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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動
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第105話

「……改めて思うけど、フィーナ、お前、本当に冒険者をするつもりがあるのか?」


「な、何よ?」


探索を開始してしばらくすると前回、フィーナが調べた個所から新たに色々な物が見つかったようでジークは大きく肩を落とした。


「アーカスさん、どうですか? 探していたものってありますか?」


「……」


ノエルはジークとフィーナのケンカが始まりそうな様子に苦笑いを浮かべる。しかし、時間も気になるようで作業の続きをしようと考えてアーカスの名前を呼ぶが、アーカスは見慣れないものの数々に彼女の声など聞こえないようで真剣な表情をしている。


「アーカスさん?」


「反応なしって感じだな。まぁ、こう言う物に興味がある人間にとっては宝の山なんだろ」


ノエルはもう1度、アーカスの名前を呼ぶが、彼からの反応はなく首を傾げる。ジークはアーカスの気持ちもわかるようで苦笑いを浮かべて、ノエルの隣に移動してくる。


「そうなんですか?」


「俺も少しだけ、気持ちがわからなくもないし」


「確かにジークが珍しい薬草を見つけた時と似たような反応よね」


フィーナは反撃だと言いたげにジークのおかしな行動を非難するように言う。


「まぁ、否定はしない。それより、ノエル、ちょっと、魔導機器を貸してくれるか?」


「魔導機器? これですか?」


ジークは反論する余地もないためか、気まずそうに頭をかいた後、何かあったのかノエルに彼女の角を隠している魔導機器を貸して欲しいと言い、ノエルは慌てて服の中から青く輝く魔導機器を取り出す。


「あぁ。ちょっと良い物を見つけてさ。ちょうど良いサイズだと思って」


「良い物ですか?」


「そ、ちょっと借りるぞ」


「何をするつもりよ?」


ジークはノエルの手から魔導機器を受け取る。フィーナはジークが何をするつもりかわからないため、彼の手元を覗き込む。


「近い、作業がしづらいだろ」


「悪かったわよ」


ジークはフィーナに距離を取るように言い、フィーナはその言葉に少しムッとした表情を見せるが、ジークの行動が気になるためか距離を開ける。


「……思った通り、良い感じだな?」


「ジークさん、何があったんですか?」


ジークはしばらくの間、魔導機器と格闘しているが、思い通りの形になったようで笑顔を見せた。


「これで持ちやすくなると思ってさ」


「首飾りですか?」


ジークは魔導機器を嵌める首飾りを見つけたようで、青く輝く魔導機器は完成された装飾品のように見える。


「魔導機器が宝石みたいに見えるわね」


「ノエルは魔法使い系だから、装飾系の道具を装備していてもおかしくないだろ。宝石は魔力が宿っているって言われてるから、結構、身に付けているに人達もいるしさ。それにこっちの方が落とす確率が減る気もするしさ」


「あ、ありがとうございます」


ジークは自分でノエルの首に付けるわけにもいかないため、ノエルの手の上に首飾りを置く。ノエルはジークに深々と頭を下げた後に首飾りを身につけた。


「に、似合いますか?」


「あぁ、似合うんじゃないか?」


ノエルは首飾りを身に付けるとジークに感想を聞きたいようで上目づかいでジークの顔を見る、ジークはそんなノエルの様子に照れくさいのか視線を逸らす。


「……ジーク、遊んでないで、続きをするわよ」


「わかってるよ」


「……何を遊んでいるんだ?」


フィーナは2人の様子にあまり面白くないのかジークの腕を引っ張り、探索に移ろうとした時、アーカスが難しい顔をして3人に声をかける。


「べ、別に遊んでいるわけじゃないです」


「そ、そうです」


アーカスの声にジークは声を裏返し、ノエルは慌てて頷く。


「そ、それで、アーカスさん目的のものは見つかったんですか?」


「……見つかりはしたが、使えるかどうかが怪しいからな。実験をしてみようと思ってな」


ジークはアーカスに進展具合を聞く。その言葉にアーカスは難しい表情をして実験をしたいと言う。


「実験ですか?」


「あぁ。小娘、手伝え」


「わ、わたしですか? ジークさんではなく?」


アーカスはノエルに何かさせようと思ったようだが、ノエルは予想もしていなかった指名に驚きの声を上げた。


「あぁ、小僧はこれに関しては役立たずだ」


「役立たずですか? そ、そんな事はないです。ジークさんはわたしなんかより何でもできます」


「ノエル、たぶん、魔法関係なんじゃないか? 俺は魔法使えないし」


ノエルはジークに気を使うと、ジークは言葉足らずなアーカスの言いたい事を理解しているようで苦笑いを浮かべる。


「そうなんですか? それなら、それこそ、わたしなんか必要ないじゃないですか? アーカスさんだって魔法が使えるわけですし」


「……私はこっちを起動しないといけないからな。それくらいは考えろ」


「す、すいません」


ノエルは先ほどの石人形との戦闘で自分より、アーカスの方が魔法に詳しいと思ったようで首を傾げた。察しの悪いノエルの姿にアーカスは苛立ちを隠す事はなく、ノエルは深々と頭を下げる。


「それで、アーカスさん、これって、何なんですか?」


「小僧、出せ」


「何をですか? 主語を言ってください。出せじゃわかりませんよ」


アーカスは作業を覗き込んでいるジークに向かって右手を出す。しかし、ジークはアーカスの言いたい事がわからないようで首を傾げた。


「……さっき、ノエルに魔導機器を出させた時と変わらないじゃない」


「ジークさんは魔導機器って言ってくれましたし、わたし、魔導機器はこれしか持ってませんから、直ぐにわかりましたし」


「そう言う事にしておくわ」


フィーナは2人のやり取りにため息を吐く。ノエルは、首飾りに手を添えてジークをかばう。


「……察しが悪いな」


「冗談です。これですよね?」


「……わかっているなら、早く出せ」


不機嫌そうなアーカスの顔にジークは苦笑いを浮かべると彼の腕に先ほど倒した石人形のコアを1つ乗せた。


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