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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動
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第120話

「こんなもんかな? ノエル、フィーナ、毒ガスが漏れてるところって、他にないか?」


「は、はい。大丈夫だと思います。精霊さん達も協力してくれましたし、大丈夫だって言ってます」


氷塊の補強が終わったようで、忘れた個所がないかとノエルとフィーナに確認する。ノエルはアーカスの指示通り精霊達に協力を仰いだようで自分では見えない個所も確認し、返事をした。


「アーカスさん、そっちは上手く、毒ガスを集められているんですか?」


「そうだな……問題なく、集める事はできているようだが、時間がどれだけかかるかはわからんな」


ジークはアーカスに進展具合を聞くが、上手く結晶化できるかの結果は直ぐには出ない。


「確か、実験した時も結構時間がかかりましたよね? ……この氷塊で完全に封鎖した方が良いんじゃないですか?」


「確かにそれもそうよね」


ジークは氷塊が毒ガスを封じ込めていた事もあり、実験に使用している穴を塞ぐ事を提案するとフィーナは何も寄る事もないため、欠伸をしながら賛同を示す。


「あ、あの。フィーナさん、ちょっと、お行儀が」


「……気をつけるわ」


ノエルはフィーナの様子に言いにくそうに注意を促すとフィーナは素直に頷いた。


「それでも構わんが、最近は地震が増えて来ているんだ。また、ひびが入って毒ガスが溢れ出る事も考えられるが、それでも良いか?」


「……ダメですよね。だけど、そう考えると毒ガスの発生源をどうにかしないといけないんじゃないですか? 毒ガスを結晶化できても結局は毒ガスはどうしようもないんですよね」


アーカスはそれでは何も解決になっていないと答え、ジークは結局、自分達がやっているのもただの応急処置でしかない事に気が付き、頭をかく。


「それは仕方ない事だ。毒ガス自体は自然が起こす事だからな。そこに生きる者にはどうする事もできん。上手く付き合う方法を探すしかない」


「これが成功すれば、一先ずは落ち着くって事ですか?」


「溜まった毒ガスを生物に影響ない濃度まで下げる。後はこの氷塊を壊して、定期的に鉱山外に逃がしてやれれば問題はないがな」


アーカスは対策はできても完全に防ぐ事は出来ないと言い切ると立ち上がった。


「アーカスさん、どうしたんですか?」


「……1度、戻るぞ。このまま、ここに居ても仕方ない。この空間自体も毒ガスが充満しているわけだしな。魔力が切れて毒ガスを吸いこんでも良いなら残っていろ」


「か、帰るに決まってるでしょ」


アーカスは支援魔法の事も考えているようで、魔導機器を起動したまま、1度、鉱山から出ると言う。


「そうだな……また、今度はノエルを背負って、登るのか?」


「ご、ご迷惑をかけます」


「いや、そこまで気にしなくても良いから」


ジークはノエルを背負って戻らないといけない場所があるため、ため息を吐くもそれなりにメリットもあるためか気まずそうにノエルから視線を逸らした。


「……行くぞ。あのミミズが鉱山の内部にも穴を開けている可能性もあるからな。そのままの道を戻れば帰れると言う保証もないんだ。小娘、何かあった時は怖がっていないで、魔法を使って貰うぞ」


「は、はい。頑張ります」


アーカスは脱出にかかる時間をここまできた時間と同じく考えてはいないようであり、最悪の場合はノエルに再び、魔法に挑戦して貰う事を告げる。ノエルはその言葉に頷くが、彼女の瞳には不安の色が宿っている。


「とりあえず、最悪の展開にならないように先を急ぎますか?」


「そうね。あんなのがいるかもしれない場所で迷子なんてゴメンだわ」


ジークはノエルの不安を拭いたいのか、ポンポンと彼女の頭を優しく叩く。フィーナは巨大ミミズの事を思い出して眉間にしわを寄せた。


「行くぞ」


「……アーカスさん、先に行かないでください。迷子もゴメンだけど、はぐれると大変なんですから、それじゃあ、脱出と行きますか?」


アーカスは1人で歩きだそうとし、ジークはため息を吐いて、彼を引き止めた後にノエル、フィーナ、アーカスの顔へ視線を向けるとノエルとフィーナは頷き、歩きだす。


「アーカスさん、毒ガスを一定の濃度まで落とす事って可能何ですか? 結局、あのままじゃ、どうしようもないんですよね?」


「そうだな。取りあえずは魔導機器であの空間に溜まっているものを除去するのが前提条件だ。それができなくては、結局は廃坑になるしかないな」


「は、廃坑って、鉱山が潰れちゃうんですか? それだと、ここで生活している人達はどうなるんですか?」


アーカスは考えられる最悪は鉱山の閉鎖だと淡々とした口調で言い切る。ノエルはルッケルに来て関わったすべての人達の事を心配しているようで不安そうに目を伏せる。


「廃坑を防ぐ事を考えるのが、王都からくる調査員でしょ。好き好んで勉強なんかしてるんだから、それくらい考えるでしょ」


「……小娘と違って、頭は回るだろうからな」


「ちょ、ちょっと、アーカスさん!?」


フィーナは難しい事はわからないため、数日後にルッケルに到着する研究員が何か考えてくれると言う。アーカスは責任の欠片もないフィーナの発言に心底から呆れているのか肩を落とした。


「しかし、調査員か……あいつもくるんだろうな?」


「……ジーク、あんた、不吉な事を言わないで」


ジークはフィーナとアーカスの様子に苦笑いを浮かべるも、何かあるのか眉間にしわを寄せてつぶやき、フィーナはジークのつぶやきが聞こえたようでジークと同じように眉間にしわを寄せた。


「あ、あの。ジークさん、フィーナさん、この間も言ってましたけど、会いたくない人がいるんですか?」


「……ノエル、良いか? 世の中には絶対に関わってはいけない人間がいるんだ。知らないなら、知らない方が良い」


「そうね。調査員が来る前にジオスに戻れるようにしないといけないわね。ノエルのためにも」


ノエルはジークとフィーナの会話に出てくる人間の事が気になるようで首を傾げるが、ジークとフィーナはノエルに関わらせたくないようで視線を逸らす。


「……口に出すと本当になると言うからな。それにあいつの行動力を考えると他の調査員より、先に到着する可能性もあるな」


「ありそうだ」


「そ、そうね」


アーカスは2人の反応にため息を吐き、その言葉にジークとフィーナは顔を引きつらせた。


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