようで眉間にしわを寄せる。しかし、ノエルはジークがそこまで言う理由がわからないようで驚きの声を上げた。


「ノエル、考えても見ろ。あのアーカスさんが性格破綻者と言うような人間だぞ」


「えーと?」


「……小僧、それは私もバカにしていると言う事か?」


「アーカスさん!? ドアにカギをかけてましたよね!? どうして、中に入ってきたんですか?」


ジークの言葉にアーカスは表情を変える事なく返事をするが、ノエルが部屋を訪れた時にカインを部屋にいれないためにジークはカギをかけていたようで驚きの声を上げる。


「……私が開けました」


「アズさん?」


アーカスの背後から申し訳なさそうな表情をしたアズが顔を出し、領主であるアズがジークの部屋を訪れる理由に心当たりがないため、首を傾げた。


「ジーク達にお願いしたい事があって、来たんですが」


「そうですか。イヤです」


アズは何か頼みたい事があるようだが、ジークは直ぐに何か気が付いたようで笑顔で断る。


「ジークさん!? 何を言ってるんですか!? 話くらい聞きましょうよ」


「いや、間違いなくあれの話だから、明日の魔導機器の状況の確認にはあれは連れて行きません。あれが調査する時は俺は関わり合いません。これは何があっても譲りません」


ジークはカインと一緒には仕事はできないときっぱりと言う。


「……ここまでの拒絶って、カインさんは何をしたんでしょうか?」


「そうですね」


ノエルとアズはジークの様子に彼とカインの間にある溝にカインと言う人物が理解できないようで眉間にしわを寄せた。


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