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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動
111/953

第111話

「とりあえず、フィーナに思考能力が欠如してても、流石に突撃はないです」


「そ、そうです。何としてでも止めます。が、頑張ります」


「……ノエルまで」


ノエルはフィーナを鉱山に突撃などさせないと決意したようであり、フィーナはノエルにまで言われた事が相当ショックなのかしょんぼりとうなだれた。


「フィ、フィーナさん!?」


「……優しさって時に残酷ですよね」


「……知らん」


フィーナの様子にノエルは慌てて駆け寄った。そんな彼女の様子にジークは苦笑いを浮かべるがアーカスの反応は冷たい。


「それで、実際はどうするつもりなんですか? ノエルに治癒魔法をかけ続けて貰うわけにはいきませんよね」


「当たり前だ。いくら、小娘の魔力が大きかろうとそんな事が出来るわけないだろ」


ジークは無策で鉱山に突っ込みたくないため、改めて、アーカスに方法を聞くが、帰ってくる言葉は冷ややかである。


「でしょうね。それなら、どうするんですか? 言うまでもなく、無策で毒ガスの中は突っ切れません」


「……行くぞ。時間を無駄にするな」


「了解しました。ノエル、フィーナ、行くぞ」


アーカスは説明が面倒なように見える。ジークはそんな彼の様子に苦笑いを浮かべるも、話を聞くよりは実際に鉱山まで行くと決め、ノエルとフィーナを呼ぶ。


「は、はい」


「わかったわ。い、言っておくけど、私は毒ガスの中を突っ切るような事はしないからね」


フィーナは自分への評価は不当だと言いたいようで声をあげる。


「……行くぞ」


「はいはい」


しかし、フィーナの言葉をジークもアーカスも聞く気はないようで2人は鉱山に向かって歩き出す。


「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ!?」


「あ、あの。待ってください!?」


フィーナは2人に無視されるとは思ってもいなかったようで驚きの声を上げ、ノエルと一緒にジークとアーカスの後を追いかける。


「着きましたね」


「でも、立入禁止よ」


鉱山の近くまで着くが、鉱山は領主であるアズの指示で彼女の私兵団が配置されており、鉱山に人が近付かないように警備している。


「……行くぞ」


「いや、ちょっと待ってください」


アーカスは立入禁止など気にする事なく、鉱山に入って行こうとし、ジークはアーカスの腕をつかみ、彼を引き止める。


「邪魔をするな。小僧」


「邪魔をじゃなくてですね。すいません。領主様からこの場所を任されている代表の方っていませんか?」


ジークはアーカスの行動で騒ぎになるのは避けたいため、私兵団の1人に声をかけた。


「ここから先は立入禁止だ」


「それは知ってますから」


ジーク達がアズの依頼で鉱山を調べようとしている事を知らないのか、追い返そうとする。


「えーと、説明しますね。ノエル、フィーナ、話が終わるまでアーカスさんを捕まえていてくれ」


「は、はい。わかりました」


「わかったわ」


ジークはノエルとフィーナにアーカスを引き渡すと私兵団に事情を説明して行く。


「とりあえず、信じて貰えましたよ。後、アーカスさん、俺達がこのまま鉱山に入っても道に迷う確率も高いですし、鉱山の責任者に話を聞きに行きませんか? 毒ガスが噴き出てる場所の道順とか教えて貰いましょうよ」


「確かに、アーカスさんに作戦があったとしても、何か手違いがあっても困るし、最短距離で行きたいわね」


ジークの話を聞いた私兵団は自分では判断できないと思い、責任者が現れた後、ジーク達への鉱山への立入許可が出る。しかし、ジークは直ぐに立ち入らずに毒ガスが噴き出した時の様子を聞く事を提案した。


「……何だ? それくらい、終わらせてないのか?」


「いや、俺とノエルは昨日まで、ずっと、治療薬を作っていたわけだし」


「はい。お休みする時間もなかったくらいですから」


アーカスはすでに鉱山の中を調べ終えているものと思ったいたようであり、眉間にしわを寄せる。ジークとノエルは彼の反応に苦笑いを浮かべる。


「仕方ない。行くぞ」


「まぁ、行くぞって言っても、作業員に知り合いもいないんですけど、俺とノエルは簡易調合室にひきこもってましたから」


「すいません」


ジークは毒ガスを吸った人間への治療を直接行っていないため、鉱山関係者に知り合いはなく、ノエルはアーカスに頭を下げた。


「私、知ってるわよ。鉱山で働いていた人」


「……フィーナ、お前の冗談は笑えない」


「ちょ、ちょっと、それってどう言う事よ!!」


フィーナは誰かを思い出したようで手をあげるが、ジークはその一言をただの誰事だと切り捨てる。


「フィ、フィーナさん、落ち着いてください。ジークさん、フィーナさんはわたし達とは別の所でお手伝いしていたわけですし」


「あー、そう言えば、そうだったな」


ノエルはジークとフィーナの間に割って入ると、彼女の一言でジークはフィーナも手伝いをしていた事を思い出す。


「どうせ、足を引っ張っていただけだろ」


「アーカスさんもそう思います」


アーカスはフィーナに手伝いなどできると思っていないようであり、ジークはうんうんと頷いた。


「……ノエル、私は、この2人を叩き斬っても問題ないと思うのよね」


「ダ、ダメです!? フィーナさん、落ち着いて下さい」


フィーナはバカにされ続けている事に限界がきたようで腰の剣に手をかける。ノエルはフィーナに落ち着くようにと彼女の腰にしがみつく。


「と言うか、フィーナに頼らなくても、俺とノエルにも鉱山の関係者がいるって事を思い出した」


「わ、わたしにもですか?」


「あぁ、最初にリックさんの診療所に駆け込んできた女の子。あの子のお父さんは関係者だろ?」


「は、はい。そうですね」


ジークは1人該当者を思い出したようであり、歩きだそうとする。


「……鉱山内部の見取り図なら、そこの詰め所に置いてあるぞ」


その時、私兵団の1人がジーク達に任せて良いのか不安そうな表情で言い、その場は微妙な空気が流れた。


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