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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ドレイクの少女との出会い
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第1話

『勇者』


それは誰もが憧れる職業。


『勇者』


それは魔族や魔物と言った人間に恐怖や絶望を与える者達と戦い弱き者を守る者。


しかし、この物語の主人公は勇者を尊敬する事は無い。


なぜなら……


主人公にとって勇者は


ただの『ろくでなし』でしかないから。



山奥の小さな村ジオスからこの物語は始まる。この小さな村のはずれに少年が1人住んでいる。少年の名は『ジーク=フィリス』。まだ、幼さの残る顔立ちをしているが1人で山に入り、薬草などを集め、薬を調合する職業についており、誰かに頼るわけでもなく祖母から受け継いだ村の小さな薬屋を営みながら1人で生きている。


(……眠い。やっぱり、昨日は山に入ってきたから、調合なんて後回しにして早く寝れば良かった)


寝室のカーテンを開けると部屋に入ってきた朝日がまぶしかったようで表情を小さく歪ませて大きな欠伸をすると、


(……終わった事をいつまでも言っていても仕方ないし、お客さんもくるかも知れないから店を開けるか? ……って言ってもくるのは村の年寄り連中しか来ないんだけどな)


身体を大きく1度伸ばした後、いつもとあまり変わらないであろう客層の事を考えて苦笑いを浮かべるとタンスから着替えを引っ張り出して着替え始める。


(……片づけないで寝たからな。このままにしておくわけにもいかないし。片づけるか? ……その前に開店だな。今日も1日頑張りますか?)


着替えを終えて薬を調合している工房に移動すると昨日の調合した後に片づけを行わずに寝てしまったため、荒れている工房を見て昨日の自分の行動に呆れるようなため息を吐いた後に店先のドアにかけてあるプレートを『営業中』に変えて荒れている工房の掃除を開始する。


(……そろそろ、あいつが来るころだな。あいつが来ると仕事が進まないから、できれば無視したいんだけど)


ジークは窓から見える太陽の位置を確認するとあまり来て欲しくない客がいるようでため息を吐いた時、ジークの店のドアを「コンコン」と叩く音がし、


「ジーク、頼んだものできている?」


ジークが返事をする前にドアが開き、腰に剣を下げた青いショートヘアーと髪と同じ色の瞳が印象的な少女が店のなかに入ってくる。


「できているけどな。今日こそ代金を置いて行けよ」


「もう。ジークは細かいよ。幼なじみの美少女がお願いしているんだから、ここはサービスするところでしょ」


「幼なじみだと言うなら、1人で生計を立てている俺の都合を考えろ。毎回、代金を踏み倒されて、俺にどう生活をしろと言うんだ?」


少女はジークの1つ年下の幼なじみでこの村の村長の娘の『フィーナ=クローク』であり、彼女は工房で何か面白そうなものはないかといくつかの薬瓶を手に取り始めるとジークはいつも代金を支払わずに店の商品を持って行く彼女に今日こそは代金を払うように言うが彼女は代金を払う気もないようであり、


(……お前、いい加減にしろよ)


ジークはそんな彼女の様子に眉間にしわを寄せながらも祖母が亡くなった時に彼女の父親には世話になった事もあり、きつくは言えないようためこめかみに青筋を浮かべる。


「ジークこそ、いつまでもこんなお店やってないで、私たちと一緒に行こうよ。魔族や魔獣と言われる魔物の1匹でも倒せば一攫千金、大金持ちも夢じゃないんだよ。村の外には夢も希望も落ちているの。こんな村で遊んでいる理由はないよ」


「……何度も言っているだろ。俺はこの店を続ける。ばあちゃんが守ってきた店が大事だしな」


フィーナは村長の娘のためかわがままに育っているらしくジークの心境など気にする事はなく彼を冒険に誘うがジークは彼女の誘いを拒否し続けており、これ以上は無駄と判断したようで彼女の言葉に反応する事なく店の準備を続けて行く。


「ねえ。どうして、あんたはこんな片田舎から勇者様って呼ばれるまで有名になったおじさんとおばさんの子供なんだよ。その子供のあんたが村から出るわけでもなく、1人でこんな小さなお店で満足しているのよ」


「何度も言わせるな。俺は勇者様なんかに興味はない。周りからいくら騒がれようが、あんなもんただの『住所不定無職』だ」


フィーナは何度誘ってもジークが自分の誘いを拒否するために不満げな声を上げて彼の両親の事を引き合いに出すとジークはフィーナの言葉にでた両親の話に機嫌が悪くなっているようであり、自分の両親をまるで他人を斬り捨てるように言い、


「住所不定無職って、他に言い方があるでしょ? 何で、そんなに否定的なのよ。おじさんもおばさんも立派な人でしょ。多くの困っている人を魔族や魔物の恐怖から救っているのよ。バカにしないでよ」


「うるせぇよ。用が済んだなら代金を置いてさっさと出て行け!! 俺はお前の相手をしているほど暇じゃないんだよ!!」


フィーナは何度もこのやり取りを繰り返しているようで肩を落とすがジークはフィーナの相手をするのも限界のようで代金を置いて出て行けと叫ぶ。


「仕方ないな。今日は諦めるよ。また、誘いにくるからね」


「何度も来たってかわらない。と言うか、まずは金を払って行け!! 村長には世話になってるから黙っていたが、いい加減にしろ!! お前がやっているのは窃盗だ!!」


「じゃあね。ジーク……きゃっ!?」


フィーナは勇者と言われている両親の血を引くジークに才能があると思っているようで自分が有名になるために絶対に必要と思っている事もあるのか諦めないと言うと店の商品を何点かカバンに詰め込み店を出て行こうとするがジークは彼女の行動に生活もかかっているため、代金を支払えと怒鳴るが彼女は本当に代金を支払う気はなく、ジークから逃げるように店を出て行こうとしてドアを開けた時、店の前には来客なのか少女が立っており、店の外に出たフィーナは2人と同年代くらいの赤色の綺麗なロングヘアーの少女とぶつかり、ぶつかったショックで2人は尻もちを付く。


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[良い点] 世界観は面白そう。 [気になる点] まだ初めの部分だから、あまりない。 [一言] 句読点というか、一節がつながりすぎて読みづらい
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