成層圏のオゾン層を守る為に小学生の私が出来る事
挿絵の画像は「Ainova AI」と「AIイラストくん」で生成致しました。
持続可能社会や環境保護という文脈は、社会科という科目とは非常に相性が良いテーマみたい。
給食を食べた後で眠い目を擦りながら浮けた五時間目の授業では、グローバルな視点で見た地球環境問題へのアプローチが取り扱われていたの。
「御昼休みに外で元気いっぱい遊んだ人も多いでしょう。皆さんが元気に過ごせるのも、太陽の光のお陰ですね。」
担任の先生の語り口は、五時間目という授業時間を上手い具合に活用していたの。
これで社会の授業が一時間目だったら、また言い回しが変わるんだろうな。
そんな感じに頬杖をつきながら黒板を眺めていた、その時だったの。
「そんな母なる恒星の恵みとも言える太陽光には、ちょっとだけ危ない光も混ざっています。牧野さん、それは何ですか?」
「はい!それは紫外線です。」
何しろ臨席のクラスメイトが当てられたんだもの、ウカウカしてはいられないよ。
気を引き締めずにボンヤリしていたら、「集中力が足りません。」って通信簿に書かれちゃうよ。
そんな事になったら、お母さんに小言を言われちゃうね。
「その危ない紫外線から私達を守ってくれているのが、地球の空の高い所である『成層圏』にある『オゾン層』というなんですね。もしもオゾン層が壊れてしまうと、私達は強い日焼けをしやすくなったり目に悪影響が出たり、植物や生物にも悪影響が出てしまいます。」
環境問題を題材にすると、成層圏のオゾン層の破壊が必ずと言って良い程に出てくるよね。
幼稚園の春休みに堺東の映画館まで見に行った「お願い!バケねこん」の映画版「伸也の天空楼閣」でも、オゾンホールが重要な役割を果たしていたっけ。
「昔、私達の生活で使っていたある物がオゾン層を壊してしまう事が分かって、今は世界中の人が協力して使わないように心掛けています。枚方さん、それが何かわかりますか?」
「はっ…はい!確か、フロンガスだったかと…」
ふう、無事に答えられて良かったよ。
映画館で観た「お願い!バケねこん 伸也の天空楼閣」でも、天空人がフロンガスにブチ切れていたもんね。
もっとも、それで地上文明を破壊する為に人工落雷計画を実行しようとしてバケねこんや伸也君達と対立する事になっちゃったけど。
あの映画は総じてメッセージ性が強過ぎて、説教臭さの域まで達していたんだよなぁ…
まあ、だからこそ私の記憶にも鮮明に残っているんだけど。
「そう、フロンガスですね。世界中の人々がフロンガスを使わないよう頑張ったお陰で、成層圏のオゾン層は随分と回復しました。大人になった皆さんが安心して暮らせるように、オゾン層を始めとする地球環境を守っていきたいですね。そのためにも、一人一人が出来る事をやっていきましょう。」
『成る程、一人一人が出来る事をね…』
白いチョークで記された板書を写しながら、私は改めて物思いに耽っていたんだ。
そうして帰宅した私は、自分なりに出来る事をやる為に心当たりを探ったんだ。
「どうしたの、京花?いきなりプラスチックゴミの袋を開いちゃって…」
お母さんの唖然とする声が聞こえるけど、そんなのはお構いなし。
今は地球環境に貢献出来るかどうかの瀬戸際だからね。
「おっ、やっぱりあった!」
「えっ?それってプラモデルのランナーじゃない。部品を切り離して捨てた、枠の部分でしょ?」
お母さんの言う通り、私がゴミ袋から引っ張り出したのは「機甲戦団レギオン」に登場する試作型ガンボイを組み立てた時に捨てたランナー部分だったの。
「思い出したんだよ、お母さん!プラモデルのランナー部分を、大きなホビーショップやゲームセンターで回収しているってね。」
ランナー部分だって、プラモデルと同じ素材で出来ている。
それに目を付けた模型メーカーは環境保護への取り組みとしてランナー部分を回収し、最新技術のケミカルリサイクルで新しいプラモデルの製品に再利用しているんだ。
ランナー部分のリサイクルは環境保護意識の向上やリサイクル商品による啓発だけじゃなくて、廃棄物削減や化石資源の消費抑制にも繋がるんだ。
そしてそれは長い目で見れば、地球環境やプラモデル業界の持続可能性を高める事にも繋がるんだ。
今日の社会の授業で扱っていた成層圏のオゾン層保護にも、巡り巡って繋がるかもね。
地球上で末永くプラモデルを楽しめる為にも、私達に出来る事をやらなくっちゃ!