1話 わたしと『わたし』
初投稿なので、生まれたての小鹿のようにプルプルしています。どうか生暖かく見守ってくださいね。
【注意!】
お話の進行と、前世さんの職業と性格上の問題で『排泄関連のお話』がたくさん出てきます。お食事中の方はくれぐれもご注意を。どうしても無理な方は引き返してください。すみません。
この先のことも考えて、一応「R15」ってことにしておきます。
利用規約は一通り読んだんですが、大丈夫でしょうか? ドキドキ。
ジョボボボボ ボボボボボボボ ボボボボボ……
「あ、出ちゃった……」
木の床に 広がっていく 黒い染み
ほれ見たことか 物語る ばあちゃんの顔
目を逸らし 考えてみても 一度出たのは戻らない
諦め 気まずさ 羞恥心
湧き上がる いろんな気持ち ごちゃ混ぜで
肝心の 上手い言い訳 出てこない
そんな状況 だったのに――
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きちんと整頓されているが、狭い部屋。
ベッドに横たわるお婆さん。
掛け布団を捲り、彼女に触れて、確かめる。
「わぁ、背中まで濡れてる!? ごめんなさい!
そのままだと気持ち悪いですよね!?
お着換えお手伝いさせて頂きますね」
と、『わたし』は言った。
「いつも、すまないねぇ……■■■さん」
力ない声で『わたし』に謝るお婆さん。
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突然に 浮かんできたの 頭の中に
それは誰? そこは何処?
勝手に動く 知らない『わたし』
わたしベル 5歳です
かあちゃん ばあちゃん それからわたし
女ばかりの 3人家族
ルドイド村に 住んでます
それは間違いないんです!
日中に 水遊びして 熱出した
暗くて怖い ぼっとん便所
オシメはイヤよ 1人で行くと 意地張って
ばあちゃん困らせ 逃げ回り
そんなこんなで 漏らしたの――
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慣れないヒールで 踵が痛む
精一杯に オシャレした
同期に泣きつき 挑んだ合コン
敢え無く全敗 涙が滲む帰り道
都会の木枯らし 肌身に染みて
独り寂しく ヤケ酒飲んだ
やるせなくて、月に向かって叫んだの。
「今の歌なんか知らんわ! 何がJPOPや!!
演歌は日本の心やろうが! 笑うな!!
お前の頭がボンバイエちゃうんか!?
話も合わんし、これやから同年代は好かんねん!!」
「ちょっと? あなた、往来で叫ばないでくれる?
署で事情聴かせてもらえるかな?」
通報されてた。
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「あーあ、もう。しょうがないねぇ……」
ため息吐いた わたしのばあちゃん
俯くわたしに 背を向けて
拭くための布 探してる
目の前と 頭の中が チグハグで
何が何だか分かんない!
「ねぇ、ばぁちゃん?」
「ん? なんだい?」
ボンバイエって何ですかぁ――
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家の近所にある喫茶店。
昭和レトロで心落ち着く。
『わたし』と彼のお気に入り。
5歳年上の優しい男性。
職業はなんと警察官!
出逢いのきっかけは……ヒ・ミ・ツ♡
付き合いだして、3年になる。
もうそろそろかな? な~んて思ったり♪
そんな彼がさっきから固まっている。
大好きなはずのカレーライスを一口も食べずに。
「ねぇ? どうしたの?
早く食べないと冷めちゃうよ?」
そしてそろそろ『わたし』も食べて?
なーんちゃって♡
バン!
勢い良くテーブルに手をつき、立ち上がる彼。
「もう、別れよう、■■子!!
これ以上、お前と一緒にいるのに耐えられない!!
職業病だとかいう言い訳も聞き飽きた!
カレー食ってる時に【ピーピーピー】
その話だけはするなと何度も言ったよな!?」
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黒歴史
そんな言葉が あったよね?
知らない世界 知らない『わたし』
知らない人と 出会って別れて
知らない時を 過ごしてる
脳内で 再生続く 『わたし』の記憶
これは夢? いや違う?
けれどこんなの認めたくなぁい――
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「あー、そこはちょっと違うかな?
いい? まずご利用者様と目線を合わせる。
上からスプーンを突っ込んじゃいけません。
ごめん、代わって」
よっこらしょと立ち上がり、新人君と入れ替わる。
最近は腰が痛い。
行きつけの整骨院は先日閉業してしまった。
次の院、探さないとなぁ……
おっと、いけない。今は大事な研修中。
気持ちを切り替えなくては。
若手の育成、ちゃんとしないと差し障る。
何にって、そりゃ……
バタン!
唐突に第二会議室の扉が開いた。
息を切らして入ってきたのは、同期の桜■
ケアハウス事業の施設長。更に既婚だ。 ケッ!!
「ねぇ、■木!! もう理事長から聞いてる?
次の人事異動の話。
アンタ、特養だって!!
フロアリーダーだよ~!!
良かったじゃん、やっと出世できそうで」
桜■は余計な一言が多い。
悪気がないのは知っているので、それはいい。
それより何より。
「えっ!? また?? また『わたし』転属なの!?
落ち着いて婚活できないんだけど!!!」
そう返して、睨んでやる。八つ当たりだ。
「大丈夫。アンタ結婚向いてないから」
だから一言多いんだよ!!
ニヤニヤするな!! 自分が高みにいると思って!!
「うん、大丈夫ですよ……
先輩みたいな女性を好きな男もきっと居ます!!」
まだ20代の新人君に慰められた……
ううう、可愛い年下彼女持ちに言われても。
ちっとも嬉しくないやい!!
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ワカリマシタヨ ミトメマショウカ
わたしは今世 『わたし』は前世
これが流行りの転生ね!
じっと手を見る 床を見る
排泄含め 介護する
そんなお仕事 してたのに
何の因果か? 今世では
漏らして前世思い出す
「どうしたんだい? ボーっとして……」
「バアチャンゴメン」
もうダメよ……
記憶の奔流 スゴすぎて 頭がパンクしそ~なんれす
「え!? 何だって??? ベルーーッッ!!」
わたしはイシキてばなすお
バタンキュ~
とりあえずは三話で一旦区切りの予定です。
HPMPが残っていたら頑張るつもりです。




