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小説家になろうラジオ大賞3 

お菓子をいただきに

作者: 夜狩仁志

なろうラジオ大賞3 参加作品となります。


童話です。子ども向けです。狸です。

 雪も解け、花が咲き、春の陽気が暖かい天気の良い日。

 山のふもとの小さな穴から、一匹の小さな子狸がひょっこり外に飛び出してきました。


 この山から下りて、少し先の開けたところに、大きな岩が立ち並ぶ場所があります。

 まるで岩の林のようなところに、この時期になると美味しい「お菓子」というものが並ぶことを、子狸は知っていました。

 そこには甘いのから柔らかいの、たまに果物があることもあります。


 でもそこには人間という怖い動物もいるので、よく母狸からは一人で勝手に行かないように注意されていました。

 でも子狸はその甘いお菓子の誘惑に勝てず、母狸のいないのを見計らって一人でやって来てしまいました。


 いつもはその場所に、ほとんど人間がいることはありませんでした。しかし今日はその場所に、大勢の人間がいるではありませんか。

 みんな黒い毛を生やし、そしてみんな大きな声で鳴いています。あんな大きくて強そうな人間が、大勢で集まって鳴いているのです。


 子狸はそっと木の陰に隠れて、様子をうかがってました。


 人間の、その鳴き声は聞いたことがあります。


 子狸がお腹が空いた時の声。

 子狸が転んだ時、痛い思いをした時の声。

 子狸のお母さんがいなくて、寂しかった時の声。


 人間も僕たちと同じように鳴くんだなー と子狸は思いました。


 そして人間たちは、石に水をかけたり、臭い煙を出したりしました。


 子狸には、なにをしているのか分かりませんでした。


 そしてみんな石の前に美味しそうなお菓子を置いていきます。


 子狸はしばらく木の陰に隠れて人間がいなくなるのをじっと待っていました。

 そしていなくなったのを見計らって、お菓子を取りに行こうとした時です。


「ぼうや!」

「あっ! おかあさん」


 母狸が子狸のもとにやってきました。


「ダメでしょ、ひとりでこんなところにきたら」

「だって、おかしが……」


「あれは、食べたらダメなの」

「なんで?」


「あれは、人間が、あの石にあげてるものなの」

「そうなんだ。でも、なんで?」


「あの石の下に仲間が入れられ、閉じ込められてるの」

「え?」


 だからみんな、あんなさみしい声で鳴いてたのか、と子狸は思いました。


「さぁ、はやくかえりましょ」

「うん」


 子狸は、もしおかあさんが、あの石の下に入ってしまったらと、考えました。


「あら、どうしたの? こんなにくっついて」

「だって、なんだか、さみしくなっちゃって」


「あらあら、甘えん坊さんね」

「おかあさんは、どこにもいかないで」

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