表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と  作者: 宵待昴
7/14

インターホン

夕暮れ時の弓守家。

ピンポン、とインターホンが鳴った。

満寛は苛立ちながらモニターを確認する。最近、この時間帯になると必ずインターホンが鳴る。モニターで確認しても誰も居ない。

(今時ピンポンダッシュかよ……)

害は無いがストレスは溜まる。

ある日、友人の宗也が泊まりに来た。この日もインターホンが鳴る。宗也も来ているし面倒で、満寛はそれを無視した。

「出なくて良いの?」

宗也に聞かれ、満寛は怠そうに玄関を見る。

「最近ピンポンダッシュされてる。モニターにも誰も映ってないし、気にするな」

宗也も玄関を見たが、ふうんと答えてまた宿題に目を戻した。

その夜。電気を消して駄弁りつつそろそろ寝ようかという時、不意にインターホンが鳴った。スマホへ目をやる。二時を回っていた。

“こんな時間に?”互いの顔にはそう書いてある。

今夜は満寛の両親は不在だ。二人でそっと部屋を出てモニターを確認する。

「うわ、」

短く叫んで二人は飛び退いた。画面いっぱいに、ボサボサの白髪頭の老婆が映っている。目を離せないでいる内に、気が付いたら消えていた。念の為ドアスコープから見ても同じ。すっかり目が覚めた二人は、モニターの映像をもう一度見てみることにした。

「何だこれ」

毎日ピンポンダッシュされていた夕方の映像全てに、さっきと同じ老婆が映っている。

「毎日見てて、誰も居なかったのに」

「ねぇ、これ段々近付いてない?」

宗也の声が僅かに震えている。確かに、日を追うごとに少しずつ老婆は近付いていた。最後に、今さっきの映像。終わった後、しばらく二人は無言になる。

「一つ言えるのは」

宗也が口を開く。満寛はただ続きを待った。

「この時間に見たのは間違いだったと思う」

「……そうだな」

結局二人は部屋の電気を付け、明るい動画を流しながら夜を明かしたのだ。幸いにも、この日から夕方にピンポンダッシュされることも、夜中にインターホンが鳴ることも無くなった。

ただ二人は、インターホンが鳴ってもしばらくの間モニターが見られなくなったのである。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ