第12話
「い、いただきます」
「菜食主義者って言っていたから肉と魚は使ってないけど、口に合うかな?」
片付けを終えると日も暮れてきたため、ジークは夕飯を用意するとノエルは今まで見た事のないメニューのためか遠慮がちに箸を伸ばし、そんな彼女の様子にジークは苦笑いを浮かべながら聞き、
「お、美味しいです」
「そう。それなら良かった」
ノエルはジークの料理を食べて目を輝かせるとジークは嬉しそうな表情を見せて自分も食事を始め、
(1人じゃない夕飯か? 久しぶりかな? ばあちゃんが死んだ後はしばらくは村のみんなが気を使ってくれてたけど、もう1人の夕飯も慣れたと思ってたんだけどな)
「あの。ジークさん、どうかしましたか?」
「あ。ごめん。こんなのも久しぶりだと思ってさ。1人じゃない夕食って久しぶりだから」
ジークは目の前でジークの作った料理を美味しそうに頬張るノエルの姿に祖母と一緒に食卓を囲んでいた事を思い出したようで少しだけ表情を緩ませた時、ノエルはジークの視線に気づいてジークの料理の美味しさに休む事なく箸を動かしていた事が恥ずかしいと思ったようで気まずそうな表情をし、ジークはそんな彼女のかわいらしい様子に苦笑いを浮かべて考えていた事を素直に話す。
「そうなんですか? あの、フィーナさんと一緒にお夕飯を食べたりはしないんですか?」
「しないな。だいたい、あいつと2人で飯なんてうるさくてゆっくりもできないしね」
「あまり、そう言う事は言わないで上げてください」
ノエルはフィーナと一緒に夕飯を食べていてもおかしくないと思ったようだがジークはフィーナと夕飯はあり得ないと言うとノエルはくすくすと笑うが、
「ノエル、あのさ。家に住むのはかまわないんだけど、と言うか、君がドレイクだって考えると下手に動き回るよりは家にいた方が良いんだけど、1つ、どうにかしないといけない事があってさ」
「何でしょうか?」
ジークはノエルとこれから彼女が村に住むと考えた時に話をしておかないといけない事があるため、言いにくそうに話し始めるとノエルはジークが言いたい事がまったくわからないようで首を傾げ、
「いや、俺もノエルに会うまではドレイクって種族に偏見を持ってたから言い難いんだけど、たぶん、ノエルがここにいるって知れると問題になるんだ。最悪、この村は潰されちゃうかも知れない」
「ど、どうしてですか!?」
「いや、ノエルも言ってただろ。人間とドレイクには戦争の歴史があるからね。多くの人間はノエルを含めたドレイクに敵意を持つ。うちの村の年寄り連中はノエルがドレイクだって事に気づきもしなかったけど、遺跡の奥にまだ遺跡が続いているって事がわかったから、しばらくは冒険者が溢れてくる。冒険者が相手だとノエルがドレイクだって気づく人間が出てくるから、そうするとこの村にドレイクがいると王都に連絡が入り、もしかしたら討伐隊が編成されてくるかも知れないし、村の人達はノエルに協力した裏切り者だと言って殺されてしまうかも知れないんだ」
「村の人達が殺されてしまう? ……すいません。そんな事、考えもしませんでした」
ジークはノエルが村に居座る事の危険さを彼女に話すとノエルは事の重大性に気づいたようで顔を青くする。